こんにちは、みちょるびんです。
(前回までのあらすじ)
みちょるびんが通っているダンス教室で、CMのオーディションのお知らせがあった。応募するにあたり、履歴書の提出が求められ、躊躇はあったものの、意を決し、応募。オーディションの開催日が平日となり、休暇問題も浮上したが、かろうじてクリアし、オーディションに臨むことになったのだが・・・。
【CMオーディション当日(日記)】
CMオーディション当日。
朝は、いつもの手順で支度。
シャワーを浴び、化粧の下地クリームまで塗って、髪を乾かしに、鏡の前へ。
どうだろう?
今日の私は、少しむくんでやしないか!?
今日は、あいにく、「美人の日」ではないらしい。
鏡の中の自分は、睡眠量や体調などで、毎日、微妙に、顔の調子が異なる。
私は、顔がシュッとしている日を、「美人の日」と呼んでいる。
20代の頃は「美人の日」が多かったが、だんだんと、年齢を重ねる毎に、「美人の日」の出現率が減ってきた。
チッ(舌打ち)。
大事なオーディションの日だってぇのに。
昨夜は、寝る前に食ったし、寝たのも遅かったし、仕方ないか。
オーディション会場となるダンススタジオに到着してみると、受験者らしき人が、既に20~30人はいて、ちょっとびっくりした。
その中には、何人か、ダンス仲間もいた。
私は、仕事があるので、10時の回に融通してもらっていたが、12時にも別途オーディションが開催されると聞いている。
どれくらいの人がこのオーディションを受けるのだろうか。
皆、しっかりと動きやすい格好に着替えていた。
私は、この後仕事の予定で、仕事着で来ていたので、下だけをジャージに履き替えた。
昨日、洗濯したばかりで、部屋干ししていたせいか、ちょっと匂った・・・・。
初めに、その場で書類を渡され、身長、スリーサイズ、体重等を書かされた。
うーむ、こんなところで、サバを読んでも仕方ないのだろうが、事実を書き込むのが偲びなかった。
かと言って、正確な数値を把握しているわけではなく、悩んだ。
体重にしても、免れないと思い、結局、打倒なところで申告した。
その後、顔の正面アップと全身の写真が撮影された。
「美人の日」ではないので、アップ写真にはちょっと抵抗があったが、心配していたほどではなかったようだった。
良かった。
さて、本題のオーディションでは、大きく、3つの役柄に分けられていたようだった。
メインとなるチームがまずいて、それから、特殊ダンスが踊れるチーム、そして、私が組み込まれた、リズムを取るチーム。
しかし、リズムチームもあなどれない。
宴会シーンでは、割り箸をちょうどドラムのバチみたいに使い、指定されたリズムを刻まなければならなかった。
問題は、肝心のリズムが、なかなか頭に入らなかったということ!
曲があれば、流れて来た音楽に調子を合わせればよいわけだが、今回は、自分がその音を発しなければならず、予めちゃんと、それを把握しておく必要があった。
ところが、拍数等を数えていると、リズムがおろそかになって、ぐちゃぐちゃになるのだ・・・。
困った。
まじで、覚えられないと思った。
まさに、致命的。
しかも、他のパートの人たちと合わせて一緒にやるなんて、どのタイミングで入っていけばいいのか、わからないんですもの。
しかも、私は第2グループに指名され、練習時間もあまりなかった。
まぁ、本当は、第1グループだったのを、ダンス教室のスタッフさんにお願いして、第2グループに変更してもらっていたのだがね。
当初、仕事があるので、できれば、最初のグループにしてほしいとお願いし、そのようにご対応いただいておきながら、また、変更してもらったのだった・・・。
事前に、第2グループの受験者で集まって、リズムを皆で合わせてみようということになったが、私のリズムは、他の人と違っていた。
結局、誰とも合わせられないまま、オーディション会場に通された。
オーディションでは、それぞれのパートに分かれて、撮影するという。
全員で合わせずの済んだのはホッとしたが、しかしその分、同じパート内で、かえって間違いが目立ちやすくなりそうだった。
むむむ・・・・。
実際、緊張と多少の混乱で、カウントを間違った。
しかも、夢中になり過ぎて、キュー出しするお兄さんのカウントが耳に入っておらず、少し、リズムが早くなってしまう場面もあった。
なんか、リズムもきっちり刻めてない感じ。
踊って、体で表現するのとは違い、小道具を使うとなると、またちょっと難しい。
でも、とにかく、思い切りよく箸を鳴らし、極力、大きく表現した。
例えば、乾杯のシーンも、威勢よく。
そして、最後の盛り上がり場面では、テンションを上げて、チーム全体を牽引したつもり。
ビートをカウントしていたお兄さんも、それには「おーっ」って言ってくれた。
それに、アルコールを飲んでいるところの表情も、カメラで個別に撮ってもらえたし。
それは、全員が対象ではなかったし。
まぁ、妙な、しらじらしい演技になったが、満面の笑みはできたはず。
これら2点は、好感触だったのではないかと思う。
・・・・たぶん。
そうやって、私の、人生初のオーディション体験は終了した。
会場を去り、一人冷静になると、私を混乱させたあの魔の’リズム’も、今はちゃんと、再現できている。
なんで、本番ではできなかったかなーって、感じなんだけど。
気が動転していたのかな。
まぁ、場数も少ないわけで、仕方ないよね。
あーあ、どうせなら、受かるといいのになぁ。
CM本番に向けての練習日も、リハーサルの日も、週末なのだそうだから、「そんな好都合、2度とないのでは!?」という感じなのだが。
受からんかなー。
【それから3日後の日記】
残業からの遅い帰り、携帯電話に着信があったことに気づいた。
ダンス教室の事務所のスタッフさんだった。
オーディションの結果の知らせに違いない。
はやる気持ちを押さえながら、メッセージを聞いた。
残されていた声の調子が、暗いように思えた。
案の定―――。
さすがにがっかりした。
確かに、あのオーディションでの私の様子は落ち着きがなく、怪しかったと思うし、制作サイドも、あれでは不安にさせられるだろう。
私のような、初歩的な’リズム’で苦心している’ど素人’よりも、もっと、’勘のいいプロ’の方がいいに決まっているのだ。
でも、少し、甘い期待を抱いていた。
現実は、厳しい。
仕事を休んでまでして、出かけて行って、みじめな感じ。
わくわくしていただけに、かなり落ち込んだ。
【その翌日の日記】
今朝は、目が覚めて、オーディションに落選したことを思い出して、改めて落ち込んだ。
出社する前に、昨夜、メッセージを残してくれていたダンス教室のスタッフさんに電話した。
気が滅入ってはいたが、連絡をくれたことや、オーディションの時間や順番を配慮してくれたことは、ちゃんとお礼を言った方がいいだろう。
電話に出ないでほしいなどと勝手なことを思いつつ掛けたが、スタッフさんは応答してくれた。
お礼を述べた。
スタッフさんは最後に、明るい口調で、「エキストラの役になるけど、よかったら遊びに来て」と言ってくれた。
本当に声がかかるかは、現段階では別として、もしかすると、さほど落ち込むべき話ではないのかも知れないという気になり、気が楽になった。
よく考えてみると、オーディションでは、カメラに映るメインの人を選んでいたわけだ。
やっぱり度胸がない私は、メインとしてCMに出ることに、腰が引けていた。
となれば、画面のはじの方にチラッと映る程度が、理想的なのだ!!
以上、みちょるびんでした!