こんにちは、みちょるびんです。
(前回までのあらすじ)
入社して最初の数年は、一つの夢も実現し、何の疑問もなく、仕事に励んでいたみちょるびん。そんなある日、占いで「将来、商売を始める」「自分を抑制している」と告げられ、仕事に対し、違和感を感じ始めた。学生時代に熱中していた「演劇」に活路を見出し、カルチャースクールの演劇講座を受講。そこで出会ったつるさんに誘われ、新たにダンス教室に通うことになったのだが・・・。
【つるさんダンサーズの結成】
ダンス教室に通うきっかけを作ってくれた、みちょるびんの恩人つるさん。そのつるさんの講談「真打昇進お披露目パーティー」の晴れの場で、ダンスを踊ることになった。「つるさんダンサーズ」を結成したダンス仲間5人は、5曲の民謡で構成されたメドレー曲で、それぞれ1曲ずつを、振付担当することにした。1曲目の「東京音頭」は、素人ダンス仲間で、ダンスの先生の誕生会で結成した「まいレンジャー」のトウちゃん(仮名)、2曲目の「花笠音頭」はみちょるびん、3曲目の「ドンパン節」は唯一の男性メンバー、プロのドンさん(仮名)、4曲目の「炭坑節」は役者を目指しているタンちゃん(仮名)、最後の5曲目の「大東京音頭」は素人ダンス仲間で、おちゃめなダイちゃん(仮名)。次の合同練習までに、何とか、振付を完成させ、間に合わせることができたみちょるびんであったのだが・・・。
【本番2日前の日記】
今日は、仕事の後、19時半に皆と待ち合わせた。
出張から帰ってきたばかりで、仕事がたくさん溜まっていたが、今日はすぐに退社した。
練習は、第一回目の時に利用した、神社の公園で行った。
既に日が暮れており、「暗くて、陰気だといやだな」と少し心配に思っていたが、他にも人がいて、照明の下は、思ったよりも明るかった。
まずは、他の4人の振付を見せてもらった。
ドンさんからの連絡で、タンちゃんとダイちゃんの振付が面白いと聞かされていたので、興味があった。
役者を目指しているタンちゃんについては期待ができたが、ダイちゃんは素人ダンサーなので、正直に言って、半信半疑だった。
でも、ダイちゃんのダンスを見て、驚いた。
ちょっとくやしく思った。
私には想像もつかない複雑な振付で、その独創的な感じに圧倒されてしまった。
後で、ダイちゃんから、子供の頃に、故郷でこの振付を習い、皆で踊ったものだったということを聞き、少しホッとしたのだった。
それにしても、ダンス教室では見たことのない、元気で楽しそうなダイちゃんのパフォーマンスに面喰った。
「こういう一面があったのか、侮れない」と思った。
いずれにせよ、この何がどうなっているのか複雑な動きの「大東京音頭」の振付を、自分がちゃんとマスターできるのか、非常に不安になったのだった。
他の皆の振付も、それぞれの個性が表れていて、「振付が被るかも」という私の心配は、杞憂に終わった。
トウちゃんは、得意の和太鼓の振りにしていたし、ドンさんは、タップダンスを取り入れていた。
また、役者を目指しているタンちゃんは、演劇仕立てになっていて、それぞれが、ユニークだった。
皆は、私が不在の中でも、この間の週末に一度集まって練習していたので、とりあえずは、他の人のパートは踊れるようになっていた。
が、しかし、その他の、皆で踊る共通の部分の振付が、第一回目に練習した時からほとんど変わっておらず・・・、というより、作られていなかった!
