こんにちは、みちょるびんです。
(前回までのあらすじ)
入社して最初の数年は、一つの夢も実現し、何の疑問もなく、仕事に励んでいたみちょるびん。そんなある日、占いで「将来、商売を始める」「自分を抑制している」と告げられ、仕事に対し、違和感を感じ始めた。学生時代に熱中していた「演劇」に活路を見出し、カルチャースクールの演劇講座を受講。そこで出会ったつるさんに誘われ、新たにダンス教室に通うことになったのだが・・・。
1.ダメ出し
ある夜、一人の女性同僚と、お酒を飲みながら食事をしているときに、BFがなかなかできないねぇというような話になりました。
その時、彼女に、みちょるびんにBFができないのは「努力不足」が原因である旨指摘され、やせる努力をすべきと言われました。
彼女の言い方は、みちょるびんが「見苦しい」とか「醜い」みたいなレベルの、辛辣なものでした。
幸い、みちょるびんは、彼女には、個人的な恋愛話はしないようにしていたので、みちょるびんのダメダメ加減を彼女は知りませんでした。
だから、そっち方面のおとがめはありませんでしたが、それにしても、外見のダメ出しを受けたのはその時が初めてでした。
2.太っちょの利点
みちょるびんは、元々ビジュアル系ではありませんが、化粧やらファッションやら、それなりに‘こだわり’みたいなものもありましたし、小ぎれいにしているつもりだったので、なんだか全否定されたような気持ちになりました。
自分でも‘太っちょ’という自覚はありましたが、実のところ、ちょっと‘太っちょ’の人が、キレのいいダンスをすると、それだけで感動するというか、そういったギャップが面白いと思っていたところがあり、また、‘太っちょ’だからこそ、親しみのある愉快な雰囲気も作れるのだろうという気持ちもあったので、ダンスをする上では、‘太っちょ’も一つの利点と、楽観視していたところがありました。
とは言え、彼女の豪直球に、みちょるびんはやはり、ショックを受けました。
3.新聞の切り抜き記事
その週末は、ダンス教室に入会してからちょうど5周年で、みちょるびんにとって、記念日となるはずでした。
しかし、同僚に言われた言葉を引きずっていたみちょるびんは、明るいノリで踊れる気がせず、ダンス教室を休もうかとすら思っていました。
そんなときに、実家から荷物が届きました。箱の中には、みかんとともに、新聞記事の切り抜きが入っていて、次のように書いてありました。
「うらむことは、まだ、自分が‘ガキ’ということ」
この言葉は、妙に、みちょるびんの胸に刺さりました。
あの同僚にしても、恋愛がらみの人にしても、「みちょるびんが、まだ、ガキということ」なのか?
この気持ちをどう整理したらいいものか、戸惑いました。
しかし、受け入れること、相手を許すこと、自分自身がそれを気にしないことが大切なのではないか。
そして、自分には自信が必要なのだろうと思いました。あるいは、信念も。
なんだか、頭がごちゃごちゃしていましたが、今日はとにかく、これを踊りのテーマに選ぶことにしました。
4.5周年記念の即興ダンス
即興ダンスでは、みちょるびんは、自分自身がそぎ落とされた‘ぜい肉’になり、長いこと、床にだらりと寝転がっていました。動きたくなかったし、殻に閉じこもりたかったのです。
ダンス仲間の一人が、みちょるびんに絡んできて、その‘ちょっかい’には困りましたが、それでも長いこと、耐えました。
しかし、そのうちに、この‘ぜい肉’も自分の一部だと思うと、急に楽しくなってきました。そんなときに、ちょうど曲調が、軽快なものに変わったので、みちょるびんは跳ね起きて、思い切り、その明るく楽しい曲を楽しみました。
自由に、奔放に、全身を使って踊りました。踊っていて、とても、いい気持ちがしました。
この日は、レッスンに参加されていた、みちょるびんも憧れのプロのダンサーの方々に、「主演女優賞」「OL辞めて芸能界に入れば? 苦労するだろうけど」「みちょるびんのようになりたい」「自分のテーマ『恐れと希望』はみちょるびんだった」などと褒めていただきました。
先生からも近く予定している舞台では出番を増やすと言っていただき、大変恐縮ではありましたが、最高にうれしかったです。
同僚の言葉に、一時は自信を失いかけましたが、ダンス仲間たちの愛ある言葉に、みちょるびんは、たくさんの勇気をもらいました。
最高の5周年記念となりました。
5.後日談
翌日、みちょるびんは、荷物のお礼のために、実家に電話をしました。両親は、新聞記事のことはすっかり忘れていた様子でした。
タイムリーな言葉が送られてきたことは、不思議でしたが、みちょるびんは、それに感謝しました。
そして、舞台の出番を増やすと言われて、すっかり有頂天になったみちょるびんは、痩せるために、ウォーキングを始めることに決めたのでした。
以上、みちょるびんでした!