ファッション関係 宝石

新☆誕生石!(20:7月の誕生石)

投稿日:2022年2月10日 更新日:

 こんにちは、みちょるびんです。

 「日本の誕生石」が63年ぶりに改定されました。宝石鑑別のディプロマを持つみちょるびんが、「誕生石」として選ばれた‘栄えある宝石’たちについて、独断と偏見を交えながらご紹介したいと思います!

 「ガーネット(1)」「クリソベリル」「アメシスト」「アクアマリン」「モルガナイト」「サンゴ」「ブラッドストーン」「サードニクス」「ダイアモンド(1)」「タンザナイト」「アイオライト」「エメラルド」(「日本の国石」)「ヒスイ」「真珠」「ムーンストーン」「アレキサンドライト」「ルビー」に続く、第20弾!!

スフェーン

 「日本ジュエリー協会」(JJA)並びに「山梨県水晶宝飾協同組合」(YJA)からも賛同を得て、「全国宝石卸商協同組合」が改訂したという今回の「日本の誕生石」。

 初回の記事でお伝えしましたとおり、7月の誕生石「スフェーン」は、‘日本オリジナル’として追加された5石のうちの一つです。

 同組合が発表したプレスリリースによると、スフェーンを加えた理由は、「スフェーンは輝きが強く日本の夏の森のような色合いを持ち、彼(マーク・オーガスト・ピクテ)の誕生月が7月であるため、7月の誕生石とした」ということでした。

 みちょるびん的に、ちょっと、しっくりこない感じがしています・・・。

 現在、みちょるびんは海外暮らしをしていて、日本の宝石店を訪問する機会がないため、今がどんな様子なのかわからないのですが、「スフェーン」は、店頭に並んでいるのでしょうか?
 それとも、これから、並ぶ予定があるのかな!?

 2月の誕生石「クリソベリル・キャッツ・アイ」の追加については、文句のしようはありません。
 硬度(摩擦や引っかけに対する強度)と靭性(割れに対する強度)の両方ともに高く、日常生活への耐久性も問題ないですし、第一、「キャッツ・アイ」と言ったらたら「クリソベリル・キャッツ・アイ」の代名詞とも言われるほどなので、外しようがありません。
 前回の「ルビー」の記事でも紹介しましたように、クリソベリル・キャッツ・アイは、既に明治には、日本での取り扱いが始まっており、‘昔から日本でも愛されてきた宝石の一つである’という認識でいます。

 4月の誕生石「モルガナイト」は、「エメラルド」「アクアマリン」と同じ鉱物種「ベリル」で、色違い(サクラ色)なだけです。
 兄姉(?)が有名なので、消費者にも受け入れられやすいという土壌が既にあります。
 色も、若い女性などは好きだと思いますしね。

 3月の誕生石「アイオライト」だって、9月の誕生石「クンツァイト」だって、硬度はクォーツと同じ7ですので、耐久性に問題はない。

 以上4つの宝石は、1995年頃、宝石消費大国と言われる米国の宝飾店において、ジュエリーを、みちょるびんは見たことがあったし、「タンザナイト」ほどではありませんでしたが、それなりに流通していたというイメージはあります。
 日本でも最近、淡いピンク色の宝石を見かけたことがあり、それは「クンツァイト」か「モルガナイト」だったに違いありません。

 だけど、この「スフェーン」だけは、実のところ、あんまり、記憶に残っていないんですよね・・・。

 今、出てます??
 日本で???

 「スフェーン」にケチをつけようっていうのではなく、単純に「誕生石に加わったのは、なんでかな?」っていう、興味なんです、ごめんなさい!

 スフェーンが新種の鉱物として認識されたのは、1787年のことなのだそうで、実はさほど‘新しい石’というわけではないことに、みちょるびん、驚きました。
 「じゃぁ、なぜ、あまり、市場に出回っていないか?」と、言うことです!

 まず、スフェーンは、様々な岩石から産しますが、透明で、ファセット加工ができるほど質の高い結晶は滅多にないということが挙げられると思います。
 また、スフェーンの硬度は5で、これは、(がんばれば)ナイフの刃で傷つけることができるくらいの柔らかさです。

 脆い石でもあるので、耐久性の問題から、通常は、ジュエリーには向かないと考えられており、宝石品質の石は、コレクター用にカットされているだけと言われています。
 だから、宝石店で見かけることも少なかったのでしょう。

 しかし、スフェーンは、そういうハンディをもってしても、美しく、魅力的な石であるということを、お伝えしなければなりません!

 「スフェーン」の名前は、くさび形の結晶形に起因し、「Sphen」はギリシャ語で「くさび」を意味しています。
 チタンが含まれることから「チタナイト」とも呼ばれています。

 このスフェーン、実は、ダイアモンドよりも分散が大きいという点が、最大の特徴と言えると思います。
 その結果、ダイアモンドに見られるあの特徴的な虹色の光(ファイア)が、スフェーンにも見られ、且つ、その輝きは、ダイアモンドを凌ぐほどなのです。
 多色性(3色)が強いので、見る角度によって、石の色が異なって見えるという点も、魅力となるでしょう。

 石の色は、イエロー、グリーン、ブラウン、オレンジ、まれにレッドもあります。

 そんな、魅力的なスフェーンを、是非、ジュエリーコレクションに加えたいものですね!

 日常使いを検討されるのであれば、その場合、「指輪」「ブレスレット」よりは、「ペンダント」「ブローチ」「イヤリング」等がおススメです。
 指輪やブレスレットは、何かにぶつけて、石に傷をつけてしまう可能性が潜んでいますが、ペンダント、ブローチやイヤリングなら、その確率は下がることが考えられるからです(ペンダントも、チェーンが長い場合は、気をつける必要があります)。
 もちろん、お好みで、楽しみながら選んでいただいていいと思いますので、あくまでも、参考にしていただければと思います。

 最後に、堀秀道著「楽しい鉱物図鑑」に、スフェーンに関する興味深い記述がありましたのでご紹介します。
 みちょるびんも、ちょっと、行ってみたくなりました♪

アルプスのチロルTirol地方には、岩石中に熱水性の脈が入っていて、その中に種々の鉱物を産することが広く知られており、こうした脈をアルプス式脈Alpine veinという。この地方の博物館には、アルプス式脈から採集された鉱物が展示されているが、その中の目玉の一つが、くさび石(スフェーン)である。りんご緑色のアメ色の透明な結晶が母岩についている標本はなかなか見ごたえがある。

                「楽しい鉱物図鑑」(1992年、堀秀道)

                             以上、みちょるびんでした!

【参考文献】
「宝石 その美と科学」(1972年、近山晶著)
「楽しい鉱物図鑑」(1992年、堀秀道)
「全国宝石卸商協同組合」HP「 誕生石改訂 プレスリリースについて

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