こんにちは、みちょるびんです。
「日本の誕生石」が63年ぶりに改定されました。宝石鑑別のディプロマを持つみちょるびんが、「誕生石」として選ばれた‘栄えある宝石’たちについて、独断と偏見を交えながらご紹介したいと思います!
「ガーネット(1&2)」「クリソベリル」「アメシスト」「アクアマリン」「モルガナイト」「サンゴ」「ブラッドストーン」「サードニクス」「ダイアモンド」と続き・・・。
「ダイアモンド」の説明が、前回のあの程度の記事で許されるとは思っていません、ハイ。
続いて、第10弾です!
ダイアモンド(2)
ダイアモンドと他の色石(色のある石)との大きな違いは、石の等級を明確にする国際的なシステムが確立されているという点だと思います。
そのシステムというのが、「米国宝石学会(GIA)」が定めた「4C」と呼ばれるものです。
これは、カラット(Carat:重さを表す単位)、カット(Cut:研磨)、カラー(Color:色)、クラリティ(Clarity:質)の頭文字を指しています。
【カラット(Carat)】
カラットとは、宝石の重量を示す単位のことを言い、1カラットは200mgに相当します。
1カラットのラウンド(円形)・ダイアモンドの一般的なガードル(石を上から見下ろした時の石の外周部分)の直径は、約6.5mmです。
【カット(Cut)】
ダイアモンドの場合、その美しさの鍵は「カット」にあります。
ダイアモンドの美しさを最大限に引き出すカットは、「ラウンド・ブリリアンカット」であり、現代のブリリアントカットにつながる原形の登場は、17世紀末頃と言われています。
しかし、石の上方から差し込んだ光を、内側から上方に全反射することができる‘理想的なプロポーション’の理論の発表は1920年頃で、わずか100年くらいしか経っていないという驚きがあります。
確かに、その理想的なカットによるダイアモンドの眩いばかりの輝きは、引き込まれそうであり、ずっと見ていても飽きないものですが、他方で、みちょるびんは個人的に、ぷっくりしたプロポーションが温かみのある、アンティーク・カットのダイアモンドの方が、光も柔らかくて好きだったりします♪
【カラー(Color)】
一般に多く流通しているダイアモンドは、無色のように見えますが、実はよく見ると、わずかに黄色や茶色がかったものとなっています。
着色の原因は窒素ですが、大気に窒素が含まれていることが関係しています。
この標準的な色については、グレーディング・システムが確立されており、無色の「D」(最上グレード)から始まり、アルファベット順に、最後の「Z」(ライト・イエロー)まで、少しずつ、黄味/茶色味を帯びていくことになります。
石の大きさや台座の金属の色にもよりますが、大体、「I」カラーのグレードくらいまでなら、一般には無色に見えるようです。
魅力的とみなせるだけの濃さになれば、黄色や茶色でも「ファンシー・カラー」と呼ばれますが、レッドやグリーンは最も希少なファンシー・カラーであり、パープル、バイオレット、オレンジ、ブルー、ピンクと続きます。
あまり知られていないことだと思いますが、多くのダイアモンドはブラックライト(紫外線を放射するライト)を当てると蛍光を発します。
多くは、ブルーですが、ホワイト、オレンジ等の色の場合もありますので、興味がある方は、お手持ちのダイアモンドにブラックライトを当ててみると面白いと思います。
余談ですが、アメリカのスミソニアン自然史博物館にある45.52カラットのブルー・ダイアモンド「ホープ」は「呪いのダイアモンド」として有名ですが、実は、この石の蛍光は神秘的なレッドなのだそうです。
(ダイアモンドだけではなく、色石にも蛍光を発するものがあります。)
【クラリティ(Clarity)】
クラリティスケールは、11のグレードで構成されており、内包物等がない‘フローレス’「FL」から、「IF」「VVS₁」「VVS₂」「VS₁」「VS₂」「SI₁」「SI₂」「I₁」「I₂」「I₃」と、最後は、肉眼でも見える内包物や、耐久性に重大な影響を及ぼす内包物があるもの等に等級付けされます。
グレーディングに用いるルーペの標準倍数は、10倍です。
【最後に】
最近、ダイアモンドよりも硬い鉱物が発見されたという記事を見ましたが、それでも、宝石の中では、ダイアモンドはダントツ一位の硬度です。
ただし、注意しなければならないのは、この硬度は、摩擦や引っかきに対する強度のことを言い、割れにくいわけではないという点です。
ダイアモンドには、ある方向に割れやすいという特性があるということもあり、ハンマー等で叩くと割れてしまいます。
割れにくさを表す「靭性」では、ダイアモンドの強度は、クォーツやアクアマリンと同程度です。
なお、実際に、ピンセットでダイアモンドをつまむ時、力を入れ過ぎたりすると、キューレット(石の下部の尖った部分)が欠けてしまうこともあるほどなんです!
以上、みちょるびんでした!
【参考文献】
「宝石 その美と科学」(1972年、近山晶著)