こんにちは、みちょるびんです♪
みちょるびんがバイブルとして崇めている書籍「宝石 その美と科学」(1972年、近山晶著)に、「合成コランダムの各色における着色剤表」なるものが掲載されていました。
「コランダム合成宝石」「色合い」「着色剤」の3項目で構成されていたので、みちょるびんは、亡父・パピーから受け継いだ合成オレンジ・サファイアを(「ヒシヒシ。(66)」)、その表と照らし合わせてみました。
すると、‘色合い’が「橙色」という項目にあたる「コランダム合成宝石」の欄には「ダンバライト・タイプ」という聞きなれない名前が書かれていました(「ヒシヒシ。(71)」)。
「ダンバライト」をネットで検索してみてもヒットしない―――。
代りに、近い単語として「ダンビュライト」という石名が出てきました。
「ダンブライト」という風に表記されている書物もあったので、みちょるびんは、「ダンバライト」は「ダンブライト」の記載ミスではないかという疑いも持ちました。
書籍「楽しい鉱物図鑑」(1992年、堀秀道著)で、九州の「土呂久鉱山」で、かつて宝石品質のダンビュライトが産出されていたという記述を見ました。
もしかすると土呂久鉱山産のダンビュライトがオレンジ色で、だから、橙色の合成オレンジ・サファイアを「ダンビュラ・タイプ」と表したのではないかと思いつきました。
それで、更に調べていたら、興味深いサイトに行き当たりました。
鉱物に関する随筆が書かれた「鉱物たちの庭」です。
1998年12月に開設ということなので、2020年6月開設のみちょるびんとは比べものにならないくらいの大先輩!
しかも、専門的な内容で、濃い!!
感服!!!
拝見したダンビュライトに書かれた記事「340.ダンベリー石 Danburite (USA産ほか)」の追記2に、「崎川博士の『宝石小事典』(1966年)」が紹介されていました。
この‘崎川博士’というのはどうやら、みちょるびんが昨年調達した2冊の本の著者、崎川範行氏のことらしい!
「宝石小事典」(1966年)は、どの本を購入するか・・・で迷ったうちの1冊ではなかったか!?(「ごみ!?」)
購入を見送った書籍の方にバッチリ、ダンビュライトに関する記述があったとはっ!
こりゃ早速、ポチらなきゃ!?
なぁんて、悔しい気持ちになったみちょるびんですが、みちょるびんが買った「宝石 ジェモロジー」(1988年、崎川範行著)の中に、石拾いを趣味とする著者が石拾いに訪れた場所などの思い出を綴った章があったことを思い出しました。
早速、同書を確認してみたところ、「土呂久鉱山」がありました!
さて日豊線を南に下って宮崎県に入ると、ヒ素で知られると土呂久鉱山がある。この鉱山からはダンビュライト(ダンブル石)が産出することで鉱物マニアは先刻ご承知のことと思う。ダンビュライトは無色透明の結晶が宝石になるのである。土呂久でそうたくさん出るというわけではないと思うが、日本でとれる宝石となると、ここのダンビュライトが糸魚川のヒスイと並んで挙げられることになるのだろう。
「宝石 ジェモロジー」(崎川範行著、1988年)
しかも、みちょるびんもヒスイ狩りに出かけた糸魚川(「『糸魚川』レポート。(4.ヒスイ狩り)」)とセットで紹介されているなんて、最高っ!
つい、「鉱物たちの庭」の記事の専門性のすごさに嫉妬してしまい、自分が所有する本で対抗してしまいましたが、だが「鉱物たちの庭」に対し、敗北を宣言しなければならない―――。
ここに、みちょるびんが探し求めていた答えが見つかったのです。
久米武夫の古い本には、宝石業界に Danburite(Damborite)と称する淡橙黄色の合成鋼玉石があり、一般に広く需要されているから混同しないようにとある。今ではそんな名前を聞くことすら珍しいが。
「鉱物たちの庭」(340.ダンベリー石)より
久米武夫氏が誰だかわからなかったので調べてみたところ、養殖真珠を成功させたミキモトの創業者、御木本幸吉氏の義弟でした。
久米氏は、御木本が明治時代に銀座に出店した際、顧客に外国人が多いことに気がついた御木本幸吉氏の命を受け、アメリカにジュエリーデザインの研修に派遣された経歴を持つ。
この経験から、久米氏は日本における宝石学の先駆者として活躍し、数々の宝石関連の著書を残しているのだそう。
「鉱物たちの庭」で言われている「久米武夫の古い本」とは、一体どの本のことなんだろう!?
橙色の合成サファイアを「ダンバライト・タイプ」と表していた書籍は「宝石 その美と科学」(1972年、近山晶著)。
久米武夫氏によると、その当時、淡橙黄色の合成サファイアは、宝石業界では Danburite(Damborite)と称され、一般に広く需要されていたと言う。
だから、その頃に広く浸透していた「Danburite」という流通名を近山氏がそのまま使用した・・・というのがことの真相なのでしょう。
そしてややこしいことに「ダンブライト・タイプ」とすべきところを「ダンバライト・タイプ」と書き損じてしまった☆
「宝石 その美と科学」は1972に出版されたものなので、それに近い時期に書かれた「久米武夫の古い本」となると、1968年出版の「新宝石辞典」が一番有力かも知れない!?
「新宝石辞典」を入手して、その記述を確認したいところだけど、お値段が結構お高いのよね・・・。
ポチるかどうか、ちょっと悩むぅ・・・☆
以上、みちょるびんでした!