ダンス! 第一次仕事イヤイヤ期

第一次仕事イヤイヤ期(その153:「即席即興バトル!」その10編)

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こんにちは、みちょるびんです。

(前回までのあらすじ)
入社して最初の数年は、一つの夢も実現し、何の疑問もなく、仕事に励んでいたみちょるびん。そんなある日、占いで「将来、商売を始める」「自分を抑制している」と告げられ、仕事に対し、違和感を感じ始めた。学生時代に熱中していた「演劇」に活路を見出し、カルチャースクールの演劇講座を受講。そこで出会ったつるさんに誘われ、新たにダンス教室に通うことになったのだが・・・。

【即興バトル、当日の日記(中編)】

 「即席即興バトル」が始まった。
 会場には、妹が観に来てくれているのも確認できた。

 最初に、Aブロックにエントリーしているダンサー3組が即興ダンスを披露した。

 出番を待っている間、私たちは、2階にある関係者席から、舞台の様子を見学することができた。

 トップバッターのパフォーマンスの際は、「バトル」が始まったばかりで、客がまだ温まっていないという状況もあり、観客の反応が薄く、厳しい印象を受けた。

 しかし、次に控えていた若手のホープダンサーはエネルギーに満ちて快活で、「バトル」を盛り上げてくれた。
 そして、とてもかわいかった。
 顔の表情がくるくる動く様が、遠い2階席からも良く見て取れた。
 体も柔らかくしなやかで、正に、「踊ってます!」という感じ。

 一方で、Aブロック最後の女優プロダンサーは、他の二人とは一線を画すユニークなテーマのダンスだった。
 豊かな表現力で、女優の彼女らしい、’表情のある’パフォーマンスだった。

 個人的には、「若手の子に一票!」だったが、女優ダンサーが決勝戦に駒を進めた。

 お次は、我々が組み込まれたBブロック。

 先の出番のM氏のパフォーマンスの時は、私たちは、舞台袖に待機していたので、残念ながら、彼のパフォーマンスは全く見られなかった。
 あっという間の2分間。

 そして、次は、私たちの番。
 ダイちゃんと私は、はっちゃんに、「側転をよろしくね」と何度もお願いした。

 私たちの曲のイントロが始まった。

 今回の「バトル」出演用に、特別に編集した曲の1曲目は、「仕事始め」(アニメーション映画「魔女の宅急便」のサウンドトラック)。
 同じフレーズが続くので、1回目のフレーズでまずは、ダイちゃんが一人、舞台に出て行って踊り、次のフレーズではっちゃん、次に私・・・という感じで、段階的に、それぞれ舞台に登場して行った。
 ちょっとしたソロのパート。

 私が舞台に出ると、なぜか笑いが起きた。
 かわいいシーンのはずなのに、不明。
 少女のように無邪気に振る舞ったつもりなのだが、そこに、年齢的な無理があったのか・・・??

 そして、打って変わって、激しい2曲目、ヴェルディ作曲「レクイエム」 から第2曲「怒りの日(ディエス・イレ)」。
 ここは、ほんわかしたダイちゃんとはっちゃんの2人を、私が引っ張って行かねばならない。

 今回、私が即興のテーマに選んだのは、「(運命の)赤い糸」であった。
 それで私は、曲の展開として、1曲目では、「恋に夢見がちな幸せな感じ」を表現し、2曲目では、「恋愛におけるちょっと不穏な出来事」をイメージしていた。

 2曲目のセンセーショナルな曲がかかると、私は、舞台上を大きく、行ったり来たり移動し、「太郎と花子が!?」と大声で叫んで、とにかく大袈裟にショックを受けているかのような振りで踊った。
 無我夢中。

 そして、最後の3曲目、山口百恵の「赤い絆(レッド・センセーション)」。
 曲が切り替わって、百恵の切なそうな歌声が響き渡ると、観客の笑い声が聞こえた。
 わざわざ観に来てくれた私の友達らしき人の笑い声も聞こえた。

