こんにちは、みちょるびんです♪
みちょるびんが一時期、着目していた昭和レトロの指輪―――。
「千本透かし金細工」が施された台座の中央に鎮座する、透明なキャンディカラーをした‘縦に長い’オーバル(楕円)やマーキース(楕円形を、上下に引き伸ばして舟型に尖らせたような形)の形をした宝石は、おそらく合成石!
もちろん、1つ1つの石を確かめたわけではないので、中には、天然のものも含まれているのかも知れませんが、オパールやヒスイ、メノウなどではない透明な石は、その確率が高いと思う!!
合成石とは、実質的に化学的、光学的、物理的特性は天然石と同じなのですが、生み出された場所は‘自然界’ではなくラボラトリー――つまり人間の手によって製造された人工石のことを言います☆
実は、合成石の歴史は古く、1800年代終盤には合成石は既に製造が始まっていました。
しかも、商業的に成功した宝石品質の合成石――合成ルビーの登場は、1900年代初頭です!
フレーム・フュージョン法(火焔溶解法)として知られるその製造方法では、ブールと呼ばれる細長い塊となった結晶が短時間で成形されるため、そこから一度に数多くの合成石をカットすることができる!
効率が良く、そして低コストで生成できることから、今日でも宝石を合成する際の主要な方法とされているそうです。
開発者のオーガスト・ベルヌイの名前を取って「ベルヌイ法」とも呼ばれています。
そしてもう1つ、合成によく使われているのがプーリング法(結晶引き上げ法)。
この方法は1918年に、「ベルヌイ法」で作られた合成ルビーよりも、内部の成長痕跡が少ない製造法として登場しました。
こちらは発明者の名前に因んで「チョコラルスキー法」と呼ばれています。
「チョコラルスキー法」は「ベルヌイ法」よりも製造方法が複雑でよりコストがかかるという面はありますが、しかし得られる成果はより大きい。
「ベルヌイ法」の方が結晶の成長スピードが速く、また、出来上がった合成石には含まれるインクルージョン(不純物)が少ないことから、費用対効果が高いのです。
この「ベルヌイ法」と「チョコラルスキー法」によって作られた合成石のクラリティ(品質)の違いは、顕微鏡を通して見て初めてわかるものであり、つまり、肉眼で確認ができない消費者からすると、さほどの違いはないと言えるのかも知れません。
しかし、工業用として合成ルビーが使用される場合においては、そのわずかな差異が重要となってくるのだそう。
レーザーに使用される合成ルビーは、可能な限り異物の混入は排除されなければならず、1960年代に広がったレーザー技術の研究は、インクルージョンの少ない合成石の製造方法たる「チョコラルスキー法」に、急速な発展をもたらすことになったのだそうです。
そうやって、工業用合成コランダムが大量に生産されるようになり、その結果、宝石品質の合成ルビーとサファイアが宝飾用にも用いられるようになりました。
なお、「チョコラルスキー法」で合成される宝石には、コランダム(ルビー、スタールビー及びサファイア)以外に、合成アレキサンドライトなどがあります。
さて、お話を「千本透かし金細工」が施された昭和レトロの指輪に戻しましょう。
「千本透かし金細工」は1950年代後半に多く取り入れられた技法と言われています。
一方、宝石品質の合成石は、1960年代のレーザー研究の歩みと共に大量生産されるようになった―――。
‘本物’と同じ性質を持っている手頃で美しい合成石が、ジュエリーの素材として日本で人気が出るのは自然の成り行きだったろうし、当時、技法としてポピュラーだった「千本透かし金細工」とそれが組み合わされたとしても、何ら不思議ではない・・・と、みちょるびんは思うのです。
現に、昭和レトロの指輪には、合成ルビー、合成サファイア、合成アレキサンドライトなどの合成石が多く見られます♪
以上、みちょるびんでした!