ファッション関係

ラグジュアリー入門。(下)

投稿日:2021年10月22日 更新日:

こんにちは、みちょるびんです。

【ある日の日記】

 もうすぐ、私が愛用している高級化粧品が切れそうだったので、今日はまず、化粧品を買いに行った。

 そして、次に目指したのは、あるハイジュエリー・ブランドの展覧会。

 ラグジュアリー系女性誌で、そのブランドが、名品展を開催しているということを知り、見に行きたかったのだ。
 あいにく、明日は展覧会の最終日で、仕事帰りでは間に合わないので、訪問するには、今日がラストチャンスだった。
 私は、買ったばかりの化粧品の紙袋を2つも抱えており、ちょっと、みっともなかったが、とにかく、ハイジュエリーのブランドショップを目指した。

 そのブランドのお店には、初めて行った。
 実のところ、これまで、そのブランドにはさほどの関心がなかった。
 フェミニンなデザインは、あまり、私の好みではなかったこともあった。
 それにそもそも、目にする機会がほとんどなかったのだ。

 高級店であり、敷居も高く、気軽に入って行ける雰囲気ではないが、ここは一つ、堂々と店内に入って行くことにした。
 さほど広くないフロアに、背の高い男の人が3、4人と、奥には女の人がいて、少し息苦しい感じがした。

 女の人に声をかけられた。
 名品展を見に来たことを告げると、3階の展示室に通された。
 1階で荷物(化粧品の紙袋)を預かると言われたが、断り、3階に持って上った。

 3階には誰もいなかったので、空いていた椅子に荷物を置かせてもらった。

 さて、「’名品’展」と聞いていたので、アンティークジュエリーを期待していたのだが、現行商品だったらしい。
 単に、「ハイジュエリーの展示」ということのようだった。

 「単に」と軽々しく言ったが、さすがにハイジュエリーだけあって、クオリティーは高かった。
 大粒のダイアモンドに、サファイア、ルビー、エメラルド。
 王道の宝石が目白押しで、さすがに見応えがあり、美しかった。

 展示品の、ゴージャスで、圧倒的な雰囲気に負けたくなかったので、私は、「知っている」「慣れている」という感じをアピールした。
 それはうまくいったようで、付き添ってくれた店員さんに、「(宝石)業界の人か?」と訊かれた。

 今回のこの展示企画は、社長さんの趣味でやっているという話だった。
 盆栽に漆、骨董等が、主役のジュエリーに華を添えていて、それがとても素敵だった。
 オニキスの黒は、アールデコを連想させ、私は好きなのだが、漆の黒もそのよう感じで、白く輝くダイアモンドを美しく引き立てていた。
 黒い漆に盆栽のグリーンが、これまた、合う。
 全体的に、落ち着つきのある雰囲気で、私の好きな「京都」を連想させた。

 私は、この企画の着眼点に賛同しつつ、「先にやられた!」と、ジェラシーすら感じたのだった。

 私は、次の予定があったので、長居するつもりはなかったのだが、店員さんが、お茶を出してくれると言う。
 雑誌でも紹介されていた、有名和菓子店の紅白饅頭の登場だった。

 やっぱり興味があったので、お言葉に甘えて、いただくことにした。
 正直なところ、ハイジュエリー・ブランドの店員さんを目の前に、存分に饅頭を味わうという感じではなかったが。

 ブランドのロゴが入った、その小さい紅白饅頭は、かわいかった。
 老舗の和菓子屋とコラボするところもニクイ!

 私に付き添ってくれた、貫禄ある女性店員に、「勤めが長いのか」と質問してみたところ、意外な答えが返ってきて、驚いた。
 実は、半年くらい前に転職してきたばかりで、前職は、異業種であったのだとか。

 よくよく聞くと、私が通信教育で勉強している宝石学校の卒業生で、私が目指している宝石鑑別士のディプロマも持っているという。
 ここへの就職は、学校の紹介ではなく、別の友人からたまたま求人募集を聞いて、転職したとのことだった。

 こういう道も、あるのである!

 彼女は小柄で、失礼ながら、決して美人というわけではなかったが、かわいらしく、魅力的な人だった。
 ブランドに負けない風格もあるので、就職もうまくいったのかも知れない。
 やっぱり、ブランドイメージにそぐわないようでは、いけないだろう。
 それと、おそらく、前職で、接客の訓練もされていたに違いない。

 私が、そのまま彼女のようになれるとは思わないが、そういう道も開かれているという実例は、やっぱり、勇気づけられる。
 私は、この展覧会に来られて良かったと、改めて思った。

 饅頭を食べて、ゆっくりしたせいもあり、次の予定は変更せざるを得なくなった。

 それは残念ではあったが、でも、やっぱり、ハイジュエリーの展覧会に行けたことは、自分にとって、いい収穫であったと思うのだ。
 なんだか、すがすがしい気持ちすらした。

                            以上、みちょるびんでした!

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