ファッション関係 宝石

新☆誕生石!(8:3月と8月の誕生石)

投稿日:2022年1月29日 更新日:

 こんにちは、みちょるびんです。

 「日本の誕生石」が63年ぶりに改定されました。宝石鑑別のディプロマを持つみちょるびんが、「誕生石」として選ばれた‘栄えある宝石’たちについて、独断と偏見を交えながらご紹介したいと思います!

 「ガーネット(1)」「クリソベリル」「アメシスト」「アクアマリン」「モルガナイト」「サンゴ」に続く第7弾です!!

ブラッドストーン&サードニクス

 今回は、3月の誕生石「ブラッドストーン」と8月の誕生石「サードニクス」をまとめてご紹介します。

 この2つの石は、「カルセドニー」の変種で、同じ「化学組成」と「結晶構造」を持つ同じ鉱物種です。
 もっと言うと、この「カルセドニー」、実は、2月の誕生石「アメシスト」と同じ鉱物種「クォーツ」でもあります。

 クォーツは、次のとおり、結晶のサイズにより、大きく分類されています。

  ①大きな単結晶のもの
  ②微晶質集合体:鏡顕微レベルではない、小さい結晶からなる
  ③潜晶質集合体:顕微鏡レベルの微小な結晶からなる

 例えば、①なら、アメシスト、シトリン、スモーキークォーツなどがあり、②なら、タイガーズアイ、アベンチュリン・クォーツがあります。
 そして③は「カルセドニー」として分類されています。

 このように、学術的には同じ「化学組成」と「結晶構造」を持つ「クォーツ」ですが、宝石業界では、①の「クォーツ」と③の「カルセドニー」を区別して取り扱っています。

 透明である「クォーツ」とは対照的に、「カルセドニー」は半透明/不透明石となります。

 変化にとんだ色や模様を持つ「カルセドニー」。
 その中でも、3月の誕生石「ブラッドストーン」と8月の誕生石「サードニクス」は、個性ある特徴的な石となっています。

 ところで、「カルセドニー」を説明するにあたり、‘宝石鑑別’の立場と、一般の慣例とでは相違があるので、みちょるびん、ちょっと、混乱しているというか、説明に困っています。

 「瑪瑙(めのう)」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、「カルセドニー」の変種の1つである「アゲート」の和名です。
 しかし、この「メノウ」、一般的には、「カルセドニー」の意味で広く用いられている場合が多いそうです。
 因みにこの和名の由来は、その特徴的な原石の外観が、しばしば‘馬の脳’に似ているところからきています。

 また、変種「アゲート」には、縞模様があるものがありますが、「サードニクス」や「オニキス」の直線的な縞とは異なり、湾曲あるいは角ばったものであるため、宝石鑑別の際は、「サードオニキス」「オニキス」とは区別しています。

 一般的に言うところの「メノウ」は、古い時代からの宝石の1つに挙げられ、実際に、我が国でも、勾玉の素材として使われていました。
 古墳時代、その権力の象徴として身に着けられていた勾玉は、それまで、勾玉=緑色のヒスイと言う概念がありましたが、花仙山産のメノウ(紅系色)の登場で、その色彩が華やかなものになっていきました。

 さて、8月の誕生石「サードニクス」は、カルセドニーの変種の1つ「オニキス」の白と、「サード」の帯赤褐色の直線的な縞が交互に存在する石を呼びます。
 この縞は、彫刻の素材としてはうってつけなので、昔から、カメオやインタリオに用いられてきました。

 「カルセドニー」の中で、不透明石は「ジャスパー」と呼ばれますが、3月の誕生石「ブラッドストーン」は、ジャスパーの一種になります。
 古くは「ヘリオトロープ」とも呼ばていますが、この石の特徴である、濃緑色の地色にある赤色の斑点が、血のように見えることから「ブラッドストーン」とも呼ばれています。
 古くは、血止効果があるとも考えられていたそうです。

 また、中世の時代には、このブラッドストーンの赤い斑点は、‘イエス・キリストの血’で、特別な力が備わっていると考えられていたのだそう。
 そういう背景もあるからなのか、十字架に伝って落ちるイエス・キリストの血を連想させるとして、クリスマスをテーマにしたジュエリーに用いられることもあるのだそうです。

 なお、ドイツでは「ヘマタイト」のことを「ブラッドストーン」と称することもあるそうなので、ブラッドストーン(カルセドニー)と混同しないよう、注意が必要です。
 ヘマタイトは鏡のような金属光沢を持つ不透明石で、ブラッドストーンとは別の鉱物ですが、カットした際の断面などが、血のように赤く見えるから、そのように呼ばれているのでしょうね。

 最後に、カルセドニーの特徴として、多孔質ということがあります。
 その性質から、着色成分を、人工的に、その組織間に浸透させ、着色することが可能です。
 従って、カルセドニーは、石の価値を高めるために、染色、着色されることが多い石でもあるので、天然色にこだわりたい人は、注意が必要です。

                             以上、みちょるびんでした!

【参考文献】
「宝石 その美と科学」(1972年、近山晶著)
「地球自然ハンドブック:宝石の写真図鑑」(1996年、キャリー・ホール著)
「島根県立古代出雲歴史博物館企画展 古墳文化の珠玉 玉は語る出雲の煌めき」
                 (2019年、島根県立古代出雲歴史博物館)
「宝石と鉱物の文化誌」(ジョージ・F・クンツ著、2011年、鏡リュウジ監訳)

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