【ある日の日記】
夜、家に帰ると、故郷にいた時にお世話になった宙海(ちゅうかい)さんから、手紙が届いていた。
宙海さんが私に会わせたい人がいると言うので、数日前に、母・マミーから電話があったことを思い出した。
手紙は、その用件。
さすがにこれ以上、放置はできないと思った。
それで、宙海さんに久しぶりに連絡し、電話で話をした。
相手の方は、同郷で、東京で働いているという。
いい人なので、会ってほしいということだった。
今時珍しい、お母さん想いの優しい人らしい。
私の死んだばあちゃんが、「自分が生きている間に、みちょるびんの花嫁姿を見たいと話していた」と言われた。
宙海さんは、私の死んだばあちゃんを慕ってくれ、私がまだ地元で暮らしていた時も、常々、ばあちゃんのことを話題にしてくれていた。
そんな宙海さんに、そんな風に言われたら、何か、その人に会った方がいいように思われた。
私も、ばあちゃんに、ひ孫を抱かせたかったよ・・・。
それで、その後、問題の味相(みあい)さんに電話した。
なんか、ピンと来ない感じ。
「今月、40歳になったし、そろそろ結婚したい」と言われた。
なんか、いやな感じ。
全面的に、’結婚’を打ち出されると、困る。
私は、まだすぐに結婚したいわけではないと伝えた。
とは言え、まぁ、一度会ってみないと、始まらない。
実際に会う運びとなった。
早速、今週末はどうかと提案されたが、土曜日は出かける予定があったし、来週ということでお願いした。
夜はダンス教室に出かけるから、ランチにした。
初対面なので、どういう特徴の人か、教えてもらった。
メガネをかけて、黒っぽいスーツを着て来るらしい。
短髪で、ちょっと伸び髪をオールバッグにしているって。
オールバック!?
’勘違い野郎’だったらどうしよう。
あるいは、’オヤジ臭い’ってパターンもあり得る・・・。
味相さんとの電話を切ったあと、今度は、実家に電話した。
私と味相さんは同郷だと聞いていたが、味相さんが通っていたという地元の学校は、私には、全然、馴染みがないところだった。
何かしらの接点があれば、親しみや懐かしい気持ちが持てたと思うのだが。
母・マミーも同様に感じたらしかった。
父・パピーは、ますます不信感を募らせ、「(埼玉に住んでいる)おじちゃんに同席してもらえ!」と、いきり立った。
30代、40代のいい大人なんだから、‘おじちゃん同伴’も、なかろう!!
それにしても、やっぱり、ユーツ。
こんなにユーツな気持ちになるとは思わなかった。
上京する前、私がまだ就職口を地元で探していた時に、ヒトに仲介されるのが嫌で、その紹介は断り、自力で就職先を決めたということがあった。
どうやら、今回も、あの時に似た’拒否感’がある。
まぁ、味相さんには、関係のないことなのだが、ユーツ。
【それから約10日後の日記】
お見合いの日。
結局、起きたのは11時。
ユーツ。
お腹が痛くなり、何度かトイレへ。
本当に、こういうのっていやだと、改めて思った。
いい教訓だ。
急がなきゃと思いつつ、ぐずぐずしてしまい、待ち合わせの場所に到着した時は、ほぼ、約束の時間だった。
実は、1時間半前に、味相さんから電話の着信があったということに、その時点でようやく気がつき、電話。
風邪で寝込んでいると言う。
今日は、中止。
一気に気持ちが明るくなった。
具合が悪いと聞いた時、声の調子が明るくなったのを悟られたのではないか・・・。
まぁ、いい。
気分爽快。
特に用事はなかったのだが、せっかく街に出て来たので、ちょっとウィンドウショッピングすることにした。
靴のセールをやっていたので、買うことに。
このところ、ずっと、お気に入りのP様(みちょるびんが大好きなイタリアンブランド)のパンスプばかり履いていたから、かかとも壊れつつあり、もう限界に来ていた。
安物に抵抗はあるが、仕方あるまい・・・と、言いつつ、結構気に入ったりして。
おまけに、「たたんで携行できる」とおしゃれな雑誌でも紹介されていた、フランス製の麦わら帽子をゲット。
料金はかなり高いのだが、もう、どうにでもなれ。
色はさんざん迷った挙句、落ち着きのある、無難な茶色にした。
まぁ、でも、これなら、服には合せやすいだろう。
近々出かける予定の、国内旅行を意識しての買い物であった。
それにしても、今日の会合がキャンセルとはね・・・。
19歳の時の初デートでは、漫画のような展開だが、私が交通事故(!)に遭ってしまい、デートはお流れになったんだよね。
負傷し、動けなかった私は、当時まだ中学生だった妹を電話ボックス(!)まで走らせ、お相手に事情を説明してもらったのだった。
両親がいる前での電話は、さすがにはばかられた。
「姉ハ、交通事故ニ遭ッタノデ、今日ハ、行ケマセン」。
デートを断るために、幼い妹を使い、そんな下手なウソまでつくのかと、相手の人に誤解された出来事だった。
私は、初デートに漕ぎつけない、そういう星の下に生まれているのか?
何かに邪魔されている?
逆に守られている?
考え過ぎか。
以上、みちょるびんでした!