こんにちは、みちょるびんです♪
公開30周年を記念した中山美穂さん主演映画『Love Letter』(岩井俊二監督作、1995年)を鑑賞しました(「『Love Letter』の感想。(1)・(2)・(3)・(4)」)。
みちょるびんの勘違いにより観た映画でしたが、せっかくなので感想を書きたいと思います。
ネタバレありなので、映画を観に行くご予定の方は、閲覧注意です!
7.女子・樹の想い
中学校でクラスメイトだった2人の樹――愽子の婚約者・樹と、女の子だが同姓同名の樹――は、2人で図書委員をさせられることになります。
真面目に仕事をする女子・樹に対し、不真面目な男子・樹。
男子・樹は、誰も借りた履歴がない図書を自らが借りることで、本の見返りに添付されている図書カードに自分の名前を残すという遊びを始めます。
中学3年のお正月に、女子・樹の父が肺炎で亡くなり、忌引きで学校を休んでいた彼女の元に、男子・樹が現れ、借りていた本を返せなくなったから、代わりに返却しといてほしいと言って図書を託すという出来事がありました。
この一連の出来事は、女子・樹にとって、男子・樹との最後の思い出として愽子に報告されました。
愽子が忌引きが明けて学校に登校したところ、男子・樹の机の上に花瓶に生けた花が置かれていました。
それは男子の単なるいたずらでしたが、愽子はそこで初めて、男子・樹が転校していなくなっていたという事実を知ったのでした。
愽子が机の花瓶を床にたたきつけ、花瓶が粉々に砕け散って、クラスが騒然となったところで、その思い出の場面は終了します。
樹は父を亡くした直後であり、机の花瓶はお父さんの死が連想され、樹にとっては冗談には受け止められなかったんだと思う。
だけど他方で、実はそこに樹の、男子・樹へのほのかな恋心が表現されているようにも思いました。
女子・樹自身、気づいていない感情だったのかも知れませんが、男子・樹のことが気になっていたからこそ、何も告げずに自分の元を去った彼に対して苛立ちを覚えたんじゃないか?
だからこそ余計に、男子・樹は「いやなやつ」という思いが女子・樹の記憶の中に強烈に植え付けられることになったんじゃないか、そんな気がします。
8・男子・樹の想い
男子・樹の中学最後の陸上競技の舞台となった中学校の写真を写して送ってほしいというリクエストが愽子からあり、女子・樹はプラロイドカメラを受け取ります。
人のいい樹は愽子のために母校を訪れ、写真を撮ります。
懐かしさから教室に入り、そこで当時担任をしていた先生に再会、図書室にも案内してもらい、図書係の女子中学生たちとの交流の時間も持ちます。
彼女たちの間で「藤井樹」という借主が有名になっていることを知らされ、同姓同名が故に、またしても樹本人の所業だと勘違いされてしまいます。
そしてこの日、樹は、男子・樹が2年前に亡くなっていたということを初めて知るところとなり、動揺したのでした。
それからしばらくして、図書係の女子中学生たちが樹の元を訪問し、彼女たちが中学校の図書館で見つけたという図書を樹に手渡してくれます。
それは、男子・樹が転校する直前に、女子・樹に返却を依頼してきたあの本でした。
中学生たちに促され、樹が本に挟まっていた図書カードの裏面を見ると、そこには、中学時代の樹の似顔絵が描かれていたのでした。
それまで、愽子には包み隠さず、男子・樹との思い出を報告していた樹でしたが、この出来事ばかりは、愽子に報告するのは控えようと決意しています。
彼が落書きした答案用紙まで、思い出の品として博子に進呈するというきめ細かい対応をしていたことを考えると、樹がはじめて博子に秘密にした出来事ということになります。
男子・樹とは特別な関係にないと断言してきた手前、気まずくなったのだろうし、男子・樹の自分への不器用な想いを知り、女子・樹にとって特別な思い出に変わったからなんだと思う。
樹の態度には、先生の前でいたずらを隠す子供のような無邪気さがあり、博子の樹への執着がその分浮彫になって、愽子が哀れに感じました。
それにしても、愽子の女の勘が当たったとでもいうか、結局、愽子がにらんだとおり、女子・樹は、男子・樹の想い人であったということです。
(つづく・・・)
以上、みちょるびんでした!