ファッション関係 宝石

ヒシヒシ。(79)

投稿日:2023年10月1日 更新日:

 こんにちは、みちょるびんです♪

 合成石だけを集めた誕生石である「ホープ誕生石」―――。

 前回の記事「ヒシヒシ。(78)」で、「ホープ誕生石」と、同誕生石の写真が掲載されていた書籍「宝石」(崎川範行著、1963年)の発行当時の日本の誕生石とを比較してみました。

 透明石で色が合致、あるいは辛うじて同系色というものはそこそこ多かったですが、アレキサンドライト(実際はカラーチェンジ合成サファイア)が1月の誕生石ガーネット・ポストというのは無理がある。

 「昼のエメラルド、夜のルビー」とも言われるアレキサンドライトは、2つの異なる光源下において違った色を示す宝石。
 特殊効果である「カラーチェンジ」を有する代表格ですので、その特徴的な特殊効果を抜きにしては語れない宝石です(「新☆誕生石!(18:6月の誕生石)」)。
 確かにアレキサンドライトは、ろうそくや白熱灯の下では赤系の色を示すので、ルビーに次いで赤色を連想しやすいガーネットの代替・・・としたくなる気持ちもわからんではない・・・。

 いや待てよ!?
 ガーネットは赤系ばかりではなく、緑色のボディ・カラーを持つものもある!
 ガーネットには赤色、それから緑色の石もある、だから、アレキサンドライトを1月の誕生石に当ててきた・・・??
 うーぬ・・・、だとしたら、深い―――!!!

 あっ、でも、実際の「ホープ誕生石」の1月の石は、’アレキサンドライトのつもり’の「カラーチェンジ合成サファイア」。
 稀に‘日光ではグリーン、白熱灯下ではレディッシュブラウン’を示す天然のカラーチェンジサファイアもありますが、‘日光ではブルーあるいはバイオレット、白熱灯下ではバイオレティッシュパープルからレディッシュなパープル’というのが典型。
 そう考えるとやっぱり、ガーネット・ポストにカラーチェンジ合成サファイアを持ってくるのは、無理やり感があるね!?

 えっとぉ、「ホープ誕生石」の6月には、疑惑(?「ヒシヒシ。(78)(注)をご参照)のセイロンサファイアが投入されていますが、書籍「宝石」(崎川範行著、1963年)の85頁に載っていた写真(淡青色の透明石)の方が誤りで、7頁の表のとおり「乳白」が正しいということであれば、本家のムーンストーン、真珠に寄せてきた・・・ということにはなりそうです。
 が、これはあくまでも、乳白色の合成スピネルである場合の話ね!

 12月のジルコンも、写真を見る限り水色とまでは言わないけれど、淡い青色。
 トルコ石もラピスラズリも青系の石ではあるけど、ジルコンとの決定的な違いは、石の透明度。
 本家は不透明石で、ジルコンは透明石。
 ここには違和感を持てずにはいられない・・・。

 こんな風にいくつか、謎の配置があると、「ホープ誕生石」がどこからやって来たのか、出所が気になるというもの。

 それでみちょるびん、ネットで調べ、「ホープ誕生石」は「ドイツのウィデス・カービットウェルク社のホープ・ストーンを主に合成コランダム、合成スピネルを用いて制定されたもの」という説明を見つけたのでした。

 それじゃぁ、「ホープ誕生石」はドイツの誕生石がベースになっているのか?と思い、更にドイツの誕生石一覧を探してみたのですが、そうではなかったみたい・・・。

 以下、ご参考までにドイツの誕生石をご紹介。
 ( )内には「ホープ誕生石」を記入しましたが、ことごとく違うね!

【ドイツの誕生石】
 1月 オニキス(アレキサンドライト:✕)
 2月 ムーンストーン(ヴァイオレットサファイア:✕)
 3月 リバーストーン(ブルースピネル:✕)
 4月 ダイアモンド(ホワイトジルコン:〇無色透明)
 5月 エメラルド(エメラダ:△緑色が出せなかった?)
 6月 真珠(セイロンサファイア:✕)
 7月 サファイア(ルビー:✕)
 8月 ルビー(エリナイト:✕)
 9月 ジルコン(サファイア:?ジルコンは加熱により青色になる)
 10月 コーラル(ロージルコン:△辛うじてピンク系だが透明度が異なる)
 11月   キャッツアイ(ゴールデン・サファイア:✕)
 12月   トパーズ(ジルコン:✕一般的にトパーズは黄色の代表石)

 ちなみに、3月のリバーストーンというのは、大理石のことらしい。
 興味深い・・・。

 以上のとおり、「ホープ誕生石」がドイツの誕生石とは程遠いことがわかったので、今度は「ウィデス・カービットウェルク社」をいうワードを検索。

 が、そのままではヒットしなかったので、カタカナ表記に問題があるのかと考え、この文字をグーグル翻訳にかけて日本語からドイツ語に変換。
 改めて検索してみたところ、ようやくそれらしい会社にたどり着きました☆

 Wiede’s Carbidwerk Freyung です!!

 ここのHPを見ると、確かにドイツの会社で、合成石の製造を始めてから100年以上の歴史があることがわかりました。
 だから「ホープ合成石」の生みの親はきっと、この社に間違いない!?

 同社の設立は1903年。
 開業当初は、当時、化学産業でよく使われていた炭化カルシウムを製造していたそうです。
 この事業に必要な電力供給のために、アルフレッド・ヴィーデ(Alfred Wiede)博士はドイツのフライユング(Freyung)の地形を利用し、自社の水力発電所を開発・建設しました。
 これら関連施設は、機能性、デザイン性ともに、現在でも建築業者などから高く評価されているとのこと。

 さて、Wiede’s Carbidwerk Freyung社は、1913年には合成ルビーの製造に着手しており、炭化カルシウムの製造を廃止した1974年以降は、さまざまな用途に向けた特殊な合成コランダム――スターサファイアやスタールビーなど――を生産、世界中に供給しているのだそうです。
 そして1980年以降は、ダイアモンドの代替品として人気の高いキュービックジルコニアの製造に移行、同製品はジュエリー業界でも使用されているということです。

 以上が、みちょるびんが確認できたWiede’s Carbidwerk Freyung社の情報。
 残念ながら、「ホープ誕生石」については見つけられませんでした。
 でもきっと、同社が自信を持って製造した合成石を組み合わせて作られたのが「ホープ誕生石」であるのに違いない。

 書籍「宝石」(崎川範行著、1963年)に載っていた写真を見た限り、3月のブルースピネルと9月のサファイアの青色がほぼカブっているところが若干気になるけど、「我が社はこんなに美しい青色を作り出せるんです!」っていう自負の表れだったのかも知れないね!?

                             以上、みちょるびんでした!

【参考】
ヴィーデス カルビドヴェルク フライウング |100年以上の歴史 (wiedes.com)
カービドヴェルク・フライウング:サクソン人がハイキング中に素晴らしいアイデアを思いついたとき|Da Hog’n – Onlinemagazin ausm Woid (hogn.de)


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