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愛しのビアズリー。(下)

投稿日:2025年3月6日 更新日:

 こんにちは、みちょるびんです♪

 現在、三菱一号美術館で開催されている展覧会『異端の奇才――ビアズリー』で見た、オスカー・ワイルド著戯曲『サロメ』の挿絵―――(「愛しのビアズリー。(中)」)。

 いくつか見ていて気がついたのですが、少しずつ装飾は異なるも、よく見ると同じ記号が絵の隅の方に描かれていました。
 作者であるオーブリー・ビアズリーのサインの代りらしいということはすぐにわかりましたが、どうやらそれは、男女の性的結合を暗示するものだったらしい。

 表紙用として描かれた絵も、一見、孔雀の羽根を組み合わせたような図案になっているが、実は人間の生殖器官や性的な結合が巧みに暗示されているものなのだそう☆

 画家の企みを見破った出版社側によって、このデザインは却下され、使われなかったそうですが、みちょるびんが持っている文庫本『サロメ』(福田恒存訳、2004年2月16日第6刷)の表紙は、バッチリこのデザイン。
 言われてみたら、赤色を背景に、真ん中に配置された‘作者の記号’と羽根が相まってエロティックな感じがせんでもない。
 だが説明されなければ、パッと見ただけでは現代人は気づかないだろう。

 それにしても、『サロメ』の挿絵には、無駄に裸が描かれているし、何故にこうもビアズリーという人は、エロい方向に持って行きたがったのか!?

 ところでみちょるびんは全然気がつかなかったのですが、実は、挿絵の中に、戯曲『サロメ』の作者オスカー・ワイルドの似顔絵をちょいちょい差し込んでいて、みちょるびん的には、それもビアズリーのことを面白いと思った点の1つ。

 解説には、「ワイルドをあざ笑うかのような画家の態度をワイルドも不快に感じたことは想像に難くない・・・」とあったのだけど、みちょるびんは、本当にそうだろうか?って思いました。

 ワイルドは、『ステゥーディオ』に掲載されたビアズリーの『サメロ』の絵を見て、自分が思い描く世界観を表現できるのはビアズリーしかいないと感激し、挿絵をビアズリーに依頼したという経緯があるらしい。
 すでに売れっ子作家だったワイルドからのラブコールは、ビアズリーにとっては言わば大抜擢だったわけで、ワイルドに感謝こそすれ、ワイルドの機嫌を損ねるような、おちょくるような真似をわざわざするだろうか!?って、疑問に思うんです。

 むしろワイルドのことを敬愛していたからこそ、ちょいちょい彼の顔に似せた顔を描いたんじゃないか・・・!?

 ただ残念なことに、この『サロメ』での仕事を境に、二人の関係が悪化していったというのは事実。
 印税が主体であったワイルドの収入よりもビアズリーに支払われた報酬の方が高額であったことや、既に名声のあったワイルドよりもビアズリーの方に注目が集まったことを、ワイルドは苦々しく思っていたらしいのだ。

 でもさ、一時期は若いビアズリーをワイルドが劇場や盛り場に連れて行くなどしてビアズリーを可愛がっていた様子はあったようだし、つまりこれって、ワイルドの嫉妬が仲違いの原因だったんじゃないかね!?

 ワイルドはビアズリーの作風が実は好みではなかった・・・っていう説もあるようだけど、だったら、挿絵の依頼はワイルドの方からはしないだろう。

 ワイルドはのちに、ビアズリーの挿絵を「たちの悪い落書き」と一蹴したそうだけど、でもそれは自分の醜い嫉妬を、ビアズリーが働いた非礼――本文にはない場面をビアズリーが独自に創作したことや、原作者に似た人物像を書き入れたこと――に対して怒っているという体にすり替えることで、自分のプライドを保とうとしただけなんじゃないかって気がする。

 その後、脚光を浴びたビアズリーは、単なる挿絵作家という立場を抜け出し、『イエロー・ブック』の美術編集を任されるまでに出世する。
 ワイルドとの確執に辟易していたビアズリーは、ワイルドがこれに関与しないことを条件に受けたそうですが、それからすぐに、ワイルドが同性愛の科で有罪になったことで、無関係だったビアズリーもとばっちりを受け、解雇されてしまうことになる・・・。

 そうして仕事を失ったビアズリーは生活のために、露骨に性的な絵を進んで手掛けたそうです。

 数年後、死期を悟った彼は、よからぬ絵はすべて廃棄してほしいと切願したそうですが、これらの作品はちゃっかり今回の展覧会でR指定されつつ公表されちゃってますがね。

 『サロメ』の挿絵なんかにもむやみやたらと裸ん坊を登場させたり、男女の性的結合を暗示している記号を使用するなど攻めた表現をしておきながら、ビアズリーがそんなことを言うだなんて、みちょるびんにはむしろそれが「ビアズリーが我々に仕向けた‘振り’」のようにも感じられ、笑ってしまったくらい。

 ただ、ビアズリーは亡くなる1年くらい前には、大量吐血するなどしてかなり体調が悪くなる中、ローマ・カトリックに改宗したとも言うし、‘よからぬ絵’を恥じた背景にはこの改宗があったらしいっていう話も小耳にはさみましたがね。

 その頃に、刑期を終えたワイルドと偶然に会って、一緒に食事をしたということが年表に書かれていました。

 本当に嫌い合っていたら、わざわざ一緒に食事なんかするだろうか?
 本当はお互いに才能を認め合っていたんじゃないかと思うし、あの頃の栄華を懐かしがったんじゃないかなぁって、想像するみちょるびんです。
(完)

                             以上、みちょるびんでした!

【ビアズリーが注目されることになった『サロメ』を描いた絵】
【孔雀の羽根のようなデザイン。中央下に作者の記号。】
【無駄に裸ん坊。右下に作者の記号。左上のお月さんの中にワイルドの顔。】

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