ダンス! 第一次仕事イヤイヤ期

第一次仕事イヤイヤ期(その102:「初ライブ!」完結編)

投稿日:2021年2月10日 更新日:

こんにちは、みちょるびんです。

(前回までのあらすじ)
入社して最初の数年は、一つの夢も実現し、何の疑問もなく、仕事に励んでいたみちょるびん。そんなある日、占いで「将来、商売を始める」「自分を抑制している」と告げられ、仕事に対し、違和感を感じ始めた。学生時代に熱中していた「演劇」に活路を見出し、カルチャースクールの演劇講座を受講。そこで出会ったつるさんに誘われ、新たにダンス教室に通うことになったのだが・・・。

【ダンスライブ当日、第二部(日記)】

 そうやって、第一部のステージは終了した。

 第一部のエンディングの曲に出演したプロのダンサーたちは、一様に上手だったが、いつも教室で見ている皆と、全然、様子が違っていた。
 やはり、緊張するのだろうか。
 レッスンの時のような、のびのびとした感じが見られなかった。
 そう、余裕がないとでもいうのか。

 誰かが、「レッスン・スタジオの方がもっと自由に踊れる」と話しているのが聞こえた。
 おそらく、本心に違いない。

 こういう場合、本番で、いかに実力を出せるかということが、問われてくるのではなかろうか。
 ’本番に強い’ということが重要なのだ。

 私は、たぶん、素人だからこそ、気楽でいられるということもあるのかも知れないが、私には、その場を楽しむ余裕があるように思う。
 高校時代に演劇をしていたお陰なのだろうと、自分では思っていたのだが、考えてみると、私ともう一人の子以外は、ダンスや演劇をなりわいにしている人たちなのだ。
 そういうプロの人たちですら、普段の力が発揮できないと言うのだから、やっぱり、学生時代に演劇をやっていたというだけの理由ではないのかも知れないと思った。

 プロダンサーのMさんは、第一部のオープニングでの私を誉めてくれた。
 そのMさんは、ステージ上では、一番自然だったように思えた。
 舞台慣れしているということもあろうが、余裕があった。
 見ていて、安心感があるのだ。

 私のことを批評できたということは、それだけ、周りを客観的に見る余裕があったということであり、また、自分のパフォーマンスにも自信があるという証ではないか。
 他のダンサー、特に、私のような素人をも、ちゃんと受け入れることができ、且つ、優しい言葉をかけることができるなんて、格好いい。
 ちょっと、Mさんのことを見直した。

 18時過ぎ。
 第二部のリハーサルを行った。
 最後、リハーサルを行っていないのは、唯一、私も出演するエンディングの曲のチームだけになった。

 Hちゃんが、「まだリーダーが決まっていません」と先生に伝えた。
 私はすかさず「Hちゃん!」と提案した。
 すると先生が「みちょるびんさんやってください」と言われた。
 ちょっと困った声を出したら「やらないですか?」と訊かれた。
 先生に任命されるのは、名誉なことである。
 断るのはいやだった。
 気は進まないが「やります」と答えた。

 先生が、「みちょるびんさん、面白いのをやってください。後ろでちゃんと、付いて行きますから」と言ってくださった。
 それで私は、ようやく、気が楽になった。

 実はいつも、レッスンの時に、「(周りが真似しやすいように)周りの人のことをちゃんと考えて、振りをするように」と注意されていたので、やりづらさを感じていたのだ。
 でも今は、好きに自由に動いてもいいと、先生からのお墨付きがもらえたのだ。

 そうは言っても、出番までの待ち時間は、落ち着かなかった。
 うまくやれるだろうか・・・。

 19時が過ぎると、お客さんが、どんどん入ってきた。
 第一部の時より、はるかに入りが多い。
 つるさんたちも観に来てくださり、席に案内した。
 妹や義妹たちも、来てくれた。
 私は、軽く皆に挨拶した後、また、バックステージに戻り、出番を待った。

 待ち時間に、オレンジジュースを飲んだせいで、体が冷えたのか、お手洗いに行きたくなった。
 出演の2つ前くらいの曲の時、一度、トイレは済ませていた。
 それなのに、また行きたくなったのだ。
 緊張しているのか?
 微妙な感じ。
 すごく行きたいわけではないのだが、ちょっと気になる・・・みたいな。
 行ったばかりなのだから、我慢できないはずはなかろうと思い、そのまま出番を待つことにした。
 第一部のステージの後、何となく背中が痛かったので、体をくねくねしながら待機した。

 いよいよ、先生がステージに出られた。
 挨拶が終わり、先生が目で合図された。

 私は静かに舞台に出た。
 自分がどういう振りをしたのか、よく思い出せない。
 しかし、いつもよりも自由にできたと思う。
 そして、いつもよりも面白い振りができたのではないか。

 今日は、時間を忘れた。
 このシーンは、やっていて、いつもだと長く感じるのだ。
 「早く、曲が始まらないかな」と、考えてしまうのだ。
 でも今回は、「えっ!? このタイミングで曲が始まっちゃった!」と思った。
 ちょうど、ついついセクシーポーズをしている矢先で、ふがいなく、セクシーポーズのままダンスに突入する羽目になった。
 ダンスの流れ的に、それが少し、心残り。

 そのあとは、気が楽だった。
 いつもレッスンでやっているような展開であり、むしろ、即興ダンスまで待ちの時間があったので楽だった。

 即興ダンスでは、何をどう踊ったのか覚えていないのだが、楽しんで踊れた。
 そして、踊り終えた後も、そのままステージに残り、飛び入り参加のお客さんたちのダンスを横で盛り上げた。
 楽しかった。
 自由に楽しんだ。

 今回、事情があって出場できなかったプロダンサーの一人が、ぼんやりした表情で、客席からステージを見つめている顔が見えた。
 一緒に、ステージに立ちたかったに違いない。

 私は、幸せである。
 気持ちが良かった。
 まるで、「自分のステージ」(!)をやり終えたような爽快な感じ。

 先生に「楽しかったですね、またやりましょう」と声をかけられ、うれしかった。

 帰りは、妹たちと一緒に食事をした。
 妹から、「(リーダー役で)真ん中で踊って、すごいね!」と驚かれた。
 上手かったとも褒められた。

 満足である。
 今年の踊り納めに、ふさわしい夜だった。

 仲の良い素人仲間の欠場は残念だったし、出演したもう一人の素人仲間は朝からハプニングに見舞われるなどして、今朝は大変だったらしい。
 私も、本格的にならずに済んで今はホッとしているが、数日前に赤目になりかけた。
 皆、何かしら、あったのだ。

 それでも、私はライブに出演できて、楽しめた。
 幸せであった。
 ありがとうございました。

                       以上、みちょるびんでした!

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