こんにちは、みちょるびんです♪
『日本映画専門チャンネルpresents 伊丹十三4K映画祭10作品10連続ロードショー』(「伊丹十三映画祭♪♪(前編)・(後編)・(続編)」)の最後の映画『マルタイの女』(1997年)を観ました。
第6弾『ミンボーの女』(1992年)、第7弾『大病人』(1993年)、第8弾『静かな生活』(1995年)、第9弾『スーパーの女』(1996年)、そして第10弾の『マルタイの女』。
後半戦の作品については、『静かな生活』以外はなんとなく、みちょるびんは感想は書かずにいました(「静かな生活!」)。
第3弾『マルサの女』(1987年)と第4弾『マルサの女2』(1988年)、続く第5弾の『あげまん』(1990年)を見た感想は記事にしましたが、お色気シーンに関する考察(?)を一通り書いて、そこで一旦みちょるびんの気が収まったからっていうのがある(「あげまん!・(その2)・(その3)」)。
後半戦にも相変わらずそういったシーンはあったのだけど、どんどんナリを潜めていき、描写もだんだんとモデラートになってきて、前半戦の時のようなインパクトも遊び心もなくなった。
それに内容的に、『マルサの女』や『ミンボーの女』の時のような荒くれ者が出てこなくなったっていうのも、マイルド化した一因と考えられる。
みちょるびんは、伊丹十三作品の中では『ミンボーの女』が一番好きかも知れない。
「ミンボー」とは民事介入暴力という警察用語の略で、反社会的勢力によるゆすり、たかり、おどしなどのことを指す。
『マルサの女・2』に比べると話も単純でわかりやすい。
『マルサの女・2』が脱税の手口やそれに対抗する国税局捜査部の活躍を学べる教本だとしたら、『ミンボーの女』は反社会的勢力の撃退マニュアル。
反社会的勢力とは縁のない一般庶民からすると、その撃退法を学べてお得だし、それでいて痛快な展開だから観ていてスカッとする。
主人公はじめ、脇を固めるメインキャラクターも個性的だから楽しい。
みちょるびん的には、ミンボーを専門にする女弁護士(宮本信子さん)の登場シーンがしびれた。
会社(高級ホテル)から反社会的勢力対応を特別任命された2人の社員がいじけて、レセプション会場に設営された長テーブルのクロスの下に潜り込んで現実的逃避しているときのこと。
2人の目の前に、足から姿を見せるのですが、その足の演技が秀逸だと思う!
『大病人』は死の迎え方をテーマにしたもので、病院の裏側とでもいうか、実態に踏み込んだものになっている。
これも一種の教本のつもりで作成されているんだろうが、いつか自分もそうなるのかも知れないという思いが頭の隅にあるので、エンターテイメントとして楽しむにはちょっとキツかった。
第7弾にもなってくると、こういった‘実態を暴く系’というスタイルが押しつけがましく感じられ、鼻についてきたところもある。
主人公が臨死状態になった時、幽体離脱なんかしちゃったりしてスピリチュアルな様相も出てきて、リアリティを追求したこれまでの社会派なイメージから離脱した感があって拍子抜けした。
まー、伊丹監督映画ではエンターテイメント性も重視されているので、おふざけに走ったってことで許されるのかも知れないし、取材の中でそういった体験談を実際に聞いたのかも知れないけど、うさん臭さが出て、何を見せられているんだ!?って戸惑ったよね。
ウィキペディア情報によると、臨死体験シーンでは、日本映画として初めてデジタル合成が使用されたんだとか。
少女が頭に被っている麦わら帽子がパカッと開いて、中からヒナドリが現れるシーンがあったんだけど、その映像なんかはとても印象に残っている。
まるでアート作品を観ているようで、さすが商業デザイナーをしていた伊丹監督なだけある!とその点は感心したものです。
それにしても、タイトルを「〇〇の女」としておけばウケるんじゃないかっていう下心が透けて見えるようで、『スーパーの女』にしろ『マルタイの女』にしろ、ちょっと残念な気持ちになりました。
『スーパーの女』ではすっかり毒が抜けてしまい、ファミリー向けになってしまった感が否めないし、スーパーが舞台では「実情を暴く!」と言っても新鮮味に欠ける。
単に「つぶれかけたスーパーを建て直す痛快コメディ」でいいんじゃないの!?って思いました。
いちいちそこに何かしらの学びを入れようとするから、押しつけがましくなるんでないの!?
『マルタイの女』に至っては、これまで切り込み隊長だった女の主人公が、教わる側、守られる側に回っちゃってるし。
今までの流れで言うと、警護する側に立ってしかるべきではないか!?
だから、これまでの攻める側にあったスピード感がなくなっちゃってるんじゃないのかな?
これじゃぁ、迷走しているとしか言いようがない。
無理して「マルタイ」なんて知ったかぶった単語を使って、「〇〇の女」に収めようとしなきゃ良かったんじゃないかって思う。
全10作品の中でも『マルタイの女』の興行成績が著しく悪かったそうですが、観客もそれ以上、「〇〇の女」に期待が持てなくなったんじゃないかな!?
観客は常に、新しいものを求めるし、それに応えるって、とても大変なことなんだろうなっては思いました。
因みに、興行成績が一番良かったのは『スーパーの女』らしい。
(つづく・・・)
以上、みちょるびんでした!