デッサン会 旅行 第一次仕事イヤイヤ期

第一次仕事イヤイヤ期(その81:「スケッチ旅行(山中湖)」前編)

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こんにちは、みちょるびんです。

(前回までのあらすじ)
入社して最初の数年は、一つの夢も実現し、何の疑問もなく、仕事に励んでいたみちょるびん。そんなある日、占いで「将来、商売を始める」「自分を抑制している」と告げられ、仕事に対し、違和感を感じ始めた。学生時代に熱中していた「演劇」に活路を見出し、カルチャースクールの演劇講座を受講。そこで出会ったつるさんに誘われ、新たにダンス教室に通うことになったのだが・・・。

【12月中旬開催スケッチ旅行初日(日記)】

 早めに起きたつもりでいたが、家を出るのが遅くなってしまった。
 そもそも、皆に9時前に集合するように伝えた張本人の私が、その9時までにたどり着けないかもしれない状況で、ドキドキだった。

 新宿駅には9時10分前には到着したが、肝心のバスターミナルがどこにあるのかわからなかった。
 物産展の出店の準備をしているおばさんに道を尋ねたところ、「私も青森から出て来たばかりで知らないのよー」と返され、ショック。

 何とかターミナルを発見したが、ギリギリの9時だった。
 セーフ。
 とは言え、私が一番ビリだったのだが。

 今回のスケッチ旅行の目的地、山中湖までは、バスで、だいたい2時間15分の予定。
 富士急ハイランド辺りで、日陰のところに雪が残っているのが見えた。
 山中湖の雪がどの程度か見当がつかなかったが、あまり積もっていても、幹事として責任を感じるし、なんとも微妙な感じであった。

 到着した山中湖は、とても晴れていて、富士山がとてもきれいだった。
 こんなにきれいな富士山を見たのは、初めてではないか。

 足元は、ところどころ雪が残っていたが、歩いて移動するのには問題なさそうだった。
 レストランで腹ごしらえをしたあと、宿屋に歩いて移動した。

 私は、今回の旅行のために買った、1泊用の小さいキャリーケースが、道中、くるりとひっくり返るのを何度も直しながら、一団の先頭を歩いた。
 上り坂だし、思いの外、ちょっと宿屋まで距離があり、70代の方々を率いていたので、心配になったが、なんとか無事に、宿屋に到着できた。

 部屋割りをし、すぐに出かける支度をした。

 私は既に、温かい‘ばばシャツ’やレッグウォーマーを着用していたが、更に、カーディガンを重ね着して、ベレー帽をかぶった。
 肩には、ファーのポンチョをかけた。

 これでよかろう。
 いざ出陣!!

 私たちが、バス停から上がってきた道は、大道路で車が走っていたが、その逆の方向に向かって歩いてみた。
 雪道になっていて、とてもではないが、そこでは描けそうにないと思った。

 それで、富士山を描いてみたかったので、今度は、湖畔まで下りて行ってみることにした。

 やはり、椅子を持って来て正解だった。
 とてもじゃないが、この寒さでは地べたに座れない。
 お尻の熱を奪われてしまっただろう。

 先生に寒いよと言われたが、ベストポジションだと思われた、湖の波際に陣を構えた。
 椅子に座っても、お尻が風でスース―した。
 試しに、エプロンを腰に巻いたら、少しはましになってよかった。

 夢中で描いた。

 先生に、湖に浮かぶスワンボートなどは省略してもよいと言われたので、山と木々を描くことにした。
 すると、富士山もさほど複雑ではないし、木々も省略したしで、下描きはすぐに終わった。
 それに、早く色を付けたいと言う気持ちも強かった。

 富士山はとてもきれいだった。
 左から光が差しており、山の右の方には影ができていた。
 頂は雪で白くなっていた。

 油絵は、下地を描いた上に、白い絵の具を乗せることが可能だが、水彩画はそういうわけにはいかない。
 ‘足し算’ではなく、‘引き算’が重要だ。
 慎重に色を塗った。
 もう少し、「白」を強調したかったのだが、まあ、良しとしよう。

 山の下の木々を描き始めたところで、風が吹き出して、たまらなく寒くなってきた。
 高校生の時に使っていた軍手をはめてはいたものの、筆等を持たない方の左手が、氷のように冷たくかじかみ、やばかった。

 しかし、私は、絵を仕上げたくて、寒さでハァハァ言いながら、筆を進めた。
 とにかく、仕上げないと、この場を去れないと思ったので、猛スピードで色を重ねた。

 山の表情、例えば雲は、刻々と形を変化していく。
 私は、‘引き算’しながら雲を描くのは困難と思い、省略することにし、空は塗りつぶすことにした。

 髪の毛が風でなびき、顔にかかってきたが、そのまま放っておき、時々、それに視界を遮られながらも、目を凝らした。
 ベレー帽を何回も深くかぶり直した。

 そうやって、絵を描いた。

 何時から描き出したのか。
 時刻は15時になっていた。

 私は、これ以上の描き込みは困難と思い、切り上げることにした。
 気づいたら、他の皆も、近くで作業をしていた。

 タイミングの合った人たちで、一緒に、宿屋に戻ることにした。

 宿屋の並びにある甘味処で、「温かいおしるこを!」と目論んでいたのだが、店が準備中だったので、そのまま、宿屋に帰った。 (つづく)

                       以上、みちょるびんでした!

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