ファッション関係 宝石

ヒシヒシ。(71)

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 こんにちは、みちょるびんです♪

 みちょるびんが亡父・パピーから受け継いだ「千本透かし金細工」が施された昭和レトロの指輪の石は、真っ赤な夕焼けを連想させるような合成オレンジ・サファイアでした―――(「ヒシヒシ。(66)」)。

 みちょるびんがバイブルとして崇めている書籍「宝石 その美と科学」(1972年、近山晶著)を見ていたら、「合成コランダムの各色における着色剤表」なるものが掲載されていました。
 本来、純粋のアルミナだけでは、無色のホワイト・サファイアになるのですが、合成ルビーの赤色やその他の合成サファイアを形成するその色は、主成分のアルミナに混合される着色剤となる金属酸化物によって生成されるのだそう。

 その表は「コランダム合成宝石」「色合い」「着色剤」の3項目で構成されており、例えば「ホワイト・サファイア」(「コランダム合成宝石」欄に記載された宝石名には「合成」という文字が省略)の‘色合い’は「無色」であり、‘着色剤’は「なし」となっていました。
 その後、表では、「ピンク・サファイア」は「ピンク色」、ルビーは「赤色」・・・と続きますが、みちょるびんが持っている合成石はオレンジ色なので、‘色合い’が「橙色」という項目にあたる。

 それで気になって、その欄に書かれている「コランダム合成宝石」欄を確認してみたところ、「ダンバライト・タイプ」となっていました。

 聞きなれない名前です・・・。

 「●●・タイプ」という表現がされているものには他に、「黄金色」の「ゴールデン・サファイア(トパーズ・タイプ)」、「青紫色(日光下)、赤紫色(電灯下)」の「アレキサンドライト・タイプ」がありました。

 例えば「アレキサンドライト」は、2つの異なる光源下で見たときに違う色を示す、いわゆる「カラーチェンジ」という特殊効果を持つ宝石で、「カラーチェンジ」の代表格。
 だから、表で記された「アレキサンドライト・タイプ」とは、いわゆる‘カラーチェンジ効果を有する合成サファイア全般’を指すことが考えられます。

 一方「トパーズ」は――大衆的な宝石店でよく見かけるものは水色が多いので、もしかすると「トパーズ=水色の石」というイメージを持っている方も多いかも知れませんが――和名で「黄玉」とも言われるほど、実は黄色い石の代表格だったりします(「新☆誕生石!(27:11月の誕生石)」)。
 だから、みちょるびんとしては「黄金色」の石が「トパーズ・タイプ」と表現されていても、全く違和感はありません。

 つまり、「アレキサンドライト・タイプ」にしても「トパーズ・タイプ」にしても、その宝石名を引き合いに出すことで、その合成石の持つ色や特性を端的に表しているわけです。

 では、橙色の「ダンバライト・タイプ」はどうでしょう―――?
 「ダンバライト」はきっと、橙色の代名詞と呼ぶにふさわしい宝石であるに違いない!?

 でも、このダンバライト、みちょるびんは、初めて耳にする名前です・・・???
 普段みちょるびんは、宝石とは異なる業界に身を置いていますが、それでも「宝石鑑別」のディプロマを持つ「宝石学修了者」(「Graduate Gemomologist(グラジュエイト ジェモロジスト)」)の端くれ!
 オレンジ色の代表となり得る色石を知らないはずがない!!
 だけど「ダンバライト」だなんて、聞いたこともない!!!

 それでネット検索してみたのですが、「ダンバライト」という文字でのヒットは一切なく、代わりに「ダンビュライト(danburite)」の間違いでは?などと、質問返しをされました☆

 みちょるびんが持っている書籍「宝石の写真図鑑 オールカラー世界の宝石130」(1996年、Cally Hall著(英語版は1994年)で「Danburite」を調べてみたところ、「ダンビュライト」ではなく、「ダンブライト」という日本語表記になっていましたが、発見された場所――北米コネチカット州ダンベリーに因んで命名されたのだそう。
 和名は「ダンブリ石」で、硬度は7。
 シトリンやトパーズとよく間違われる石でもあるらしい。

 「合成コランダムの各色における着色剤表」の中の「ダンバライト」は「ダンブライト」の誤記なのか!?

 前述の「宝石の写真図鑑」によると、ダンビュライトは通常無色だが、黄色やピンク色のものもあるということだったので、ネットで画像を検索してみたところ、出て来たものはほとんどが無色。
 稀に、アメジストやレッド・スピネル、ピンク・サファイアを連想させるようなパープル系の赤っぽい色の石や、ゴールデントパーズのような黄色いものがあった程度でした。
 ブランデーカラーという濃い色のものも見ましたが、黄色系で濃い色は、かなりレアという印象! 
 とてもじゃないが、ダンビュライトは橙色の代表石とは呼べない!!

 だからきっと、「ダンバライト」は「ダンビュライト」とは別の鉱物に違いない??

 そんな中、書籍「楽しい鉱物図鑑」(1992年、堀秀道著)に、かつて九州の土呂久鉱山では長さ10cmに達するダンビュライトの結晶を産し、宝石用にカットできる品もあったという記述を見つけました。

 確かに、書籍「宝石の写真図鑑 オールカラー世界の宝石130」(1996年、Cally Hall著(英語版は1994年))では、宝石品質を産する場所の1つとして、我が国も名を連ねていたし、「GEMSTONES of the world」(1977年、Walter Schumann著)にもJapanの文字が!

 もしかすると、土呂久鉱山で産出されていたダンビュライトはオレンジ色をしていたのではないか?
 そのことは、当時の日本では有名な話で、だからこそ「橙色」を表する石名として「ダンバライト」(誤記→正:ダンブライト/ダンビュライト)が使われることになった??

 そんな推察のもと、みちょるびんは更に、調査を続けてみました。
(つづく・・・)

                             以上、みちょるびんでした! 

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