ファッション関係

良い行い。PartⅢ

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こんにちは、みちょるびんです。

【ある日の日記】

 友達の石ちゃんが、約束していた’ひいおばあちゃん’の指輪を持って来てくれた。

 形見分けの際に、残った指輪なのだそうで、2つあった。
 無色の石がついたものと、ピンクの石がついたもの。

 金属部分には「プラチナ」を示す刻印があるものの、とても汚いし、偽物だと思われてきたらしい。
 ところが最近になって、おじいちゃんが、「これは本物だと聞いている」と言い出したのだそうで。

 見せられた指輪は、本当に汚くて、宝石鑑別の勉強をしている私も、判断に苦しんだ。
 そもそも、パビリオン(石の底の部分)はじめ、クラウン(石の頭の部分)すらも汚れがこびりついていて、石が曇って見えるのだ。

 それで、無色の石の方を、可能な範囲で、ティッシュでこすって磨いてみたところ、ディスパージョン(七色のきらめき)が現れた。

 これは、ひょっとすると、ひょっとする。
 台もプラチナだし。
 台座が昔のデザインで、爪が大きく石を囲むように出ているので、それに惑わされて、私は、石の大きさがうまく読めなかったのだが、石ちゃん曰く、石の直径は、7mm程あったと言う。

 と、なれば、この石がダイアモンドであれば、1カラットはあるということになる。

 訊くと、ひいおばあちゃんはお金持ちだったのだそう。
 そうなると、本物(ダイアモンド)である可能性も高くなってくるというもの。

 もう一つのピンク色の石は、じゃあ、ルビーなのか?
 グラッシー(ガラスっぽい感じ)なので、これも判断が難しい。
 それに、こちらも同様に、パビリオンに付着した汚れが、本来の石の姿を隠しているのだ。

 石ちゃんは、今日はこれから、宝飾展示会に出かけるらしい。
 その展示会で、これらの石が何なのか、訊いてみるということだった。

 結果が楽しみだ。

【それから数日後の日記】

 友達の石ちゃんが、例のひいおばあちゃんの指輪を持って来てくれたので、改めて、ルーペで見てみた。

 石ちゃんは、先日、宝飾展示会に行き、既に、これらが何の石なのか、結果を知っていた。
 だが、私は、結果発表はもう少しだけ待ってほしいと頼んで、その前に、ルーぺで観察してみたのだった。

 しかし、相変わらず汚れがすごく、判断できなかった。

 結論は、無色の方がCZ(キュービックジルコニア)。
 ピンクの石は、合成のピンクサファイアとのこと。
 つまり、人工的に作られたサファイアということだった。

 なるほど・・・。
 納得がいった。

 宝石鑑別の勉強をしている私ではあるが、分からなくても仕方がない。
 これらの石は、ルーペだけでは正確に見分けがつかないものなのだ。

 おじいちゃんの発言で、ダイアモンドやルビー(天然)ではないかと、期待が高まっていただけに、残念な結果に終わった。
 とは言え、洗浄後のきれいな姿を見てみたかったので、私は、石ちゃんに、石のクリーニングを申し出て、石ちゃんから指輪を預かることにした。

【更に数日後の日記】

 今日は、石ちゃんから預かっていた指輪の洗浄を行った。

 しばらくの間、中性洗剤を溶かしたぬるま湯に指輪を浸けて、その後、歯ブラシを用いて磨いた。

 CZ(キュービックジルコニア)は、台座の裏がオープンだったので磨きやすく、思いの外、簡単にきれいになった。
 一方、合成ピンクサファイアの方は、裏が地金で覆われていたので、心配だった。
 それに、こちらも、尋常じゃない程の汚れが、びっしりついていたのだ。

 見たこともない汚れ。
 どうやったらこんなに汚れるもんなのか。
 持ち主が亡くなって、使われなくなって長いのだろうが、それにしても、頑固に、ぴったりついている。

 歯ブラシを当ててみると、ほんの細い隙間から、毛がうまい具合に入ったようで、石の裏側にびっしりついていた汚れがきれいに落ちていった。
 石の底をザラザラと覆っていた汚れが消えたことで、石の奥まで透けて見え、輝きが蘇ったのは、感動的だった。
 自分の所有物ではなくても、自然に笑みがこぼれてしまうくらい、うれしかった。

 やっぱり、宝石は、こうでなくちゃ!

 見違えるように美しくなったピンクサファイアの指輪は、その石の大きさゆえに、幼い子供の頃に、女の子なら誰もが思い描き、憧れた「お姫様の指輪」のようにも見え、指にはめると、きっと、ウキウキするに違いなかった。
 私は早く、このきれいになった指輪たちを、石ちゃんに渡したくてたまらなくなった。

 最後に、ルビーの指輪は、爪の際の方にも汚れがこびりついていたので、翌日、もう一度だけ、ぬるま湯に浸けて、改めて磨いた。
 そのおかげで、少しはマシになった。

 昨日は、貴金属専用の布で、地金も磨き、黒く変色していた部分もきれいにしたのだ。

 これで、文句あるまい!

【その翌日の日記】

 朝、早い段階で、預かっていた指輪を石ちゃんに返却した。

 石ちゃんは喜んでくれたが、私は、リアクションをもっと、期待していた。

 あのひどい汚れ具合と、この蘇った美しさの’雲泥の差’を十分理解できていないんじゃないか?
 これは、本当に、驚異的な、劇的な変化であるというのに!

 とは言え、ピンクサファイアなんかは特に、石ちゃんも「かわいい!」と言ってくれた。
 これは、以前にはなかった言葉である。

 これできっと、石ちゃんも、この指輪たちを使おうという気になってくれるに違いない。

 私は、この子たちが歓迎され、楽しんでもらえることが望みなので、満足である。

                            以上、みちょるびんでした!

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