こんにちは、みちょるびんです。
【ある金曜の夜の出来事(日記)】
そろそろ、電車が危うかったので、帰ることにした。
幸い、終電の1つ前の電車に乗れた。
真ん中の席で、両隣にも人が座っており、必ずしも座り心地は良くなかったが、座って帰ることができた。
私は、できたら寝たいと思い、目をつぶっていた。
しかし、結構、意識はあった。
あと10分で最寄り駅に到着する、という所に差し掛かった時、なんとなく、‘人が転がったのかと思われるような音’が聞こえたように思った。
次の瞬間、男の人たちの「わーっ」という声や、女の人の悲鳴が聞こえた。
一瞬、人が将棋倒しになったのかと思ったが、電車は急ブレーキを踏んでおらず、そういう衝撃もなかった。
だが、電車は停止したようだった。
不思議に思って、目を開けてみると、電車の外の様子が変だった。
どうやら、人身事故らしかった。
大変な惨事のような、緊迫した雰囲気があり、私は凄惨な状況など見たくないと、一瞬、目をそむけた。
それにしても、やっぱり、外の様子がおかしいので、恐る恐るその方向を見てみた。
私が座っていた座席側の外には、駅のホームがあった。
そこに立っている人たちの視線は、私たちの乗っている車両の、しかも、私の座っている席のすぐ隣のドア付近に注がれていた。
駅員も数人、駆け寄っていた。
その様子から、電車とホームの間に、人が挟まっていることが想像できた。
車内で、つり革につかまって立っていたおじさんが、「ここで降りて、電車を乗り換えた方がよさそうだ」と話しているのが聞こえた。
私も一瞬、途方に暮れた。
最寄り駅まであと10分の所であり、この遅い時間に、他の線の電車に乗り換えるとなると、タクシーを利用せざるを得ない・・・・。
そんなことをぼんやり考えていたら、ホームにいた男の人たちが電車の車体を押し始めた。
女性がそれに加わっている姿も見えた。
私は、いてもたってもいられず、座っていた席を離れ、反対側の座席の方に移動した。
少しでも、車両が軽くなるように協力しようと思ったのだ。
他の乗客たちも、反対側に移動し、また、駅員がそのように指示する声が、窓の外から聞こえた。
真剣に車両を押していた。
皆、必死の様子で、私も、電車の外にいたのなら、力になりたいと思ったのだった。
しかし、何もできずに、ただ、電車の中につっ立って、息を潜めて見守ることしかできなかった。
その時、少し、車体が浮いたようだった。
元いた席の方に戻ってみると、女の人がホームの床に座っているのが見えた。
女の人たちに囲まれていたその被害者は、年配の人のようだった。
無事だということが、確認できた。
車内放送が流れたが、駅員は息が荒く、すぐに言葉にならなかった。
車内では、ホッと安心したことも手伝ってか、笑いが起きた。
次に、「所定の位置につきます」というアナウンスが流れ、電車は少しだけ、前に進んだ。
その時、女の人の足から、血が流れているのが見えた。
頬が少し黒くなっていたように見えたので、電車にぶつけたのかも知れないと思った。
私は「(無事で)良かったね」と言う外なかった。
この時間帯の電車でよく見かけるおばちゃん二人が、「お姉さん、席に座らないと、他の人に座られちゃうよ」と声をかけてくれた。
私は、本当に、あの女の人が無事で良かったと思った。が、気分が落ち込んで、とても憂鬱になった。
目を閉じようとしても、まぶたが閉じられなかった。
車内にいた女の人の中には、涙目になっている人もおり、やはり、一様にショックだったのだと思う。
最初に聞いたあの音は、女の人が電車に挟まれた時の音だったのか・・・とか、いろいろと想像され、いい気分ではなかった。
こういう時、人と話しができないのは、つらいものである。
帰宅しても、家では一人。
実家に電話するにも、もう0時半を回っており、やめた。
気分が滅入り、明日は、早起きしなければならないというのに、結局だらだらと遅くまで起きていた。
【明くる日の日記】
朝、カフェで、パンとコーヒーを食した。
席を立とうとしたとき、もう空にはなっていたのだが、指が触れて、コップを落としそうになった。
それを阻止しようとしたところ、テーブルの上に置いていたトレイが、今度は逆にバランスを失って、皿を床に落としてしまった。
派手な音を立てて、皿が割れた。
なんとも、ばつが悪い。
昨夜の電車の事故と言い、立て続けで、何だかいやな気がしたのだが、考えてみると、皿が割れたことで、‘済んだ’ような気がした。
カフェには、申し訳ないのだが。
以上、みちょるびんでした!