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静かな生活!

投稿日:2025年4月18日 更新日:

 こんにちは、みちょるびんです♪

  『日本映画専門チャンネルpresents 伊丹十三4K映画祭10作品10連続ロードショー』(「伊丹十三映画祭♪♪(前編)(後編)(続編)」)の第8弾『静かな生活』(1995年)を観ました!

 本作は伊丹十三監督作品の中でも異色作。
 ノーベル賞作家・大江健三郎氏の著書『静かな生活』を原作としています。
 監督の妹が大江氏と結婚しており、大江健三郎氏とは義理の兄弟になるのだそうです。
 また、高校時代の同級生という間柄でもあるとのこと。

 本作は、ある夏の大江氏一家にまつわる物語で、障がいを持つ長男のイーヨーと、その世話を進んで行うまだ二十歳くらいの妹マーちゃんを中心に話が進行する。
 イーヨーは並外れた音楽的才能を持っており、マーちゃんは、美しい曲を作曲するイーヨーのことを、この世で一番美しい魂を持っているからだと信じている。
 劇中で使われていた曲は実際にイーヨーが作曲したものなのだそうで、本当に心地のよい美しい音色でした。
 マーちゃんは一生イーヨーに寄り添って生きていこうと決心しているくらい、純粋なイーヨーに愛情を向けていました。

 お父さん役は山崎努さんで、これまでの男くさい役を考えると、急にインテリ然とした役柄で、それがかえって面白かった。
 宮本信子さんも健在で、今回はイーヨーの作曲の先生の奥さん。
 ちょっと過激なところがあり、それがスパイスとなって面白い役だった。

 イーヨー役の役者さんの顔、どこかで見たことがあるように思い、あれこれ考えていたのですが、渡部篤郎さんに似ているなぁと思ったのですが、お顔の血色がよくふっくらしていて、みちょるびんの知っている無駄な肉がないルックスの渡部さんとはかけ離れていたので、自信が持てませんでした。
 それに大変申し訳ないが、渡部さんが演じられる役はニヒルで感情に抑揚のないキャラが多く、つまりは演技派といったイメージがみちょるびんの中にはなかったので、にわかに信じられませんでした。
 気になって映画のクレジットを確認して、やっぱり渡辺篤郎さんだったので驚いた次第。

 伊丹十三監督によるとこのイーヨー役を探すのに苦労したんだとか。
 技術的にも非常に難しい役どころっていうのもそうだが、心が美しい人でなくてはならないと考えていたそうです。
 映画には、そういうところが全部出てしまうらしい。
 だから、渡部篤郎さんのことを監督も絶賛していました。

 みちょるびんも同様に絶賛したい。
 障害者の役は本当にとても難しいと思う。
 その特徴――表面的なところばかりを捉えることに集中すると、鼻についたいやらしい演技になってしまう。
 だが、渡部さんのそれはとても自然で、誰が見ても愛すべきキャラクターになっていた。
 この作品で渡部さんは日本アカデミー賞新人賞と優秀主演男優賞をダブル受賞しています。

 そしてそれを見守るマーちゃん役の女優さんの、イーヨーに投げかける視線には愛情が溢れていて、ありのままのイーヨーをそのまま受け入れ、心から笑っているのが伝わってきた。
 彼女自身の純真さがなせる業で、穏やかな「静かな生活」というタイトルにぴったりな二人だったと思う。

 女優さんの顔にも見覚えがあったので、あとで確認してみたら、佐伯日菜子さんでした。
 奇しくも偶然に流れてきたYouTubeのショート動画で、映画『らせん』(飯田譲治監督、1998年)で山村貞子役を演じてからというもの、ホラーな役しかオファーが来なくなった・・・と愚痴っている様子を見て、そこでようやく思い出しました。
 佐伯さんもねぇ、とても素敵な演技をされていたのにホラーの役ばかりとはとても残念です・・・。

 ところで、変質者役に渡辺哲さんが出ていました。
 顔立ちが穏やかで優しい方で、最近では優しいおじいちゃん役などをこなされているようですが、当時はまだ無名でいらっしゃったんでしょうね。
 渡辺さんが画面に登場した時は、後ろ姿だったのですが、でもすぐに渡辺哲さんだってわかりました。
 あの丸っこい体型に特徴があるんでしょうかね!?
 後ろ姿だけで彼だとわからせてしまうって、ナンなんでしょうね!?

 実はみちょるびんも、演劇をやっていた学生時代に、友だちから「たくさんの人の中にいても、遠くからでも、みちょるびんはすぐにわかる!」って笑われたことがあって、それがずっと気になっている。
 何か独特なオーラみたいなものがあるのかなぁって考えたものでした。
 そういう意味では確かに、渡辺哲さんは独特かも知れません。

 因みにこの『静かな生活』は、伊丹十三監督の10作品の中で一番興行成績が悪かったらしい。
 みちょるびんは嫌いではなかったけど、いつもの伊丹監督の作品とはかなり毛色が違うし、ザ・伊丹作品を期待した人からすると肩透かしだったんじゃないかと思います。

 最後に、原作を読めっていう話なんでしょうが、映画の中で「マーちゃん」の呼び名の由来は説明されていたのですが、「イーヨー」についてはなし。
 「イーヨー」の方こそ気になる!

                             以上、みちょるびんでした!

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