まぁ、全員が集まってから、みんなで作ろうという意図もあったのだろうが。
私のパートを皆にお披露目したときは、「さすが!」とドンさんにも言ってもらえ、苦労しただけにうれしかった。
皆にも気に入ってもらえたようで良かった。
それからは、他の人のパートの振付を一つずつ教えてもらい、私のも、皆に伝授した。
5曲あるので、やはり時間がかかった。
だから、まだ振付ができていない、’皆で統一して踊る間奏’の振付作成に着手した時は、22時になろうとしていたと思う。
本番を明後日に控えていたので、さすがに焦った。
それぞれ、自分のパートの時は、皆の前に出て、中心になって踊るというフォーメーションにしていた。
だから、自分のパートに入る前の’間奏’を踊っている時に、すぐに前に出て行けるように、真ん中にポジショニングするようにアレンジしたのだが、ダイちゃんの時が苦労した。
それまでの間奏の時は、その場を皆でぐるぐる回ることにより、ポジション変更ができていた。
しかし「大東京音頭」に限っては、その間奏が短く、それまでのようにぐるぐる回る作戦が通用しなかったのだ。
そこで思いついたのが、横一列に並んでいる両端の人から、順次、交差するような形で、舞台正面を横切り、次のポジショニングにつなげるというものだった。
そして、舞台正面を通る時に、「ヒューッ」っと、まるで仮面ライダーに出て来る悪の手先’ショッカー’みたいな奇声を上げて、観客にアピールすることにした。
変化があって、面白い。
次に、困ったのが、めでたくポジショニングできた後の、「大東京音頭」に入る直前にある、別の長い間奏だった。
ここでは、何か、別の新しい振付を考える必要があった。
ちょうど、ダンスを、舞台正面から見た時、今回の振付では、ダンサーが前後に移動するという動きが一切なかったので、それを入れてみることにした。
5人が横一列になり、時間差で、前進、後退という動きをするのだ。
衣装兼小道具として、手ぬぐいを首に巻いて踊ることにしていたので、首に垂らした手ぬぐいの両端をそれぞれの手で持って、ニワトリのような仕草で腕を上下に揺らしながら、腰を曲げた格好で、前後に移動するという振りにした。
すぐに皆、賛成してくれた。
実際に皆で試してみた時、私が顔を上げたまま前進したのに対し、ダイちゃんは顔を下に向けて、頭から突進するような感じに踊っていて、ドンさんが、その様子の面白さを指摘した。
「確かに、面白い!」ということになり、ダイちゃんの’下を向いて前後する’という動きを採用することにした。
この振付は、皆のお気に入りとなり、ナンか’虫’っぽかったので、皆で面白がって、’虫’と呼んだ。
そうやって、ようやく、見事に、きれいなポジショニングを作ることが可能となった。
もうその頃になると、振付のアイディアは、私が出すのを皆が待っている、という感じがあったが、全てクリアできた時は、やはり、うれしかった。
本当に面白い踊りができたと思った。
23時頃には、だいぶ形になってきていて、一人ずつ交代で前の方に出て行って、ダンスの出来栄えを確認し合った。
誰もが、その面白い出来上がりに興奮していた。
23時15分頃、解散。
さすがに疲れた。
【本番前日の日記】
今日は、元々、ダンスの練習日にはしていなかったが、昨日、「やはり集まろう!」ということになり、皆で集合した。
タンちゃんの働きで、ダンス教室のスタジオを借りることができたので、衣装となる着物を試着することができた。
着物を持っていない私のような人には、同じく、タンちゃんが着物を調達してきてくれ、貸してもらえたので助かった。
私は、前日の練習の疲れもあり、裸足で踊っていると、右足の裏が痛くなって、その痛さのため、本腰を入れて踊ることはできなかった。
それに、鏡の前で、皆と合わせて踊るのは、ちょっと恥ずかしかった。
振りを間違うと、すぐにそれが、皆にバレるからだ。
踊りの最後の方では、扇子を使うことで、更に、踊りを華やかに盛り上げるというアレンジにしていた。
扇子は、今回、つるさんが真打昇進の記念に作製したもので、つるさんの銘が入っていた。
だから、「常につるさんマークが正面になるように、扇子使いをマスターせねば」と思った。
練習しなきゃ!
家に帰ってからは、翌日の支度をしなければならないというのに、疲れていたこともあり、ダラダラしてしまった。
おかげでまた、寝るのが遅くなってしまった。
明日は、いよいよ本番。
大丈夫か!? (つづく)
以上、みちょるびんでした!