ダンス! 第一次仕事イヤイヤ期

第一次仕事イヤイヤ期(その111:「つるさんダンサーズ」(その4.本番!)編)

投稿日:2021年3月26日 更新日:

こんにちは、みちょるびんです。

(前回までのあらすじ)
入社して最初の数年は、一つの夢も実現し、何の疑問もなく、仕事に励んでいたみちょるびん。そんなある日、占いで「将来、商売を始める」「自分を抑制している」と告げられ、仕事に対し、違和感を感じ始めた。学生時代に熱中していた「演劇」に活路を見出し、カルチャースクールの演劇講座を受講。そこで出会ったつるさんに誘われ、新たにダンス教室に通うことになったのだが・・・。

【つるさんダンサーズの結成】

 ダンス教室に通うきっかけを作ってくれた、みちょるびんの恩人つるさん。そのつるさんの講談「真打昇進お披露目パーティー」の晴れの場で、ダンスを踊ることになった。「つるさんダンサーズ」を結成したダンス仲間5人は、5曲の民謡で構成されたメドレー曲で、それぞれ1曲ずつを、振付担当することにした。1曲目の「東京音頭」は、素人ダンス仲間で、ダンスの先生の誕生会で結成した「まいレンジャー」のトウちゃん(仮名)、2曲目の「花笠音頭」はみちょるびん、3曲目の「ドンパン節」は唯一の男性メンバー、プロのドンさん(仮名)、4曲目の「炭坑節」は役者を目指しているタンちゃん(仮名)、最後の5曲目の「大東京音頭」は素人ダンス仲間で、おちゃめなダイちゃん(仮名)。本番2日前に、何とか、お互いの振付を教え合い、ダンスも完成した。前日にも練習をしたみちょるびんたちだったのだが・・・。

【本番当日の日記】

 今日は、ダンス本番。

 何か、一日中、ソワソワしていた。
 「早く終業時間にならないかな」などと、考えてすごした。

 ドンさん以外の女子3人は、今日は全員、仕事が休みなので、早めに会場入りすると聞いていた。
 ドンさんも、18時半から19時には行くというので、私も、18時半の会場到着を目指した。

 パーティーが開催される場所に着いて、会場近くで、すぐにトウちゃん、タンちゃん、ダイちゃんの女子3人を発見した。
 ドンさんは今、会場の下見に行っていると言う。
 皆、口々に、「舞台が狭いので、踊れない」と言っていた。
 私はとにかく、舞台の様子を見に行った。
 ドンさんにも、すぐに会えた。

 ステージは、簡易に設置されたもので、たくさんの人が登壇することは想定されていないようだった。
 パーティーの趣旨を考えると、確かに、そのくらいの広さで、十分なのかも知れなかった。
 ステージの前にも多少のスペースがあるとは聞いていたが、狭かった。
 客席が、すぐ1.5メートルくらいの距離のところに迫っていた。

 これはもう、ステージ上で踊る他ないと思った。
 確かに、ステージのこの狭さには、ちょっと不安を覚えたが、それしかチョイスはないと思った。

 3人の女子は、「振付を変えた方がいい」とか、「前に出て踊る一人は、ステージの下に下りて踊った方がいい」などと考えていたようなので、私は反対した。
 それでは、せっかくのメインのソロが目立たなくなるし、次のフォーメーションを作るのも、距離ができる分、大変になる。
 また、当然、今から振付を変えていては、混乱するだけだ。

 私が不安に思っていると、皆も余計に不安がるだろうから、私は、「No problem、問題なし!」という顔をしていた。

 ドンさんも交えて、別のフロアに皆で移動し、実際のステージの広さを想定して、踊ってみた。
 案の定、狭く、踊りづらかった。

 それまでは、ソロが前で踊る以外は、全員が横一列に並んで踊っていたので、私は、「Wの立ち位置に、フォーメーションを変更することで、問題は解消するのではないか」と、皆に提案した。
 皆、納得してくれた。

 その他の不安事項として、「大東京音頭」のポジショニングで、ショッカーのように交差して入れ替わるというパートが挙げられた。
 広いスペースで練習していた時ですら、ぶつかってしまうことがあったので、狭いステージ上での入れ替わりは難しい、と。

 そこで私は、列の両端にいて、1番目と2番目に時間差で交差するドンさんとトウちゃんについては、いっそのこと、舞台から飛び降りることを提案した。
 そうすることで、狭い舞台上でごちゃごちゃせずに済み、更に、より快活な印象になるはずである。
 皆、即座に感動してくれた。

 これで、一気に、皆の不安が解消されたようだった。
 テンションも上がって来た!!

