ファッション関係 宝石

ヒシヒシ。(69)

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 こんにちは、みちょるびんです♪

 みちょるびんが亡父・パピーから受け継いだ「千本透かし金細工」が施された昭和レトロの指輪は、真っ赤な夕焼けを連想させるような合成オレンジ・サファイア。
天然石に例えるのなら、「アンデシン」が一番近いような気がしています(「ヒシヒシ。(67)」)。

 それで、みちょるびんは「アンデシン」について、みちょるびんが持っている宝石関係の本を調べてみたのですが、アンデシンが所属する長石(フェルドスパー)グループの鉱物学的な説明の中で一言「アンデシン」という言葉が登場する・・・レベルの内容のものしか見つけられませんでした☆

 みちょるびんからすると、同じグループの仲間、サンストーンやムーンストーン、ラブラドライトと同列に、宝石として華々しく紹介されているアンデシン情報を得たかったわけですが、コンゴ民主共和国で宝石品質のアンデシンが発見される2002年よりも前に書かれた書籍にそれを求めるのは無理な相談というものでした。

 それでも前回の記事「ヒシヒシ。(68)」では、いくつか記載のあった書籍をご紹介。

 他に、もう1冊ありました!

 みちょるびんはアンデシンに特化した説明を探していたので、つい見逃してしまっていましたが、アンデシンの和名「中性長石」という文字を見つけました。
 それは、「宝石 その美と科学」(1972年、近山晶著)!
 みちょるびんがバイブルとしている宝石の専門書です!!

 ちょっとマニアックではありますが、アンデシンの立ち位置(?)が理解できましたのでご紹介します。

 長石(フェルドスパー)は、石英(クォーツ)とともに、地球上の主要造岩鉱物。
 主として3つの構成分子、正長石分、曹長石分、灰長石分の3種類のものが混ざり合ってできている鉱物なのだそうです。

 長石はまず、含まれる成分ごとに大きく4つのグループに分類されるのだそうで、カリ長石の①正長石と微斜長石、ソーダ長石の②曹長石、カルシウム長石の③灰長石、バリウム長石の④重土長石があるとのこと(ただし、④については、宝石用としては全く関係がないらしい)。

 さて、①正長石に属する宝石としてよく知られているのはムーンストーンと黄色透明のオーソクレーズで、①微斜長石だとアマゾナイトがあります。

 ②曹長石と③灰長石はあらゆる割合で混合することで「斜長石シリーズ」なるものができ、これらの混合の割合で、②曹長石→(a)灰曹長石→(b)中性長石→(c)曹灰長石→(d)亜灰長石→③灰長石と呼び名が変わるらしい。

 同著の中で「斜長石シリーズの特性値変化」として記されたグラフによると、曹長石と灰長石の比重が6:4の割合の時に中性長石(アンデシン)となることが示されていました。
 宝石として重要なサンストーンは、この斜長石シリーズの中の(a)灰曹長石、ラブラドライトは(c)曹灰長石にあたるのだそうです。
 アンデシンは(b)中性長石ですから、この理屈でいくと、サンストーンとアンデシンは別物ということになります。

 前回の記事で、書籍「宝石のエネルギー」(2012年、岡本憲将著)では「別名サンストーン」として紹介されている旨お伝えしましたが、鉱物学的観点からすると異なった解釈になりそうです。

 とは言え、実はみちょるびんも、どこかでアンデシンはサンストーンだという説明を聞いたことがあったし、ネットでもサンストーンとして紹介されていることが多い。
 宝石業界では、商業的に使われている流通名(コマーシャルネーム)というものがあり、例えば、「ハーキマーダイアモンド」は‘ダイアモンド’と言っていますが、これはクォーツ。
 だから、アンデシンがサンストーンと紹介されているのも、そういった類なのかも知れません!? 

 いずれにせよ、同じ長石の仲間であることは間違いありません。

 ところで、「宝石 その美と科学」(1972年、近山晶著)を読んで、ようやく「楽しい鉱物図鑑」(1992年、堀秀道著)の説明を理解できました。

  もう一つの長石のサブ・グループを、斜長石という。(中略)カリ長石サブ・グループの変化が結晶構造上のものであるのにたいして、こちらは第一に成分の変化であり、それに応じて結晶構造も変わる。ナトリウムを主成分にする曹長石、カルシウムを主成分にする灰長石があり、その中間に灰長石側に向かって、灰曹長石、中性長石、曹灰長石、亜灰長石と続く。

                 「楽しい鉱物図鑑」(1992年、堀秀道著)

 なるほど。
 同書では更に興味深い記述へと進みます。

 これら中間4種は鉱物名として残ってはいるが、専門家はこれらの名前を使わず、灰長石成分のモルパーセントをAnと言う記号であらわし、例えば灰曹長石に当たるものをAn10~30と表現する。

                 「楽しい鉱物図鑑」(1992年、堀秀道著)

 「宝石 その美と科学」(1972年、近山晶著)と「楽しい鉱物図鑑」(1992年、堀秀道著)とを総合的に鑑みると、中性長石(アンデシン)はAn30~50になりそう!

 それにしても、堀秀道氏の話では、今や専門家の間ではこれらの名前を使わないというのだから、「アンデシン/中性長石」という言葉を書物の中に見つけるのは大変なことなのかもしれません!?

                             以上、みちょるびんでした!

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