こんにちは、みちょるびんです。
【滞在7日目の日記(前編)】
今日は、「クレムリン」及び「赤の広場」の日。
ガイドがいないので、自分たちだけで出かけ、入場の列に並ばなければならなかった。
それなのに、朝はちょっと、ゆっくり目の出発になってしまった。
と言うのも、露子の支度に合わせて、私もシャワーを浴びたりしたからだ。
だが、露子の運転手のリクさんも、一緒に「クレムリン」内に入ってくれることになったので、少しホッとした。
「クレムリン」のチケット売り場に到着したのは、10時半だったか。
チケット売り場は、さほど人が並んでいないように思われたが、ほどなく、その窓口は、団体客用に切り替えられ、私たちは、別の売り場に移動させられた。
そこは、長蛇の列で、かなりブルーになった。
何時間待ちになるのか?
他方で、列の先頭は、チケット売り場ではなく、入場口に向かっているようにも見えた。
それで、とりあえず、リクさんに偵察に行ってもらった。
リクさんは、おそらく、我々みたいな観光客を引き連れるという任務は初めてのことだろうし、若干、頼りない感じがしていた。
だが、さすがにロシア語が話せるのは強い。
まず、第一難関の「クレムリン」入場チケットは、教会の入場券もセットになっている、お得なものの購入に成功した。
しかし、私の最大の目的は、「ダイアモンド庫」にあった。
ダイアモンド・コレクションが、見事らしいのだ。
宝石好きとしては、やはり、外せないではないか。
露子には、以前より、私の希望は伝えていたが、露子が調べてくれたところによると、「武器庫」のチケットは既に完売しているので、「ダイアモンド庫」の予約はできない、ということらしかった。
とにかく私は、「ダイアモンド庫」に行きたかったので、リクさんにその旨を伝え、とりあえず、「ダイアモンド庫」の入場に挑戦してみることにした。
「ダイアモンド庫」の入口は狭く、中の様子が全くわからなかったが、そこに、人がたむろっていた。
ただ、その人達が既にチケットを持っているのか、そうでないのかは、判断がつかなかった。
すると、リクさんが、入口の係のおじさんと何やら話し、中に入れてもらえたのだ!
何たるラッキー!!
私は、チケット売り場のおばさんに、いつ、「ニェット(No)」と言われるかと、ハラハラしながら、おばさんとリクさんのやり取りを見守った。
チケットが買え、中に通された時は、「リクさん、でかしたぞ!」という感じ。
’一番、行きたかった場所’ということもあるが、「クレムリン」観光の中では、おそらく、「ダイアモンド庫」が一番盛り上がったと思う。
思いの外、リクさんの食いつきが良かったのには驚いた。
私も調子に乗って、知っている宝石の知識を、得意になって披露した。
リクさんは、いろんなことを質問してきて、私もがんばって、英語で答えた。
最近、宝石鑑別の勉強をさぼって、しばらく離れていたせいか、すぐに単語が出て来ず、かなりのジレンマだったが、楽しい時間だった。
「ダイアモンド庫」にも昼休みがあるらしく、13時になったら、そこから追い出された。
露子と「時間が合えば、一緒にランチしよう」とも話していたのだが、既に露子の休み時間は始まっていたので、我々だけでランチすることにした。
露子のお勧めだった、ゼム百貨店に行ってみた。
ゼム百貨店は、モスクワでも高級デパートということだったので、どんなものなのか、興味があった。
デパートと聞いていたので、日本のそれを想像していたわけだが、中は、お店が独立した造りになっており、モールという感じ。
外からの光が入る構造になっているのか、温室みたいに蒸し暑かった。
私たちは、せっかくなので、リクさんをランチに招待することにし、軽食が食べられるカフェに一緒に入った。
私は、これまで度々、「地球の歩き方」に書いてあるロシア語を使って、現地の人との交流をはかってきた。
リクさんにも「オーチン、スクースナ(とてもおいしかったです)」とロシア語で話しかけてみたところ、発音が違うと指摘され、「地球の歩き方」に書かれている表記に誤りがあったことが、そこで発覚した。
それからは、「オーチン、’ブ’クースナ」の’ブ’の発音を猛特訓させられた。
