こんにちは、みちょるびんです。
【1回目の難(ある日の日記)】
予定通りのバスで、空港へ向かった。
私は今回の旅に、大変満足していた。
そして、飛行機の中で、最後の仕上げに日記を書こうと思い、移動のバスの中で荷物の仕分けをしていた。
そして気づいたのだ。プラダのペンケースがないということに。
まさかと思い、何度もバッグの底を探した。
しかし出てこなかった。
落としたのだ。
どこで?
考えられるのは、もう一つ、前に乗っていたバス。
そのバスの中で、今回、いかにバス代が浮いたかという計算をしていた。
今回の旅では、乗り物乗り放題の‘観光パス’ を、たったの1500円で購入し、3日間、いろんなところをこれ一つで回った。
だから、どれだけ得したかをチェックしてみたくなったのだ。
幸い、乗客は、私一人だけだった。
それで余計なことに、前のバスの中で、計算していたのだ。
最後、そのバスの料金を加算すれば、金額が確定するはずだった。
一瞬、ケースをバッグの中にしまおうかと思ったのだが、そのバスの料金をメモろうと思い、敢えてしまわなかった。
おそらく、バスをあわてて降りることになったので、そのときに落としてしまったに違いなかった。
ペンケースはおしい。
好きなブランドであり、色も気に入っていた。小さいサイズというのも。
しかし、一番ショックなのは、シャープペンをなくしてしまったこと。
旧友にもらったものだった。
今は、彼に対して特別な想いはないが、当時の彼の想いはうれしかった。
両親から贈られた大切なシャープペン。肌身離さず、受験も一緒に乗り越えたというそれを、私に譲ってくれたのだ。海外留学する際に。寂しくないようにと。
以来、私はずっと愛用してきたのだ。
受験勉強もしたし、日記もずっと書いていたのだ。
とても書き心地が良かったので、大変気に入っていた。
そんな大切なシャープペンをなくしたのだ。
もちろん、‘ぬいぐるみたん’でなくて良かったと思った。
いつも身に着けている指輪でなくて良かったとも。
でも、3番目になくしてはならないものだった。
ショックである。
空港に着いて、すぐにバス会社に電話した。待ち時間は祈るような気持だった。
しかし、回答は、落ちていなかったということ。
ブランドものの、かわいいペンケースだったから、拾った誰かが、そのまま持ち去ったのだろうか・・・。落ち込んだ。
そうだとしたら、おそらく拾った人は、ペンケースは使ってくれるのではないか。
まぁ、いい。
しかし、シャープペンはどうか。
古いシャープペン。さほど上等には見えないシャープペン。
他人が使い古したものを、果たして、大切に使ってくれるだろうか?
おそらく、捨てられるのだろう。
私は、それがとても悲しいと思った。
私の大切にしていた、ずっと一緒にこれからもいようと思っていたシャープペンは、ここで、ぞんざいな扱いを受けるのだ。
かわいそう。
シャープペンに対して、本当に申し訳なく思った。
よく、何かの‘身代わり’などと言うが、今回はそうは思えない。
私のただの不注意だ。
楽しく終わるはずだった旅が、一気に暗いものとなった。
【2回目の難(5日後の日記)】
今朝、出勤時、いつものように、バッグを電車の網棚の上に乗せた。
何気なくバッグを見つめていて、はたと気が付いた。
バッグの持ち手に結んでいた、お気に入りのキリンのスカーフがなくなっていたのだ。
いつからついていなかったのか。
いろいろと思い起こすが、思い出せない。
家を出るときはついていたような気がした。
今朝、電車に間に合うように猛ダッシュしたから、その時に落としたのか。
だとしたら、家と駅の間で落としたことになる。
ショックである。
シャープペンに続いて、今度はスカーフ・・・。
あれは、黄色で、絵柄のキリンがとてもキュートで、サイズが小さいというところも‘ぬいぐるみたん’っぽい感じがして、とても気に入っていた。しかも、エルメス(!)のビンテージだったのだ。
絶対に、二度と同じものは手に入らないだろう。
よほど、電車を降りて、戻ろうかと考えたが、黄色で目立つし、もう拾われているだろうとも思えた。
帰りは、最寄り駅の事務所にも寄ってみたし、道を注意深く探したが、黄色いものは落ちていなかった。そして、期待していた家にも。
もう、ほんとにショック。
1週間のうちに、立て続けに2回も、しかもお気に入りのものをなくすなんて、ホントどうかしている。
がっかり。
【3回目の難(更に10日後の日記)】
2度あることは、3度ある!?
まさかの、「3度目の難が」勃発・・・。(つづく)