こんにちは、みちょるびんです。
【滞在2目の日記】
昨夜は、ほとんどあまり眠れなかった。
2時間おきくらいに目が覚めていたように思う。
暑くて寝苦しくもあり、ベッドを友子とシェアして、気を遣ってしまったというのもあった。
さて、朝の支度は、皆で順番を決めてスムーズにいった。
朝ご飯を食べて、いざ出陣。
まずは、ベルギー7大秘宝の一つ、「ベルギー王立美術館」にあるブリューゲル作(注)の絵画「イカロスの墜落」を攻める。
今回、ベルギー旅行を計画するにあたり、私は、ガイドブックで、「ベルギー7大秘宝」なるものの存在を知った。
この7つの秘宝の所在は、ここブリュッセルのみならず、ベルギー国内の各地に散らばっている。
実は、ベルギーは、ブリュッセルから2時間も車を走らせれば、隣国に行けるほど小さい国で、運転好きを自称する鈴子が、車を出してもいいと言ってくれたので、その言葉に甘え、私たちは、ベルギーの東西南北、いろいろな街を訪問することを計画していた。
そんなこともあり、せっかくなら、ベルギー7大秘宝の全制覇も視野に入れ、旅程を考えてみたのだった。
このベルギー旅行が、約1週間という短い滞在であるので、結局は、7つ全部は難しかったのだが、それでも、うち、6つの制覇を目標としていた。
その第1弾が、「ベルギー王立美術館」の「イカロスの墜落」だった。
美術館は大変広い。
私たちは、ガイドブックでその展示場所を予め調べ、秘宝を目指した。
他の展示物をゆっくり観ていたせいもあるが、そこまでの道のりは長かった。
いよいよ「イカロスの墜落」のある部屋、「31」室。
’秘宝’と言われるくらいなので、私は、立派な大きい絵を探した。
とても、重みのあるタッチで、人が逆さになって、翼が美しく舞い落ちているような、そんな絵柄を想像していた。
ところが、その「31」室には、細々した絵はあっても、’大作’という感じのものは展示されていなかった。
一人の青年が、ある絵画の前で、ペンを走らせている姿は見かけたが、それ以外で特筆するようなことはなかった。
何をメモっているのか、青年にむしろ、訊いてみたい感じ。
私たちは、口々に、展示場所が変更されたに違いないと言いながら、次の展示室に移動した。
それでも、やっぱり気になり、近くにいた監視係の人に訊いてみた。
すると、係の人は、「『31』室にある」と言うではないか。
私たちは、半信半疑、また、元来た道を戻り、再び「31」室へ。
先ほど、青年がメモっていた絵があった。
さほど大きくない絵。
手前に働く農民がいて、その奥の、ちょうど絵の中央辺りに、老人(羊飼い)が杖をついて歩いている様子が描かれている絵。
その背景には海があり、よく見ると、右下の方に、小さく、海面から人の足が2本、飛び出ていた。
「まさか、この足の持ち主がイカロスじゃないよねー」と冗談で言ってみたところ、結局、その絵がまさに、その7大秘宝だということが判明。
皆で大笑いした。
あまりにも、滑稽だった。
友子に至っては、「ギャグではないか」とさえ言った。
’イカロス’と言えば、子供の頃に聴いた、NHKの「みんなのうた」で流れていた「勇気一つを友にして」の歌が印象に残っている。
歌は、メロディーも含め、ドラマティックな感じだったのに、対照的に、この絵で描かれている「イカロスの墜落」は、あまりにも、「ありふれた日常の中に切り取られたヒトコマ」といった風景で、周囲にいた誰からも気づいてもらえていなさそうだった。
絵の主題としてわざわざ取り上げるにも、ミスマッチ。
とても可笑しかった。
あの青年は、この絵が7大秘宝だとちゃんとわかっていて、メモっていたのね。
むしろ、我々の方が、秘宝たる芸術(!)を素通りしてしまい、恥ずかしいというもの。
さて、「ベルギー王立美術館」の後は、ムール貝のランチ。
バケツ一杯とは言わないまでも、小さい鍋一杯のムール貝の量に驚いた。
スタンダード味と、ミラノ風トマト味をチョイスし、皆でシェアした。
おいしかった。
午後は、世界遺産にも登録されている「オルタ美術館」に出かけた。
アールヌーボー様式の家で、これも私のリクエスト。
かわいらしい素敵な家だった。
こんな家に住んでみたいものだ。
ランチでは、ムール貝のスープまでおいしくいただいていたので、さすがに喉が渇いた。
「オルタ美術館」の後、一旦、近くの鈴子んちに寄って、水分を補給してから、昨夜ディナーしたレストランがある「グラン・パラス」に出かけて行った。
昨夜以上の人の多さにびっくりした。
広場では、何やら、球技が行われており、たくさんの人が観戦しているようだった。
それを尻目に、私たちは、ベルギー名物の’タンタン’・ショップや「小便小僧」を目指した。
睡眠不足で疲れているし、暑いし、歩くのがいやになった。
「小便小僧」は、人だかりができていたので、すぐにわかった。
多くの人にカメラを向けられ、そして、衣装まで寄付されている’小僧’は、何だか、誇らしげに見えた。
時間が過ぎるのは、早い。
そろそろ露子とのお別れの時間になろうとしていた。
今回露子は、1泊だけだったが、わざわざ我々に、会いに来てくれていたのだ。
もう少し、一緒にいたかったが仕方がない。
私たちは、昨日到着したばかりのブリュッセル空港で、露子を見送った。
お昼に、あんなにたくさん食べたのに、夜は夜で、腹が減った。
今夜は、友子がお土産に日本から持って来てくれたさぬきうどんを鈴子邸で食べることにした。
疲れているし、それも良かろう。
お陰で、夜は、多少ゆっくりすることができた。
と、言っても、私の場合、寝る支度ができてからも、溜まっていた日記を追い上げるのに、1時間半、費やしたのだった。
さすがに、何度も目が重くなった。
24時には寝ることにしたが、それでもようやく、日本を出発した日の日記を終えただけ。
以上、みちょるびんでした!
(注)「ベルギー王立美術館」所蔵の「イカロスの墜落」は、当初ピーター・ブリューゲル(父)作とされていましたが、近年になって、‘模写’の可能性が高いという指摘もあるようです。みちょるびんがベルギー旅行をしたのは、2005年7月でしたが、当時のガイドブックでは、ブリューゲル作として紹介されていたと記憶します。しかし、その翌年2006年秋から2007年夏にかけて日本で開催された「ベルギー王立美術館展」に出品されていた本作の作者は、「ピーテル・ブリューゲル(?)」と、疑問符付きでの公開だったそうです!
知らなかった!!