こんにちは、みちょるびんです。
突然ですが、みなさんは、「ひっ」という恐怖の声をあげたことがあるでしょうか?
ホラー漫画などを読んでいると、かなりの確率で「ひっ」と、恐怖に顔をゆがめる場面が登場します。これまでみちょるびんも、いろんな経験をしてきましたが、たぶん、あとにも先にも、あのときほどの正統派の「ひっ」は、なかったと思います。
今回は、みちょるびんの、夏の恐怖体験を語りたいと思います。
その日は、和尚さんのお加持に行ったり、買い物に行ったり、ヘアサロンに行ったり、忙しい一日を送っていました。そして夜になり、ようやく自宅の居間でクーラーをかけながら、くつろぎの時間を送っていました。ちゃんと自炊し、晩御飯を食べながら、楽しみにしていた映画を見ていた、そのときのことです。
1.第一夜
映画の終盤に差し掛かったところで、チェストの裏の方に入っていく茶色い物体が視界に入った。
映画は、一番の山場で、主人公がヒロインに愛の告白をしている場面であった。気のせいに違いないと気を取り直したが、次の瞬間、見てしまった・・・。
みちょるびんは、思わず、悲鳴をあげていた。
どうしよう、もうすぐ、田舎の友達が泊まりに来るというのに!
1匹みたら、30匹いると思えと言うし、これから増えていくと、もう、ここには住めなくなる・・・。
どうしてなのか、考えてみた。これまで、一度も出現したことはなかったのだ。そして、思い当たったのが、魚の日干しの入っていた大量の袋であった。
親戚のおばちゃんから小分け袋に入った大量の魚の日干しをもらい、全部食べ切れないまま賞味期限を迎えていたことに気づいた。それで、やむを得ず、捨てることにしたのだ。ゴミはちゃんと分別した方がいいと思い、一つ一つ丁寧に、小袋を開け、中身と袋と仕分けしたのだった。ただ、空袋の方は45リットルのゴミ袋に入れて、まだ、余裕があったので、口を開けたまま放置してしまっていた。
もしかすると、これが呼んだのかも知れない・・・・。クーラーをつけるにあたり、部屋を閉め切っていたから、匂いがこもっていたのかも・・・。
みちょるびんは、怖くなって、映画どころではなくなり、隣の部屋に避難した。
そして、急いでゴミ袋の口をふさいで、匂いを封じる作戦に出た。やばいと思われる食料は、片っ端から冷蔵庫に避難させ、調理したときにこぼしたコンロ上の野菜等も、早々に回収した。我ながら、素早い対応に感心したが、これくらいのことがないと、なかなか機敏には動けない。これで、みちょるびん邸には、食べるものがないとあきらめて、出て行ってくれればいいのだが・・・。
それから、しばらく、観察していていたが、あれから‘ヤツ’に遭遇することはなく、みちょるびんも、すっかり安心していた。
2.第二夜
それから2週間が経ち、掃除も終え、いよいよ、田舎の友達が遊びに来た。
友達を家に上げ、コーヒーを出すべく、友達用と自分用に、それぞれ簡易ドリップで、コーヒーを淹れていた。
と、そのとき、みちょるびんは、心臓が止まりそうになった。
当時、みちょるびんは、キッチンシンクのドアにひっかけるような形でビニール袋を提げ、生ゴミ入れにしていた。友達用のコーヒーを先に淹れ、ドリップのカスをその袋の中に捨てようと袋を開けたところ、‘ヤツ’がいたのだ。
みちょるびんは、「ひっ」と、これまで自分でも出したことのない声をあげていた。息をのむというか。もし、心臓に疾患があれば、確実に、発作を起こして、危うい状態に陥ったに違いない。それほど、するどく、息を吸い込んだのだった。
ここで、‘ヤツ’に外に出られては、困る。友達も来ており、逃がしてしまうと、‘コト’だ。
おそらく短い時間なのだが、みちょるびんには、とても、スローモーションのように感じられるその時間の中で、思考をフル回転させ、二度とそのビニール袋には手を触れたくなかったが、サッと熱々のカスを投げ入れ、素早く口を閉じた。
どうやら、成功したらしかった。
閉じた口を見つめながら、みちょるびんは、そばらくその場に呆然と立ち尽くした。
てっきり‘ヤツ’は、需要なしとして、我が家から立ち去ったものと思っていた。ちらっと見えた姿は、心なしか、前よりも大きい気がした。成長したということなのか? あれから2週間が経つが、ずっと、この家にいたのだろうか? 姿は見えなかったが、ずっと、どこかに身を潜めていたというのか―――???
恐ろしいことである・・・。
とりあえずは、食べ物は気がけて、すぐに始末していたとは思うが、気のゆるみもあったかも知れない。
しかし、ある意味、成功であった。知らず知らずに、ビニール袋におびき寄せていたのだから。これで、終止符が打たれたと、思いたい。明白な形で決着がついたのだから、良かった。袋は三重にしたのだから、‘ヤツ’も逃れられまい。
以上、みちょるびんでした!