こんにちは、みちょるびんです。
【ある日の日記】
70代半ばの父・パピーに「映画『椿三十郎』を観るか?」と訊いたところ、予想外に素直に「うん」と言ったので、私は両親を先に定食屋に行かせ、私は映画館に寄って、上映時間を確かめるなどした。
次の回まで、今から1時間半くらい時間があるという計算だった。
食事が思いの外早く済んだので、パピーが「疲れたから帰る」とか言い出さないか心配だったが、好きなカメラを見に、カメラ屋に行くことを思いついたパピーは、急にニコニコし出した。
その後、靴屋に寄って、運動靴を2足買ってやると、ますます上機嫌になった。
そもそも、履いていた革靴が足に合わないのか、旅行先で足が痛いと言い出し、温泉街の小さな靴屋で靴を見てみたが、どうもデザインがお気に召さなかったようで、四の五の言って、結局買わなかったのだ。
指でチャッと‘✓’の字を描いて、このマークの靴がいいと繰り返し主張していたが、ようやく念願のナイキをゲットできたのだった。
秋冬用に黒、春夏用にホワイト&シルバー。
母・マミーに「一遍に2足も買わない!」と怒られていたが、パピーの足のサイズが22.5cmであることを考えると、見つかった時に買っていた方がいいのだ。
パピーは、男の人の割に足が小さすぎるから、なかなかパピーに合うサイズが見つからないという状況があり、あればラッキーだからである。
それに、ちょうどセールで安くなっていたということもある。
パピーがホクホク顔にならないはずがないのだ。
そんなことをしているうちに、ちょうどいい時間となり、いよいよ映画館に移動した。
映画館は、平日の中途半端な時間だったせいなのか、ガラガラだった。
我々を入れても、10人も客が入っていなかったんじゃないか。
予告が始まってすぐに、その音の大きさに、久しぶりに映画館に来た二人は驚いていた。
観客がいないせいもあるのかも知れないが、確かに、少し、心臓まで響くような大音量だった。
本編が始まり、主役の俳優さんが登場。
パピーが「ありゃ、Aちゃんのアレじゃないの?」と声を上げた。
’Aちゃんのアレ’というのは、’Aちゃんが大ファンの男優’という意味。
パピー本人が、耳が遠いせいか、声が大きく、館内に響き渡った。
私は、パピーとマミーを離して、二人の間の席を陣取っていたので、何も言わずにただ、パピーを肘でつついた。
「おしゃべりしちゃダメ!」の合図。
すると、今度は、5分もたたないうちにパピーは、イビキをかき始めた。
館内が暗いせいか、今朝は5時起きだったから疲れているせいか。
耳が遠いせいで、役者の話が聞きとれずに、ストーリーが追えないのか。
メガネがなく、画面が見づらいのか・・・。
私は、イビキが激しくならないことを心から祈った。
マミーも、どうやら眠っていたらしい。
耳には、ティッシュを詰めて耳栓までしていた!
さて、映画「椿三十郎」は面白かった。
1964年公開の時の映画と、同じ脚本を使用したとのことだが、全く違和感なく楽しめた。
パピーも絶対、好きな映画のはずなのに、寝てしまって、残念。
パピー曰く、最後に映画を映画館で観たのは、西部劇で、50年近く前だっただろうということだった!!!
約半世紀ぶりの映画館での映画鑑賞だったのに!!!
映画の帰り、たまたま、エレベーターで乗り合わせた中年のおじさんが、「(今回のリメイク映画も)面白かったですね。(オリジナルも当時)観たんでしょ?」と声をかけて来た。
パピーはとんちんかんな返答をしていたが。
パピーもマミーも話のネタに、映画館に来られて良かったと、別な意味で喜んでいた。
そして、結局は、我が家で観るテレビが一番いいということを言った。
まぁ、耳が遠く、たまに、ストーリーについて行くのが難しいパピーには、字幕付きの画面の方が、文字で内容をフォローできるからね。
そっちの方がいいのかも知れないね。
パピーのイビキには参ったが、でも、なんか面白かった。
以上、みちょるびんでした!