こんにちは、みちょるびんです♪
書籍「日本装身具史 ジュエリーとアクセサリーの歩み」(2003年、露木宏編・著)を見ていて、気になったことがあります―――。
我が国では1961年(昭和36年)まで、ダイアモンドと色石の輸入が禁止されていたという事実があったということです☆
同書の巻末に収められた「日本装身具文化史年表」によると、日中戦争が始まった1937年(昭和12年)の年に、宝石貴金属への規制が強まり、白金、金ほか軍需関係品節約が決定され、9金以上の装飾品が禁止されたり、宝石などの贅沢品に対する物品税が施行されるなどしたとありました。
そしてついに宝石類の輸入が全面禁止となったのは1939年(昭和14年)。
1961年(昭和36年)の解禁まで、約20年間、外国から一切宝石類が日本に入ってこなかったということになります。
1944年(昭和19年)には、貴金属業者がダイアモンド、プラチナ、金を軍に供出するということも起こっています。
その後終戦となり、ようやく一部の規制が緩和され、1952年(昭和27年)にプラチナ輸入が、翌53年(28年)には金の使用販売が自由になりました。
そして1955年(昭和30年)頃から、合成石指輪が売れ始め、1959年(昭和34年)頃から、‘昭和の宝石ブーム’が始まったのだとか。
昭和36年(1961年)まで、ダイヤモンドと色石の輸入が制限され、また金製品の輸入は依然として解禁とはならなかった中でも、ジュエリーは日本独自の発達をとげた。
「日本装身具史 ジュエリーとアクセサリーの歩み」(2003年、露木宏編・著)
アイテムとしては指輪が圧倒的であったが、ブローチやネックレスも身に付けられた。使われた宝石は「シンセティック」と称された各種の合成石と真珠やメノウ、オパールが中心であった。貴金属は昭和30年代には14金のホワイト・ゴールドが用いられ、昭和33年頃から登場する「王冠透かし」、次いで「千本透かし」と呼ばれる細工に人気があった。これは地金を少量化しながら宝石を引き立たせ、同時に技術の細やかさをアピールするものであった。
因みに、その前の‘大正の宝石ブーム’の到来は1918年(大正7年)頃で、第一次世界大戦による戦争景気でダイアモンド等の売り上げが増えたらしい。
更に1920年(大正9年)頃には、様々な色の輸入人造石が各種装身具に盛んに用いられたのだとか。
さて、それから、次の‘昭和の宝石ブーム’を予感する合成石指輪が売れ始めた1955年(昭和30年)までの間には、1939年(昭和14年)の宝石類の輸入が全面的禁止という障害が大きく横たわっています。
しかも1961年(昭和36年)の解禁は、まだ6年くらい先のこと。
それだのに、‘昭和の宝石ブーム’がその間に始まったのだから、不思議です。
1957年(昭和32年)には原石ではありますがダイアモンドの輸入が開始され、また翌1958年(昭和33年)には皇太子殿下と正田美智子さんの婚約が発表されるなどし、美智子さんのファッションが注目されたというようなこともきっかけにはあったのでしょう。
他方で、そもそも輸入禁止である中、ジュエリーの素材となる宝石はどこからやって来たんだ!?って、不思議に思うわけです・・・??
洋服が普及し、女性の洋装が増えていった・・・というファッションの変化に伴い、‘大正の宝石ブーム’の際に和装用装身具に用いられていた合成石が取り外されて、再利用された・・・ということなんでしょうかね???
合成石製造方法の1つ、チョコラルスキー法が開発されたのが1918年で、その頃になると合成石が大量生産されるようになったと聞きます(「ヒシヒシ。(64)」)。
実際、1920年には合成石が日本にも入って来ていたわけですし、合成石のその普及の速さに驚かされます。
ところで、合成石の誕生石「ホープ誕生石」の写真が掲載されていた書籍「宝石」(崎川範行著、1963年)の発行は、ダイアモンドと色石の輸入が解禁された1961年(昭和36年)の2年後であり、こちらも動きが早い!
書籍「日本装身具史 ジュエリーとアクセサリーの歩み」(2003年、露木宏編・著)の年表をよく見ると、「1963年(昭和38年) 崎川範行『宝石』刊。ベストセラーとなる」という記載があって、大変驚きました。
著者の崎川氏は、もとは宝石の専門家ではなく、理学博士。
宝石関連の書籍を出版することになったのは鉱物好きが高じて・・・ということだったそうですが、同書では、宝石の「インクルージョン」(内包物)のことを「ごみ」という風に崎川氏が呼んでいて、みちょるびんはかなりの衝撃を受けたのでした・・・(「ごみ!?」)。
でも確かに、同書は、宝石入門書として見ると、親しみやすい。
みちょるびんだって、なんだかんだ、重宝している1冊です。
「日本装身具文化史年表」に登場するなんて、すごい名誉あることだと思うし、これからはもっと敬意を払うようにしたいと思います!
以上、みちょるびんでした!