ファッション関係

違いの分かる男。

投稿日:2021年3月20日 更新日:

こんにちは、みちょるびんです。

【父、パピーとの思い出】

 みちょるびんの父・パピーは、本物志向の、「違いの分かる男」でした。

 製造者がブランドかどうかといったことよりも、目の前にあるものの素材であるとか、技巧であるとか、そういったものを見抜く審美眼があったと思います。
 また、自分なりのこだわりがあり、おしゃれさんでもありました。

 だから、パピーに何かプレゼントする時は、ちょっと、神経を使いました。
 なぜなら、本人が気に入らなければ、せっかくのプレゼントも、日の目を見ることがないからです。

 こういうことがありました。

 みちょるびんがまだ幼稚園児(!)の時、「父の日」のプレゼントとして、ネクタイ型の不織布に、カラーマジックペンで好きな絵や模様を描いて、ネクタイを作ったことがありました。

 みちょるびんは、子供ながらに、ステキなネクタイを作って、パピーに使ってもらいたいと、本気で思いました。
 だけど、自分の画力では、到底、素敵なネクタイはできないと考えたみちょるびんは、一色の色でネクタイを塗りつぶすということを思いつきました。
 ただ、まだ幼かったので(そこが、かわいいところだと思うのですが)、自分が当時好きだった色、黄色を選びました。
 お友達が、お花などの絵を描いている中、みちょるびんは一人、ムラができないように、丁寧にがんばって、黄色いネクタイを仕上げました。

 そうやって、自信作のネクタイをパピーにプレゼンとしたわけですが、当のパピーの反応は、薄かったという記憶があります。

 仕事から帰って来たパピーに、意気揚々と色付けしたネクタイを渡しました。
 さすがに、ありがとうは言ったとは思いますが、そのままササッとタンスの中にしまわれたことを覚えています。
 「仕事にして行ってほしい」とまでは言いませんが、こういう時って普通、大袈裟に喜んでみせ、子供の前で、ネクタイを着けてみせるというパフォーマンスをすると思うんですよね、大人は。

 みちょるびんは、自分なりにこだわりを持って作成し、自信作であっただけに、パピーのその様子に落胆し、未だに苦い記憶として残っているのだと思います。
 これは、パピーと、それから、みちょるびん自身の性格を反映しているエピソードだなと思います。

 また、こういうこともありました。

 サンゴが名産である長崎県五島に旅行した時に、サンゴ製品を手作り体験できるというサンゴ店を訪れたことがありました。
 サンゴの小片を、職人さんの手ほどきを受けながら、球形に削って磨き、その丸く仕上がったサンゴを、最後は、ペンダントかネクタイピンにできるというものでした。
 みちょるびんは、パピー用にネクタイピンを、妹はマミー用にペンダントを作ろうということになり、二人で、サンゴ削りに挑戦しました。

 サンゴは、とても柔らかいので、職人さんにも、削るときは、圧をかけ過ぎないようにと注意されました。
 しかし、みちょるびんは、いいものを作りたいという気持ちから力んでしまい、結果、サンゴに亀裂が入ってしまったのでした。
 一見、ヒビが入っているようには見えなかったし、結局、そのまま亀裂の入ったサンゴを、そのまま、ネクタイピンにしました。

 さて、さぞかし両親が喜んでくれるだろうと思いながら家に帰り、両親にそれぞれの贈り物を渡したわけですが、パピーの第一発声は「なんだ、亀裂が入っているじゃないか」でした。
 普通の人は、そんな細かいところまで、気づきません!
 違いがわかる男・パピーは、そのまま、みちょるびんが心を込めて作ったネクタイピンを、ポイっと、脇に追いやりました。

 普段、「みちょるびん大好き!」みたいなことを言っているくせに!!
 「それとこれとは違うんだ!?」と思わせるエピソードでした。

【ある帰省の時の日記】

 ひょっと、パピーにお土産があったことを思い出し、パピーに渡した。
 随分前に、マレーシアのお土産にもらったピューター(錫)のトリの置物だ。
 いつも忘れて、実家に持って帰ってくるのを忘れていたやつ。

 トリ好きのパピーに見せると、一発で、それが何の鳥か分かった。
 カワセミか、ヤマセミのいずれかと。
 結局、カワセミということで落ち着いたようだった。

 パピーはえらく興奮していた。
 精巧な造りと、美しさに感動していたようだ。

 一応、恩着せがましく、それが、マレーシア特産のピューターで造られたものであること、マレーシアの有名なブランド製であるということを強調したのだが、パピーはそういう説明よりも、とにかく目の前の現物に感心していた。
 ホントにもう、パピーは、「違いの分かる男」なのだ。

 喜んでくれたのは、うれしいが、パピーの本物志向というか、’本物を見分ける目’を実証した結果になり、今後、ますます扱いが難しくなった。

 パピーはとにかく喜んで、初めは、置物の下に敷くものを探していたが、マミーの提案で、ガラス容器を逆さにかぶせ、まるで、ケースに入っているかのようなディスプレーとなった。
 すると今度は、背景がある方が、美しいと言い出し、携帯用ティッシュの厚手の台紙をハサミでいいサイズに切って、置物の背に入れていた。

 すごい熱の入れようである。
 ちょっと、可笑しかった。

【ある日の日記】

 今日は、お世話になった人へのお礼の贈り物を探しに、デパートに出かけた。

 ちょうど、アンティーク市が開催されていたので、何か素敵なものがないかと思って探してみたが、やはり、私の予算じゃ、甘かったようだ。

 代わりに、関係のない、小さいガラスでできた鳥(インコ? ハト?)を500円で見つけたので、パピーに贈ることにした。

 お店の人は適当で、「今のものではない」と言うだけで、時代説明等はなかった。
 が、確かに、色合いと言い、今ではこういうのは作られていないと思った。
 昭和かな?

【その3日後の日記】

 夜、母・マミーから電話があった。
 一昨日に実家宛に送った宅急便が、今日の午前中に到着したという。
 宅急便を預けに行ったときは、到着は明日の午後になると言うことだったが、1日早く届いていた。

 両親とも、とても喜んでくれたので良かった。

 パピーは、’アンティック’のガラスの小鳥も気に入ってくれていた。
 マレーシア製の錫のトリと、以前贈ったガラス製のメジロと計4匹、仲良くガラスのケースに入れて、飾ったとのこと。

 さすが、違いの分かる男!
 良かった。

                            以上、みちょるびんで!

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