こんにちは、みちょるびんです。
【葛藤(ある日の日記)】
夕方、私が愛する高級イタリアンブランドP様の店長さんより、以前、私が探していた限定販売の’アンティーク風カーフバッグ’が2点入荷したとの電話があった。
最近、既に、ボーナスの一部に手を付けてしまっており、今後は財布のひもを締めなければならないと思っていた矢先のことである。
これまで、数々の誘惑―――A4サイズ用紙も収まる、通勤に適した魅惑のバッグ等―――をも跳ねのけ、P様アイテムの購入はがまんしていたのだ。
このタイミングで、困ったもんである。
私は、雑誌に載っている、そのバッグのページを改めて確認した。
見ていると、やはり欲しくなってしまう。
一方で、「欲しい時に買わずに、いつ買う!?」みたいな気持ちもあったりして。
連絡をくれたお店は、路面店ではなく、私がせっせとポイントを貯めているデパートに入っている店だった。
同じ買い物をするにしても、ポイントが加算される方がお得なわけで、実のところ、ポイント目当てで、同店にその取扱いがあるかの問い合わせを行った経緯がある。
購入するには、好条件。
いずれにせよ、これは、大きな買い物であり、慎重に対応する必要がある。
あー、でも、明日お店で実際に見てしまったら、買っちゃいそうっ!!
【その翌日の日記】
1.戦い前の静けさ
今日は、朝起きして(と言っても、お昼近かったが)すぐに支度して出かけた。
目指すは、P様。
まずは、お手洗いに直行した。
その理由は、
①この聖戦が長丁場になることが想定され、また、P様にまっすぐと向き合う神聖な時間を、尿意などに邪魔されたくないため。
②P様は、お手洗いに行く途上に立地しているので、まずは、外から店内の様子を探るためである。
お店の前をさりげなく通った時、店員さんが手にしているバッグが目に入った。
直感で、すぐにあのバッグだと思った。
遠目に見ても、確かに、存在感があり、目を引く。
想像以上に、というか、雑誌で見た以上に、色合いが暗く見えた。
それは、私にとって好ましい、いい傾向だった。
2.検証
バッグを手に取ってみた。
バッグの外側についている、正面のポケットは、噂とおり、ファスナーのところがうねっていて、チャックの開閉に苦労する感じだった。
どうかなーとも思ったのだが、形といい、色といい、案外似合っているのだ。
今日は、黒の革のジャケットを身にまとい、臨んでいた。
このジャケットの着用時は、いつもバッグで悩まされていた。
ジャケットの革の表面がつややかなので、同じような表革のバッグはマッチしないのだ。
それでいつも、ナイロン素材のものを合わせていたのだが、アンティークの風合いのあるこのバッグは、革をウォッシュしてあるせいで、革の表面がマットになっており、ジャケットとの相性はOKだった。
色も写真で見て心配していたほど、’春子’(パーソナルカラー)の黄味の強い明るい茶色ではなく、黒っぽい色が少し重なっているため、黒色の洋服もイケるのだった。
単色でないというのが、合わせやすい要因だろう。
私は、いつの間にか、買うことに対してのためらいは、ほとんどなくなっていた。
もちろん、本当にこの額を支払ってしまって、その後の生活が大丈夫かどうかという心配はあったが。
3.いずれかの選択
そして、最大の悩みは、2つあるうちの、どちらの方にするかということだった。
店頭に出ていたバッグは、一番初めに、刻印されたブランド名のところにできた小さい穴が目につき、気になった。
もう一つのバッグは、正面ポケットの部分が大きくよれて、シワができていた。
第一印象は、一番目の穴あきバッグの方であった。
色も少し、良いように思われた。
しかし、実用面で考慮しなければならない、耐久性が危ぶまれた。
このバッグはガンガン、高頻度で使うべきだと考える。
おそらく、その方が、ますます革の風合いも出て、いい感じに馴染んでいくはずなのだ。
しかし、ガンガン使うにあたり、この穴がそれに耐えられるかが心配だった。
例えば、重みのあるものを中に入れた際、その重みに引っぱられて、穴が拡大することが考えられた。
刻印の文字自体はいい感じに仕上がってはいたが、やはり、穴はどうしても気になった。
4.冷却期間を経て、更なる熟考へ
私は、いくつか先に片付けたい用事があったので、2つ目のよれた方のバッグを包むよう、店長さんにお願いし、一旦、お店を後にした。
帰省のための航空券を買いに行ったり、貯めていたポイントを商品券に交換するなど行った。
航空券は、ディスカウント店で購入したことにより、正規料金と比較すると、まずは、1万5千円をセーブできた。
そして、デパートでは、1万円分の商品券がゲットできた。
これで、2万5千円を浮かせたことになる。
さて、商品券を待っている間、とにかく、バッグのことで頭がいっぱいで、軽くドキドキしていた。
2つ目のよれたバッグを包むようにお願いしておきながら、まだ、どちらのバッグにするかを悩んでいる自分がいた。
ところで、このバッグは、限定販売ということもあり、個々に、シリアルナンバーが付されていた。
だから、やはり、シリアルナンバーも気になるポイントだった。
数字を見比べてみたときに、穴あきの番号の方が、キリのいい数字で、ぬいぐるみたんと相性のいい数字のような気がした。
2つ目のよれた方は、私の人生においては、あまり馴染みのない数字のような感じがして、違和感があった。
そのうち、穴が空いていることも、ご愛嬌のように思えて来て、頭を撫ですぎてしまったがために生じた、ぬいぐるみたんの’禿げ’にも通じるような気がして、それを大切にして愛せるのは、私だけのような気がしてきた。
バッグを見たときの第一印象も、「穴あきの方!」と思ったし。
そうなると、やっぱり、穴あきの方がいいのではないかという気になってきた。
5.大詰め
それで、お店に戻り、もう一度、2つを見比べた。
本当に迷ったのだ。
一度はやはり、’穴あき’とまで思い直したのだが、結局、2つ目のよれた方に戻った。
迷ったのだが、どうしても穴が気になった。
そして、改めて、シリアルナンバーを見ていると、穴あきのそれよりも、よれた方のがしっくりくる気がしたのだった。
手に持ってみた時は、不思議と、よれた方が似合っているような感じもした。
だから、ようやく、よれた方に決めた。
店長さんも、私のこの迷走ぶりに、あきれたに違いないが、最後まで根気強く、つき合って下さった。
だけど、バッグが似合っていると言ってくれたので、うれしかった。
そうだよね、結局、それが一番大事でしょう。
そうでないと、使えないし、使わなくなるし、それでは大金をはたいた意味がないではないか。
6.戦いを終えて
買った後は、気分爽快。
やっぱり、欲しかったんだね。
今シーズン、2回も欲しいバッグが登場したが、本当、買ってなくて良かった。
あのものたちを買っていたら、今回の購入には至らなかっただろうからね。
しかも、なぜ、今頃になって、あのデパートにこのバッグが回ってきたかは、不思議だが、いずれにせよ、良かった、良かった。
私の、「プラ吉」(みちょるびん造語、プラ●き●がい)の名も、保たれたと言うもの。
以上、みちょるびんでした!