こんにちは、みちょるびんです♪
みちょるびんが高校1年生の時、もう1人、バスケ部の主将以外で熱を上げた人がいた。
主将と同じく2学年上の男の先輩。
こちらは生徒会の人で、ハッキリと自分の意見を述べるところがカッコいいと憧れた。
仲良しの友達はこの先輩のことを俳優の舘ひろしに似ていると評し、面白がって応援してくれた。
3年生と1年生とでは、教室のある建物が異なっていたので、本来あまり会うことはないのだが、みちょるびんは遠くからでもタチ先輩の姿をキャッチすることができた。
偶然に廊下でタチ先輩を見かける度に、運命を感じずにはいられなかった。
みちょるびんの妄想が始まったのは、どうもこの頃かららしい。
ある日、仲良しの子と下校している時にタチ先輩を見つけた。
探偵のように2人でタチ先輩の後をつけて、家探しに乗り出した。
だが、タチ先輩の方が一枚上手で、すぐに撒かれてしまったのだった。
みちょるびんはタチ先輩の自転車がどれなのかは特定できていたので、「受験勉強お疲れ様です♡」の気持ちを込めて、たまに自転車のカゴにお菓子を入れるなど差し入れを行った。
誰が仕込んだものかわからない食べ物をありがたがって口にするほどタチ先輩は愚かではなかったと思うがね☆
タチ先輩とは、まあそんな風にストーカーまがいの追いかけっこを楽しんだだけで、何の進展もなく終了したが、いい思い出である。
2年生に進級し、部活で演劇を始めた影響なのか、想像力がますますたくましくなっていった。
いい感じになった男子にまつわる情報――例えば、何色が好きか、星座は何か――を専用のノートにしたため、彼の一言一行を観察しては分析、記録した。
彼はみちょるびんの妄想の中で、理想の王子様に祀り上げられていき、日を追うごとに実在している彼と妄想の中の彼は乖離していったのだった。
こうなってくるともう、恋に恋してるっていうやつ。
高3になって間もないある日、彼に誰もいない教室に呼び出され、勉強に集中したいから距離を置きたいと言い渡された。
演劇部員だったみちょるびんは、日頃から芝居がかったところがあったんだと思う。
「もう、いい!」とか言いながら、パタパタと教室を飛び出した。
みちょるびんの想定では、彼は追いかけて来るはずだった。
だが彼は、追ってはこなかった。
その時ようやく「あれ? おかしい!?」って思った・・・。
現実はドラマのようにはいかないのだということを学んだ一件だった。
その後も、自分に都合のいいように妄想を膨らませ、しばらくの間、王子様のことを引きずった。
それから数年が経ち、みちょるびんがようやく新しい一歩を踏み出すことができたのは、バンド青年との出会いがあったから。
憧れの青年との交流がうれしくて、でも切なくて、いろんな想いを日記に綴った。
みちょるびんは恋をすると、すぐに記したくなる傾向があった・・・。
しかし、みちょるびんの想いは届くことなく、青年は東京に希望を見つけ、故郷を離れて行ってしまった。
みちゃるびんはふと思った。
書くという作業を行うことで、みちょるびんは自分の感情を無用に大きく膨らませていたのではないか!?
そのせいで、一方的にこちらの思い入ればかりが強くなってしまい、本当の彼をちゃんと見ていなかったのではないか?
感情の暴力を振りかざしては彼らを振り回し、そして疲れさせたんじゃないか―――!?
日記がみちょるびんの暴走を招いていたのではないかという疑惑がわいてからは、日記を封印した。
それから15年近く経ったある日、みちょるびんは本棚に、あの時の日記を見つけた。
ポエムチックな描写であるとか、多少自分に酔っていたところもあったのかも知れないが、21歳のみちょるびんのピュアでまっすぐな想いが綴られていていた。
いろんなステキな感情を体験していたことに、ちょっと感動した。
また、バンド青年を追いかけて上京したいという目論見なども書かれていて、驚いた。
みちょるびんもそれからすぐに就職が決まって上京したが、青年に連絡することはなかったし、実際、故郷で彼と会ったのを最後に一度も会っていない。
みちょるびんも新生活を迎え、その頃には気持ちが吹っ切れていたことだから覚えていなかっただけなのか、それとも、その失恋が自分にとってつらいものだったから、脳がその記憶を抹消してしまっていたのか・・・??
日記を読み返してみて、あの時だったからこそ味わえた特別な感情を体験したことすらすっかり忘れてしまっていたという事実を思い知り、それはとてももったいないことだと感じた。
だから、古い日記を見つけたことをきっかけに、みちょるびんは再び日記をつけることにした。
結局、海外赴任した後は続けられなくなったので、14年くらいでストップしてしまったんだけどね。
でも書いていた14年間は、ダンス教室に通ったり、宝石鑑別の勉強に打ち込んだりして、忙しかったけどとても刺激的で面白い毎日だったように思う。
その時に記した日記は、みちょるびんの宝物。
以上、みちょるびんでした!