 私たちの出番の前に、もう一組、踊りを披露したペアがいた。
 さすがに、そのダンサーさんたちは、踊りがうまかった。
 曲には三味線の音色が入っていた。
 私も、最初は、津軽三味線の曲を検討していただけに、逆に、いい曲を見つけられなくて良かったとつくづく思った。
 カブるところだった。
 また、彼女たちの衣装も、上着が着物っぽく、おまけに扇子を使っていたので、本当、一歩間違えると、同じ印象になりそうだった(最も、私は、落ち着いた曲を使うつもりはなく、景気良い感じにすることを目指していたが)。
 彼女たちは、それぞれ舞台の下に舞い下りて、客席の中を踊り歩いた。
 それは、観客の目を引いたし、十分に効果があったと思う。

 そして、いよいよ、私たち、つるさんダンサーズ。
 とにかく元気に、盛り上げていこうと思った。

 曲が始まると、すぐにお客さんの手拍子が始まった。
 あとで聞いたら、曲の歌詞に合わせて、民謡を口ずさんでいたお客さんもいたらしい。

 私は、夢中で踊った。

 あんまり張り切りすぎて、2曲目の自分の出番の時には、既に息が上がっていたくらい!
 個人的に、一番心配していた複雑な振付の「大東京音頭」を無事に成功できたのは良かった。

 しかし、そこからがまずかった。
 それで気が緩んでしまったのか、それからあとの、クライマックスに向けての踊りがボロボロだった・・・。
 ちょうど扇子を広げたあたりから。
 フラフラとバランスを崩し、ヨロけてドンさんにぶつかったりした。
 また、同じ振りのはずなのに、皆が姿勢を低くしている中、一瞬、自分一人だけが突っ立っていて、びっくりした。
 音楽がよく聞こえていなかったようだ。
 それでも、とりあえず、最後の決めポーズはなんとか、ちゃんとキメた。

 拍手喝采。
 ウケたらしい。
 良かった!!

 つるさんに挨拶しようと、一旦、会場に戻ったら、たくさんのお客さんたちに囲まれ、写真を頼まれて、何枚も一緒に撮ってもらったりした。
 ダンスがお客さんにウケた証拠である。

 つるさんに、「誰が考えたの?」と訊かれ、「皆で考えました」と答えた。

 あーっと、踊っている時のお客さんの反応で、私が覚えているのは、「お客さんに背を向けて立っていて、前を振り向いた瞬間に、手ぬぐいを前に突き出してポーズをとった時」と、「虫の時」。
 その時に、「オーッ」という歓声を聞いた。
 やはり、面白かったらしい。
 成功、成功!

 私個人のパフォーマンス面では、よろめいたり、振付を間違えたりと、みちょるびん様にはあるまじき行為で、自分でも戸惑っている・・・。
 が、まぁ、練習は3回しかできなかったわけだし、特に振付が決まってからは、2回だったし・・・、この短期間で、よくがんばったよ!
 それに私は、その間、海外出張にまで出かけていたのだから!!

 お客さんも盛り上がっていたし、反応も良かった。
 楽しかった。

 つるさんダンサーズの他の皆も、口々に楽しかったと言っていた。
 ダイちゃんが「クセになりそう!」と言うのに対し、トウちゃんが「私は、(まいレンジャーと)これで2回目だよ」と自慢していた。

 ふふふ・・・、みちょるびんはもっとやっているのだよ。

 思い起こせば、学生時代のクラブ活動で、「演劇部」でありながら、ダンスを創作して、皆で踊ったのだった。
 しばらく活動は休止していたが、その後、従妹等の結婚式、同僚の送別会、ダンスの先生の誕生会、そして、今回・・・と、これまでも、ずーっと好評だったじゃないか!

 故郷の占い師、’エスパーのおじさん’が、「演劇を続ければ、人気者になる」と言っていたことを思い出した。
 演劇ではないが、ダンスの出し物のことではないか!?
 お客さんの中には、「どこで踊りをやっているのか」と訊いてきた人もいて、「お声が掛かれば、どこへでも出張しますよ?」という私の冗談も、半ば本気に受け止められていたようだし!! 

 そのあとは、そのまま5人で打ち上げに行き、楽しかった。

 ダイちゃんとタンちゃんに、「みちょるびんさんは、周りを明るくし、華がある(!)」と言われ、ちょっとうれしかった。
 そしてドンさんからも後でメールが届き、「才能(!)に脱帽!」なんて言われ、やっぱりうれしかったのだ。 (つづく)

                            以上、みちょるびんでした!

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