ちょっと、可笑しかった。
さて、もう15時。
今夜は、露子と18時半に待ち合せて、サーカスに行くのだ。
あと3時間のうちに「クレムリン」を消化しなければならなかった。
しかし、炎天下の中を歩いて回って、何だか、いつもよりも、時間の進むのがゆるやかなようにも感じられた。
最初に行った「ダイアモンド庫」は「クレムリン」の入口付近に位置していたため、これからようやく、「クレムリン」の中に入って行くという感じ。
それにしても驚いた。
「クレムリン」の中には、教会がたくさんあった。
想像していたのとは別世界。
政治の中心が、城壁の中に集中しているはずなのに、古い教会の群れは、正に観光地というのか、時代錯誤な感じ。
私は、今回の旅行で初めて、ロシア正教の教会の中に入った。
カトリック等の別の教派とは、全然違う内装。
壁一面に、絵が描かれていた。
壁だけではく、天井までも、余すことなく。
絵の感じといい、何か、ごちゃごちゃした小さい造りが、何だか好きだった。
カトリックだと、どちらかというと、立体的な’像’が多いのかも知れない。
ロシア正教は、それとは対照的に、イコンを始め、平面的な感じ。
金色が施されており、それが古くなって、ブロンズカラーに落ち着いているところがいい。
教会としては、結構気に入った。
しかし、「クレムリン」には、教会がいくつもあり、ウスペンスキー大聖堂、ブラゴヴェッシェンスキー聖堂、アルハンゲルスキー聖堂等、2、3も回ったら、すぐに、どれがどれだかわからなくなった。
内装がとてもよく似ているので、よほどのマニアでないと、全部同じに見えるかも知れない。
ところで、リクさんは、妙に「レーニン廟」のことを、何度も口に出していた。
よほど気になるらしい。
今日は休みだったので訪問できなかったが、ロシア人には、特別な場所なのか。
レーニンが眠っているようだ。
そろそろ16時半になろうとしていた。
リクさんの話では、16時半になれば「武器庫」に入れるかも知れないということだった。
宝飾品も展示されているようだったので、私としては、やはり興味があった。
ところが行ってみると、入口には、長蛇の列。
一旦、中に入りかけたのだが、チケットを持たないリクさんは一喝されたようで、曇った表情で入口から出て来た。
ひょいと見ると、すぐ隣の入口にも十数人が群れを作っていた。
一瞬、友子は「無理じゃない?」という顔をしたのだが、私はトライだけでもしたくて、列に並んでみることにした。
入口に人が殺到して、整理係のおばさんは、かなり不機嫌だった。
しかし、思いの外すぐに中に通され、チケットも買うことができた。
意味がわからない。
チケットを持っている人たちの方が長蛇で、待たされているとは、どういうことか!?
本当、不思議の国、ロシア。
ロシア人のリクさんも首を傾げるのだから、お墨付きだ。
とは言え、ありがたい。
「武器庫」は、とても広くて見応えがあった。
もう、本当に何がどうなっているのか。
ダイアやルビー、サファイア、エメラルドが当然のように、馬具にまで散りばめられていて、感覚がマヒしてくる。
特に「ダイアモンド庫」の上質なダイアモンドを見た後で、こちらの方は多少、品質が落ちるものだから、その頃には、大物を見ても、驚かなくなっていた。
これらの宝石がふんだんについた装飾品を、エカテリーナ女王かエリザベス女王かは、普段使いのようにして生活していたのだろうな。
展示の時代が古いせいなのか、宝石の’アレキサンドライト’が見られなかったのは、ちょっとがっかりした。
かつてロシアで採掘されていたのだし、すごい大きいのが展示されているんじゃないかと、期待していたのだ。
見学の途中で、「武器庫」の会場がとても広いということに気づき、後半は、駆け足で回った。
リクさんは、「ダイアモンド庫」で見て気に入った宝石で、私が教えてあげたその名前を、「忘れまい」として、たびたび私に確認してきた。
リクさんは、勉強熱心なのだ。
展示品ではない、展示室の立派な木製の扉に関心を示す様子など、面白かった。
今日は、長い、暑い一日だった。
足も棒のようになった。 (つづく)
以上、みちょるびんでした!