こんにちは、みちょるびんです。
(前回までのあらすじ)
入社して最初の数年は、一つの夢も実現し、何の疑問もなく、仕事に励んでいたみちょるびん。そんなある日、占いで「将来、商売を始める」「自分を抑制している」と告げられ、仕事に対し、違和感を感じ始めた。学生時代に熱中していた「演劇」に活路を見出し、カルチャースクールの演劇講座を受講。そこで出会ったつるさんに誘われ、新たにダンス教室に通うことになったのだが・・・。
【12月中旬開催スケッチ旅行初日(日記)】
早めに起きたつもりでいたが、家を出るのが遅くなってしまった。
そもそも、皆に9時前に集合するように伝えた張本人の私が、その9時までにたどり着けないかもしれない状況で、ドキドキだった。
新宿駅には9時10分前には到着したが、肝心のバスターミナルがどこにあるのかわからなかった。
物産展の出店の準備をしているおばさんに道を尋ねたところ、「私も青森から出て来たばかりで知らないのよー」と返され、ショック。
何とかターミナルを発見したが、ギリギリの9時だった。
セーフ。
とは言え、私が一番ビリだったのだが。
今回のスケッチ旅行の目的地、山中湖までは、バスで、だいたい2時間15分の予定。
富士急ハイランド辺りで、日陰のところに雪が残っているのが見えた。
山中湖の雪がどの程度か見当がつかなかったが、あまり積もっていても、幹事として責任を感じるし、なんとも微妙な感じであった。
到着した山中湖は、とても晴れていて、富士山がとてもきれいだった。
こんなにきれいな富士山を見たのは、初めてではないか。
足元は、ところどころ雪が残っていたが、歩いて移動するのには問題なさそうだった。
レストランで腹ごしらえをしたあと、宿屋に歩いて移動した。
私は、今回の旅行のために買った、1泊用の小さいキャリーケースが、道中、くるりとひっくり返るのを何度も直しながら、一団の先頭を歩いた。
上り坂だし、思いの外、ちょっと宿屋まで距離があり、70代の方々を率いていたので、心配になったが、なんとか無事に、宿屋に到着できた。
部屋割りをし、すぐに出かける支度をした。
私は既に、温かい‘ばばシャツ’やレッグウォーマーを着用していたが、更に、カーディガンを重ね着して、ベレー帽をかぶった。
肩には、ファーのポンチョをかけた。
これでよかろう。
いざ出陣!!
私たちが、バス停から上がってきた道は、大道路で車が走っていたが、その逆の方向に向かって歩いてみた。
雪道になっていて、とてもではないが、そこでは描けそうにないと思った。
それで、富士山を描いてみたかったので、今度は、湖畔まで下りて行ってみることにした。
やはり、椅子を持って来て正解だった。
とてもじゃないが、この寒さでは地べたに座れない。
お尻の熱を奪われてしまっただろう。
先生に寒いよと言われたが、ベストポジションだと思われた、湖の波際に陣を構えた。
椅子に座っても、お尻が風でスース―した。
試しに、エプロンを腰に巻いたら、少しはましになってよかった。
夢中で描いた。
先生に、湖に浮かぶスワンボートなどは省略してもよいと言われたので、山と木々を描くことにした。
すると、富士山もさほど複雑ではないし、木々も省略したしで、下描きはすぐに終わった。
それに、早く色を付けたいと言う気持ちも強かった。
富士山はとてもきれいだった。
左から光が差しており、山の右の方には影ができていた。
頂は雪で白くなっていた。
油絵は、下地を描いた上に、白い絵の具を乗せることが可能だが、水彩画はそういうわけにはいかない。
‘足し算’ではなく、‘引き算’が重要だ。
慎重に色を塗った。
もう少し、「白」を強調したかったのだが、まあ、良しとしよう。
山の下の木々を描き始めたところで、風が吹き出して、たまらなく寒くなってきた。
高校生の時に使っていた軍手をはめてはいたものの、筆等を持たない方の左手が、氷のように冷たくかじかみ、やばかった。
しかし、私は、絵を仕上げたくて、寒さでハァハァ言いながら、筆を進めた。
とにかく、仕上げないと、この場を去れないと思ったので、猛スピードで色を重ねた。
山の表情、例えば雲は、刻々と形を変化していく。
私は、‘引き算’しながら雲を描くのは困難と思い、省略することにし、空は塗りつぶすことにした。
髪の毛が風でなびき、顔にかかってきたが、そのまま放っておき、時々、それに視界を遮られながらも、目を凝らした。
ベレー帽を何回も深くかぶり直した。
そうやって、絵を描いた。
何時から描き出したのか。
時刻は15時になっていた。
私は、これ以上の描き込みは困難と思い、切り上げることにした。
気づいたら、他の皆も、近くで作業をしていた。
タイミングの合った人たちで、一緒に、宿屋に戻ることにした。
宿屋の並びにある甘味処で、「温かいおしるこを!」と目論んでいたのだが、店が準備中だったので、そのまま、宿屋に帰った。 (つづく)
以上、みちょるびんでした!