こんにちは、みちょるびんです♪
ドゥブロヴニクの旧市街観光で、みちょるびんがどうしても行ってみたかったところ。
それは「聖母被昇天大聖堂」の宝物殿―――。
ルジャ広場の南に位置する「聖母被昇天大聖堂」は、もともとは1192年に英国のリチャード王がロマネスク様式で創建したと伝えられているそうです。
しかし1667年の大地震で崩壊していしまい、17世紀に改めてバロック様式で再建されたとのこと。
ガイドブックによると、聖堂内の宝物殿には、ドゥブロヴニクが中世に貿易都市として繁栄していたことを物語る財宝の数々が保存されている・・・とあり、1つの財宝の写真が掲載されていました。
黄金色をした、ちょうど人の右腕の形をしたもので、その手の甲には宝石らしいものが飾られているように見えました。
みちょるびん的には、かつてこのようなモノを見た記憶がない。
これがどういったものなのか?
飾られている宝石は何なのか??
宝石鑑別のディプロマを持つ宝石好きのみちょるびんとしては興味津々!
それでどうしても実物を見に行ってみたかったというわけ。
聖堂自体は無料で見学できたのですが、宝物殿の入場には入場料が徴されました。
宝物殿内での写真撮影は厳禁。
ポストカードなどの販売もなかったので、中の様子がわかる唯一のものとして、入口に立てかけられていた案内板を撮影させてもらいました。
一方、英語版の説明書(写)を貸してもらえました。
この説明書自体の撮影はOKということでしたので、写真に収めました☆
さて、この人の腕の形をしたもの―――。
何だったのかというと、聖遺物ということでした。
宝物殿には、11世紀から19世紀にかけての聖人の遺物132点が納められているのだそうで、その目玉は、ドゥブロヴニクの金細工師によって作られた聖遺物入れに納められた聖ブレイズ(St. Blaise)の頭部、腕部、脚部などの遺物ということのよう。
そして、みちょるびんが見たガイドブックの写真は、聖ブレイズの右腕部でした☆
聖ブレイズは西暦316年に殉教。
キリストの熱心な信者であり、奇跡を行った者として東方正教会やローマカトリック教会などで聖人に認められ、彼の遺骸を聖遺物として保管することになったのだそうです。
1346年にラグーザ(現在のドゥブロヴニク) の街でペストが流行したとき、教会の指導者たちは聖ブレイズの聖遺物――右手、足、喉、頭――を回収して街に運び、聖ブレイズを守護聖人と祀ったそうです。
右腕は、ドゥブロヴニクの金細工師による12世紀の作品なのだとか。
手の甲には円形のメダリオンがあり、中央に施された大きな青い石の周囲には金線細工、宝石、真珠が飾られていました。
青い石はサファイアのようにも見えましたが、石の中にはペイスト(ガラス)もはめ込まれていたようなので、確実ではありません・・・。
その隣――手首側――には、また別の青い石が飾られた小さなメダリオンも。
腕の部分には30枚のプレートが飾られ、そのうち18枚には聖人の像が、12枚にはエナメルと金線細工の装飾が施されているそうです。
宝物殿入口の看板の写真に採用されていた帽子のような形をしたものは、聖ブレイズの頭部の聖遺物入れなのだとか。
直径は約16cmくらいで高さは 17 cm。表面は金のプレートで覆われており、七宝焼き技法で施された、イエス、聖母、大天使ミカエル、聖人などの胸像や装飾品が描かれているとのこと。
興味深いのは、聖ブレイズの足の聖遺物―――。
脚の形をした金の板で作られ、金細工が飾られているのですが、伝説によると、2世紀にドゥブロヴニクに持ち込まれたビザンチンの巨匠による作品なんだそう。
ドゥブロヴニク共和国の紋章が描かれたエナメルのメダリオンは特に芸術的、歴史的価値があり、その周囲には「SANCTUS 1684 BLASIUS」という碑文(一部破損)が刻まれているとのことです。
みちょるびんの興味を引いた点は、実は、聖ブレイズの足の聖遺物は、もう1つ存在するということ。
もう一方はベルギーのナミュールにある「ナミュール古典美術館」に納められているということなんです。
ナミュール・・・?
懐かしい響きです。
この足の形をした金属製の聖遺物入れは、西暦1260年頃に金銀細工師のユゴー・ドワニー(Hugo d’Oignies)の工房が特別に設計したものなのだそうで、驚いたことに、ベルギーの7大秘宝の1つに挙げられていました!
ベルギーの7大秘宝!?―――
実はみちょるびん、20年近く前に、当時ブリュッセルに住んでいた友人を訪ねた時に、ベルギー7大秘宝の全制覇に挑戦していたのでした。
実際、ナミュールでは「オワニーの聖遺物箱」を探していたんです!
当時、「オワニーの聖遺物箱」は「ナミュール古典美術館」ではなく「ノートルダム女子修道院」宝物室に納められており、みちょるびんたちはノートルダム女子修道院を訪ねていました。
ただその時は残念ながら、あと一歩!というところまで迫りながら、結局お目にかかれなかった・・・といういわくつき(?)のお宝でした(「ベルギー旅行の思い出。(8.ちょっとした不調和音)」)。
まさか、あの時に探し求めていた「オワニーの聖遺物箱」というのが、ドゥブロヴニクの「聖母被昇天大聖堂」宝物殿で出会った聖ブレイズのおみ足の片割れだったなんて!
不思議な巡り合わせを感じずにはいられません!
ただ、よくよく調べてみると、当時みちょるびんが探していた「オワニ―の聖遺物箱」は、最近では「オワニ―の宝物」という言い方に変わったようで、どうやら特定の1つの作品を指しているのではなく32点ある模様。
最も、その種類としては聖遺物箱が多いようなので「オワニ―の聖遺物箱」と呼ばれていたとしても間違いではないのかも知れません。
なお、オワニ―の宝物は、本年3月19日から10月20日までパリのクリュニー美術館で展示されるのだそうで、約50点からなるこの宝物がベルギー国外でほぼ完全に展示されるのは今回が初とのこと。
この情報を知っていたら、この間のパリ旅行の時に(「パリの思い出♪」)見に行ってたのになーっ!!
最後に。
聖堂内の大理石などを使った祭壇の奥にかかげられている、イタリアの有名画家ティツィアーノが16世紀に描いた「聖母被昇天」という絵画も、同大聖堂のお宝です♪
(つづく・・・)
以上、みちょるびんでした!
【ベルギーの「ナミュール古典美術館」に納められている「オワニーの聖遺物箱」】
Foot reliquary of Saint Blaise | Heritage KBF (collectionkbf.be)
【クリュニー美術館で展示されるオワニ―の宝物】
Treasure of Oignies, one of the Seven Wonders of Belgium, to be displayed in Paris (belganewsagency.eu)