 私は、歌詞の内容に合わせて、床に倒れ込むなどして、感情たっぷりに、’怨念’を表現した。
 ウケていることは間違いないようだった。
 良かった!
 本望というものである。

 「即席即興バトル」Bブロックは、結局のところ、M氏と演出家さんが接戦で、M氏が決勝戦に臨むことになった。
 演出家さんもウケていたし、歌をアカペラで歌うとはチャレンジングだと思った。
 それに、演出家さんは、本来、審査する側となっておかしくない立場の方なのに、我々と同じレースに参加すること自体、うれしいというか、その姿勢がすばらしいと感服した。

 最後のCブロックは、我々と同じ素人ペアのダンスで始まった。
 2人の練習の様子を傍で見ていたし、心配したこともあったが、本番はそれぞれの持ち味が出ていて良かったのではないか。

 「即席即興バトル」のオーディションで一発合格を果たしたTくんの’ソロ’は面白かった。
 サラリーマン風の出で立ちで現れ、カバンを持って踊っていた。
 観客にウケていた。
 私も面白いと思った。

 やはり、私なんかと組まず、ソロで踊って正解だったのではないか。
 と、いつまでも、そんなことを言っては、立派に’ソロ’を踊り切った彼に対しても失礼だろうね。
 そもそも、元々は、彼が実力で勝ち取った「ソロ枠」なのだから。

 最後の感覚派プロダンサーKさんは、黒い布を頭からかぶって、独特な世界観を打ち出していた。
 踊りは、正統派な感じ。
 さすがの、貫禄の舞であった。

 私は、Tくんも、Kさんのことも好きなので、いずれの2人も応援し、どちらとも決勝戦に勝ち進んでほしいと思ったが、駒を進められるのは、1人だけなのだ。
 ここでは、Kさんに軍配が上がった。

 続いて決勝戦では、各ブロックから決勝に進んだダンサー3名が、3人同時に舞台上で即興ダンスを披露した。
 決勝戦で使用された曲は、誰にも知らされていなかった。
 水の音で始まり、テンポの遅い曲だった。

 3人とも、全員が、プロのダンサーであり、さすがに皆、すごくうまくて、やはり(決勝戦に)出るべくして出た人たちだったのだと感じた。

 私たちも、彼らと同じように、3人で踊ったが、即興の醍醐味である’他者との絡み’も、3人のプロダンサーはうまいし、我々は、それが上手くできなかったわけで、決勝出場の3人のダンスは正に「The・即興」という感じがした。
 観客を圧倒させるのに、十分の実力があった。
 心からそう思った。

 残念だけど、私たち3人では、お粗末な決勝戦になっていたに違いない。

 ところで、M氏のダンスは、やっぱり何か、イライラさせられた。
 身体能力の高さは認めざるを得ないし、申し分なく上手いのだが、格好つけた感じが鼻につくというか。
 そんなM氏に対し、女優ダンサーが果敢に、M氏に対抗するようにして絡んで踊っていた。
 そして、M氏がスカして目深にかぶっていたフードを、Kさんが隙を突いてペロッと引っぺがした時は、「やった!」と私は心躍ったのだった。

 Kさんと女優ダンサーの踊りは、甲乙つけがたいとも思ったが、他者との絡み具合は、女優ダンサーが群を抜いてピカイチだった。
 彼女は、最近、外国でダンスレッスンを受け、パワーアップして帰って来ていた。
 以前の彼女とは違う。
 より洗練されたし、アーティスティックな踊りになっていると感じた。

 案の定、女優ダンサーが優勝した。

 私たちのチームは、残念ながら、一回戦で敗退したものの、他のダンサーたちの素晴らしいパフォーマンスを楽しむことができたし、納得の結果であったと思う。 (つづく)

                            以上、みちょるびんでした!

-ダンス!, 第一次仕事イヤイヤ期

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