こんにちは、みちょるびんです。
(前回までのあらすじ)
入社して最初の数年は、一つの夢も実現し、何の疑問もなく、仕事に励んでいたみちょるびん。そんなある日、占いで「将来、商売を始める」「自分を抑制している」と告げられ、仕事に対し、違和感を感じ始めた。学生時代に熱中していた「演劇」に活路を見出し、カルチャースクールの演劇講座を受講。そこで出会ったつるさんに誘われ、新たにダンス教室に通うことになったのだが・・・。
【つるさんダンサーズの結成】
ダンス教室に通うきっかけを作ってくれた、みちょるびんの恩人つるさん。そのつるさんの講談「真打昇進お披露目パーティー」の晴れの場で、ダンスを踊るように頼まれたみちょるびん。つるさんのたっての希望となると、断れない! ダンス教室の仲間に声をかけ、「つるさんダンサーズ」を結成することになったのだが・・・。
【本番10日前の日記】
今日は、’つるさんダンサーズ’の皆で、初めて集まって練習する日。
踊る曲を選曲するにあたり、皆に、「一曲ずつ持ち寄よろう!」と提案した手前もあり、私は、とりあえず、津軽三味線のCDを持って行った。
練習場所として案内されたのは、普段通っているダンス教室の近くにある神社の公園だった。
日陰ができていて、気持ちのよい場所だった。
まず、それぞれに持ち寄った曲を聴いてみた。
それで私は、タンちゃんが持ってきた民謡メドレーを推した。
明るく、ノリが面白かったし、ちょうど民謡5曲で構成されていた。
我々’つるさんダンサーズ’も5人組なので、民謡を1曲ずつ、それぞれが振付担当すればいいと思ったのだ。
皆、この提案に賛成してくれ、曲は「GO!GO!音頭メドレー」(小夏&ひょっとこ)に決まった。
1曲目の「東京音頭」は、素人ダンス仲間で、ダンスの先生の誕生会で結成した「まいレンジャー」のトウちゃん(仮名)、2曲目の「花笠音頭」は私、3曲目の「ドンパン節」は唯一の男性メンバー、プロのドンさん(仮名)、4曲目の「炭坑節」は役者を目指しているタンちゃん(仮名)。
そして、最後の5曲目の「大東京音頭」は素人ダンス仲間で、おちゃめなダイちゃん(仮名)が、それぞれ担当することになった。
そして、これら民謡以外の部分、つまり、民謡と民謡の間を繋ぐ間奏のところで繰り返し出て来るフレーズ「今日も元気に(ソレ、ソレ、ソレ、ソレ!)、歌って踊ろう(ソレ、ソレ、ソレ、ソレ!)」と「うれし、楽しい、懐かしい、お国自慢の、お国自慢の、この歌、あなたに!」は、皆で、統一した振付を踊ることにした。
ちょっとワンマンなところはあったけど、ここのところは、私が作った振付で、ほとんど決めさせてもらった。
でも、なかなか楽しいダンスになっているのではないかと思う。
練習は楽しかったし、皆も、楽しんでいたと思う。
3時間ほど練習して、トウちゃんとタンちゃんは仕事があったので、軽くランチしたあと解散した。
その後、「出演者の打ち合わせをするので参加してほしい」という連絡がつるさんからあったので、夜に、また、改めて出かけていった。
打ち合わせは、ドンさんと、ダイちゃんの三人で参加した。
いつも明るく自由なつるさんだが、つるさんが所属している講談界は、伝統のある由緒正しきところなのだ。
我々の見えないところで、’格式’を重んじる・・・とか、いろいろと大変なんだなぁと思った。
打ち合わせが終わったあとは、今朝の練習に参加できなかったダイちゃんに、練習内容を伝え、別れた。
【本番3日前の日記】
明日は、皆で、つるさんダンスの練習を予定していた。
私はまだ、自分が担当している「花笠音頭」の振付で悩んでいた。
1週間前に、一度皆で集まって練習したが、その2日後に、実は私は、3泊4日で海外出張に出かけていた。
そして、出張から戻って来たのは、一昨日だった。
出張の間は、とてもではないが、ダンスの振付を考えているような時間的、精神的余裕はなかったし、疲れて、曲を聴けるような状況ではなかったのだ。
それでも、仕事の行き帰りの時等は、ダンスのことばかり考えていたのだけどね・・・。
以前、職場を退職された方の送別会の時に、同僚と皆で踊るために作った振付が、結構、自信作だったので、その時の振付の一部を取り入れてみたりしたのだが、イマイチ、自分の中で納得できずにいた。
しっくりこないというか。
せせこましいというか。
それに正直、プライドもあった。
5人がそれぞれ、自分で振り付けたものを持ち寄るから、皆に負けたくないと思ったし、他の人の振りと被ってはいけないとも思ったのだ。
だから、オリジナリティーが要求されると考えていた。
「めでた、めでたーの」は、明るく元気で、めでたい感じが出せて、そこの振りは自分でも気に入っていた。
しかし、そこから先が、続かなかった。
「花笠音頭」は、めでたく、上向きの歌詞なので、歌詞通りのノリで踊ろうとしたら、全体的に似たような動きになってしまい、案外、難しかったのだ。
メリハリをつける必要があったし、また、「若松様よ」「枝も(チョイチョイ)」「栄えて」「葉も茂る(ハ ヤッショ マカショ シャンシャンシャン)」と、歌が後半に行くに従って、段階的に、栄えて行く様子を表現する必要があると思っていた。
最初、「枝も(チョイチョイ)」などは、手を左右に’枝’のようにカクカク広げて「チョイチョイ」でエジプトダンスみたいな、左右に手を揺らす動きを入れていたのだが、妹に振り付けたダンスを見せたら、あまり好評が良くなかった。
「上半身だけの踊りになっている」と、痛いところをつかれた。
ずっと、時間がなくて、頭の中ばかりで踊りを構成していたので、やっぱり、振りが小さくなってしまっていたのかもしれない。
だが、妹を前にして、いろいろ試していたら、そのうち面白い動きができてきた。
腕を両方向に広げることはせず、一方向だけに枝(腕)を生やかしていくのだ。
なかなかユニークなポーズ。
「チョイチョイ」も手の平を上に向けて、カスタネットを模したように、指先だけを’ちょんちょん’と動かすようにした。
面白い。
随分、前日に考えていたものから変わったが、「これでこそ、私のダンス!」という感じに仕上がったと思った。
何とか間に合った!! (つづく)
以上、みちょるびんでした!