こんにちは、みちょるびんです♪
日本で、宝石品質の合成石を製造している会社として有名なのは京セラ株式会社です。
京セラが宝石の開発・製造に着手したのは1970年。
1975年には再結晶技術を生かした人工宝石のエメラルドの製造に成功しました。
そして同年9月に、エメラルドの石の色から「クレサンベール(緑の三日月)」と名付けた宝飾ブランドを立ち上げ、販売を開始しています。
現在、京セラの技術で創りだされるクレサンベールの種類は、エメラルド・ルビー・パパラチア・アレキサンドライト・サファイア・オパール系で、その他の宝石については、天然宝石を使用したジュエリーを販売しているとのこと。
前回の記事「ヒシヒシ。(80)」のとおり、我が国では1939年(昭和14年)から1961年(昭和36年)までの約20年間、宝石類の輸入が全面禁止となっていました。
京セラの合成石の登場も、輸入が解禁された後のことなので、1959年(昭和34年)頃から始まったと言われる‘昭和の宝石ブーム’で使用されていた合成石は、全て、外国産だったということが言えます。
宝石類輸入禁止の最中に起こったブームであり、合成石の指輪も1955年(昭和30年)頃から売れ始めていたという。
この頃、ジュエリーに使われていた合成石は、既に手元にあった素材ということになるし、女性の服装が和装から洋装に変化していったことで和装用装身具の需要が減り、それに取り付けていた宝石類が再利用された・・・ということもあったのかなぁと想像します。
みちょるびんが「昭和レトロの指輪」を手に入れるなら、「ザ・合成石」といったルックスの蛍光のミントブルーの色をした石が欲しい!と狙っていましたが、その石がどうやら「エリナイト」と呼ばれているらしいことを知ったのは、宝石専門書を見てからでした(「ヒシヒシ。(75)」)。
書籍「宝石 その美と科学」(1972年、近山晶著)の中にあった記述「天然石にない色の、エメラダ、エリナイト」と書籍「宝石」(崎川範行著、1963年)に掲載されていた合成誕生石(「ホープ誕生石」)の写真から、その確信を深めた次第。
この「ホープ誕生石」を紹介していた書籍が出版されたのは、宝石類輸入が解禁された1961年の2年後なので、「ホープ誕生石」は当時、外国から取り寄せられた最もイケてる商品だったのではないかと推測します☆
残念ながら「ホープ誕生石」の詳細については見つけられなかったのですが、代わりにメーカーはWiede’s Carbidwerk Freyung社だったらしいというところまで突き止めました(「ヒシヒシ。(79)」)。
そんなわけで、みちょるびんは「エリナイト」と「エメラダ」は、同社の商品名だったのではないかと考えました。
でも、ここでまたちょっと不思議なのは、「エリナイト」の場合は、「Erinite」という英語表記がネットで出て来るのに、「エメラダ」についてはヒットしないという点!
みちょるびんの検索の仕方が悪いのか・・・??
写真付きで合成石の様々な色の紹介がされている外国のサイトを見ましたが、その中に「Erinite」という単語が使われていたし、スワロフスキーと称して販売されているビーズも‘エリナイト・カラー’としてその言葉が登場する(「ヒシヒシ。(77)」)。
「エリナイト」はワールドワイドで浸透している名称という印象があります。
一方、「エメラダ」は、そういった感じがないんですよね・・・。
それとも「エメラダ」って、日本独自の呼び名だったりするのかな・・・??
「エメラダ」という名前を聞いた時、直感的に「エメラルド」をもじったんだろうって思ったし、事実、「ホープ誕生石」では、5月の誕生石であるエメラルド・ポストに配置されている。
エメラルドを意識した合成石と、感じられるわけです、みちょるびん的には。
そもそもエメラルドの合成は他よりも遅く、ルビーが1900年初頭に商業的に成功していたのに対し、本格的な合成エメラルドの登場は1940年代。
1963年以降にドイツ製やフランス製の合成エメラルドが出現するまでは、アメリカのチャザム社が市場を独占していたから、おそらく、お値段の方も高飛車な感じだったのではないかと推察できる。
つまり、合成エメラルドは、そうやすやすと「ホープ誕生石」の一員には迎えられないという事情があったんだと思います。
それにしても、この「エメラダ」。
なぜ、英語(外国語)表記が見つからないのか???
外国出身であることは明らかなのに。
「ホープ合成石」の製造会社Wiede’s Carbidwerk Freyungはドイツの会社なので、ドイツ語でエメラルドがなんというのか調べてみました。
「Smaragd」。
全然、違うやん・・・。
エメラルドという名前はギリシャ語の「Smaragdus」から来ており、これは緑色を意味するようです。
ちなみに、その他のメジャーな石はそれぞれダイアモンド「Diamant」、ルビー「Rubin」、サファイア「Saphir」となってました。
エメラルドだけ、だいぶ違うんだね。
そうなってくると、「エメラダ」という名前がどこから来たのかますますナゾ。
「エメラダ」は日本だけで使われていた通称なんじゃないか・・・って、思ってくるよねぇ。
真相は闇の中・・・。
以上、みちょるびんでした!
【参考】
宝石が持つ美しさの再現に挑戦した52年京セラの人工宝石「クレサンベール」について|京セラ株式会社のプレスリリース (atpress.ne.jp)