ファッション関係 宝石

ヒシヒシ。(73)

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 こんにちは、みちょるびんです♪

 書籍「宝石 その美と科学」(1972年、近山晶著)に掲載されていた「合成コランダムの各色における着色剤表」。
 橙色の合成サファイアのことは、「ダンバライト・タイプ」と表されていました―――。

 初めて耳にした「ダンバライト」は、鉱物にお詳しいサイト情報によって、どうやら「ダンビュライト/ダンブライト(Danburite)」のことだったらしい、「ダンブライト・タイプ」の誤記だった!?ということが解明しました!(「ヒシヒシ。(72)」)

 ピンポイントで求めていた情報が得られたのだから、ある意味ミラクル!!

 だけどどうして、石の色がオレンジ色!というわけでもない「ダンビュライト」が(「ヒシヒシ。(71)」)‘橙色を表す石’として指名されたのかは、依然としてナゾ。
 それとも「ダンブライト・タイプ」って、淡いオレンジ色の合成石のことを指していたのだろうか・・・??

 写真がないので、確認ができない・・・。

 だが、みちょるびんが持っている昭和レトロの指輪の合成オレンジ・サファイアは、パンチの利いたオレンジ。
 合成スピネルには淡い色合い――彩度(色の純度)の低いのがあるのは知ってるけど、合成コランダム(ルビーやサファイアの鉱物名)は、色が濃い――彩度が高いイメージがある―――。

 例えば、合成ピンク・サファイアなんかも、しっかり色がついていて、石が透けて指の地肌が見える・・・というような感じはない。
 それは合成ゴールデン・サファイアも同様なんだと思う。

 となると、橙色の石だけ敢えて「‘天然の’ダンビュライト」寄りに、スケスケの淡い色合いで作るとは考えられないから、やっぱり、みちょるびんの夕焼けのように燃える合成オレンジ・サファイアは「ダンブライト・タイプ」にあたるのだろう、と、思ふ☆

 ところで、「合成コランダムの各色における着色剤表」は、「コランダム合成宝石」「色合い」「着色剤」の3つの項目で構成されており、その合成石の色を作り出す着色剤の名前や分量も紹介されています。
 なぜなら、主成分のアルミナに着色剤を入れないかぎり、出来上がる合成石は無色になるからです。

 例えば、赤色を作る着色剤には酸化クロムが使われていて、合成ルビーなら酸化クロムが2~3%、合成ピンク・サファイアなら0.1~0.2%となっていました。
 合成ピンク・サファイアが、赤色の濃い合成ルビーよりも着色剤が少なくなるのは当然の結果ですね!

 黄色を生み出すには酸化ニッケルが使われるようで、合成イエロー・サファイアは0.5~1.0%とありました。
 同じ黄色系の‘黄金色’とされる合成ゴールデン・サファイア(トパーズ・タイプ)の場合は、黄色に少し赤味が足されて作られているようで、酸化ニッケル0.5%、酸化クロム0.01~1.0%となっていました。

 橙色は、ご存知のとおり、黄色と赤色が混ざった色。
 橙色の「ダンブライト・タイプ」も当然、酸化ニッケルと酸化クロムで着色されていました。
 こちらの配合は、酸化ニッケルだと合成ゴールデン・サファイアと同じ0.5%でしたが、酸化クロムは0.2~0.5%となっていました。

 あれ?
 赤味が強い橙色の「ダンブライト・タイプ」の方が、赤色を作る酸化クロムの量が多くなっても良さそうなものなのに、よく見ると少ない・・・??
 えーっ、これは一体どういうこと!?

 絵具で、黄色と赤色を混ぜてオレンジ色を作る時、黄色にちょっと赤色を足しただけですぐにオレンジ色ができることは、経験上知っている。
 だから、黄色の酸化ニッケルと赤の酸化クロムが1:1の割合で配合されるとなると、相当赤味の強いオレンジ色になるのではなかろうか!?
 そういう意味では、パンチの利いたオレンジ色ということなら、この割合は納得ができる。
 つまり、酸化ニッケル0.5%、酸化クロム0.2~0.5%というのは、打倒であるように感じられる。

 そうなると、合成ゴールデン・サファイア(トパーズ・タイプ)の酸化クロム0.01~1.0%の‘1.0%’というのは、酸化ニッケル0.5%に対して多くない??
 これは黄色の着色剤を上回る量。‘0.01~0.1%’の誤りだったりして!?

 あーっ、合成ゴールデン・サファイアについては、この際どうだっていいのだっ!

 第一、橙色を作る着色剤――黄色用の酸化ニッケルと赤用の酸化クロムが1:1の割合で配合されると、赤味の強いオレンジ色になるね♪っていうことと、石の彩度(色の濃さ)とは別の話!!!

 絵具の赤をたっぷりつけて色を塗ると赤色だったものが、水をたくさん含んで塗ってみると、淡いピンク色に見えるのと同じように、合成ルビーと合成ピンク・サファイアもご多分に漏れず、合成ルビーに必要な酸化クロムの量(2~3%)が、色の薄いピンクでは0.1~0.2%と少なくて済むわけです。

 濃い赤色を作るには着色買いが2~3%と必要だし、青色の場合は着色剤の総計が2.0%、紫色は総計2.1%で、アレキサンドライト・タイプも3~4%となっていた。
 石の色の濃度が高い石は、それなりの量の着色剤が投入されているということがわかる。

 その点、橙色は総計1.2%とやや少なめのように感じられますが、それでも透けることのないピンクの0.2%よりは多い。
 黄色が0.5~1.0%で済むことを考えてみても、「ダンブライト・タイプ」の橙色は「淡い色ではない」と見ていいだろう!

                             以上、みちょるびんでした!

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