こんにちは、みちょるびんです。
【ある日曜日の日記】
夕方、リビングでテレビを見ていた時、玄関の方で音がした。
一瞬、妹が帰ってきたのかとも思ったのだが、鍵を差し込んでドアを開ける音とは少し違っていた。
すると、カタンと何かが落ちる音がした。
玄関に行ってみると、ドアノブの下に、長傘が落ちていた。
昨日、雨の中を帰宅し、濡れた傘を、レバーハンドルのドアノブにかけたままにしていたことを思い出した。
カタンというさっきの音は、どうやら、傘がレバーからすり落ちた時のものらしかった。
恐る恐る、ドアの覗き穴から外の様子をうかがったが、人影は確認されなかった。
しかし、エレベーターが動いている音が聞こえた。
下に降りて行っているのだろうか。
怖かった。
いろいろと考えてみた。
傘が落ちたのは、事実である。
だが、それは重力によるものではないと思う。
傘は、さほど重くはないし、傘をレバーハンドルにかけてから既に18時間近くがたっているのだ。
レバーが重さに耐えられなくなったとしても、時間がかかりすぎではないか。
それに、傘がレバーに掛けることができたということは、昨夜の時点では、レバーは、水平であったはずである。
しかし、目の前のレバーは、少し斜めに傾いていた。
これは、ハンドルがゆっくり動かされた表れではないか。
それに、傘が落ちる前には、何か、音を聞いていた。
ハンドルに手をかけた音?
勢いよくハンドルをつかんで、押し下げた場合、それだけレバーも勢いよく元の水平に戻るというものだ。
しかし、ゆっくり、ハンドルを動かした場合は、少し抵抗があるため、完全には、戻らず、傾いたままになるのだ。
これは、どういう意味か。
少なくとも、勢いよく、ドアを開ける意思はなかったわけだ―――。
では、なぜ、ゆっくり開けようとしたのか?
自宅の玄関で、そんなことをするだろうか?
そもそも、各階のフロアは、壁や床の色がそれぞれ異なっており、部屋を間違う確率は低いだろう。
鍵を差し込む音がしなかったということは、鍵がかけられていないことが期待されていたのだろうか。
また、ドアを開けるにあたり、そんなに、ゆっくり(あるいは静かに)レバーを下げるだろうか。
どう考えてもヘンだ。
「小さい子供」説も考えてみた。
誤って、小さい子供がレバーに手をかけたという説だ。
だが、子供の声は聞かなかった。それに、一緒にいる大人が制するなどして、声を出すはずである。
だけど、人の気配すらしなかった。
子供でなければ、大人。
大人だとしたら、ますます不自然ではないか。
やはり、誰かがこの部屋に入ってこようとしたのか?
一体、何のために?
15時頃だったか、一度電話があった。
親だと思い、面倒だったから電話には出なかった。
だけど、それが犯人だったとしたら?
部屋に誰も人がいないことを確認するために、予め、電話していたとしたら?
しかし、平日の日中は、ほとんどの場合、留守しており、部屋への侵入は、防ぎようがないのが、現実である。
それに、むしろ、休日に入り込もうとしていたのだとしたら、大胆ではないか?
でも、それも、留守を前提としたものであるからか?
‘ぬいぐるみたーん’、守ってくらはーい。
以上、みちょるびんでした!