こんにちは、みちょるびんです。
現在みちょるびんは、書類の整理をしているところですが、みちょるびんが30年くらい前に書いた作文が出てきました!
手書きのもので、ルーズリーフのものもあれば、原稿用紙に書かれているものもありました。
すっかり忘れ去っていたもので、ナンのために書いたのかすら、今となってはわからない・・・。
だけどその中に、記事「クリアファイル!」で書いた「(みちょるびんの記憶力がなさ過ぎて)従妹たちと子供の頃の昔話に花が咲いても、たまにみちょるびん一人だけがその話について行けない」という代表的な出来事「バナナ事件」に関する記述が出てきました!!
従妹たちが語る話が面白かったから、今度は忘れまいとして書き留めていたのかも知れない!?
それとも、小説を書こうとでも思っていたのか・・・??
それにしてもやっぱり、今回読み返してみるまで「バナナ事件」の概要をすっかり忘れていました・・・。
若い頃のみちょるびんは、夏目漱石の「坊っちゃん」にかぶれていたので(「考察:その人物恐怖症。③」)、ちょっと「坊っちゃん」気取りなところがあって、小っ恥ずかしいのですが、懐かしい思い出話なのでご紹介します。
なお、登場人物の名前は全て仮名です♪
【バナナ事件!】(前編)
元来、ヒト真似が大嫌いで、いつの頃からか「他人の色になど染まりたくない」などと口走るようになっていた。
ウソがつけないものだから、自ずと自己主張が強くなる。
向上心もあるので、自分が正しいと信じたことは譲れない。
だからいつも周囲の人との間で、もめごとが絶えなかった。
時々は反省するけれど、でも「後悔」はしない。
なぜなら、いい加減なことができない質であり、いつも真剣。
たとえ過去の自分が選んだ‘道’に誤りがあって、その余波を受けていたとしても、今更、その時のせいになどしたくないのだ。
そんな行為は卑怯だと思うし、‘逃げ’だと思う。
それに、その方が潔いではないか。
田鶴美は、そういう人格であった。
田鶴美は時々考える。
なぜ自分は「男」ではなく「女」なのだろうと。
田鶴美にはどうしても、自分の性質を考えると、自分は男であった方が良かったように思えるのだった。
本来「後悔」することは好きじゃないし、これは母親の胎内の中で生を受けた時に既に決定されたもの。
だから、後悔しようもないことではあるのだが。
田鶴美はなぜか、幼少の頃から「男」というものに憧れがあり、逆に、周りにいる悪ガキどもに対しては、よく失望をしていた。
子供の頃は、女子の方が男子よりも精神年齢が上なのだそうで、女の田鶴美が、男子に対してイライラしてしまうのは、ある意味、田鶴美が「女」だからなのかも知れない。
だが田鶴美としては、そういうんじゃなくて、男子に対し、何か歯がゆものを感じていたのだった。
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田鶴美が小学校を上がるまでよく一緒に遊んだのは、従弟たちであった。
田鶴美の父は7人兄妹だったので、必然的に、田鶴美には多くの従弟がもたらされた。
父方だけでも、ざっと20人近くはいた。
通常、小学校には校区というものがあって、居住する場所によって通うべき学校が決まっているものだが、田鶴美たちは家族の信条により、家から20分ばかり離れたところにある別の学校に通っていた。
そんなこともあり、田鶴美には家の近所に学校の友達がいなかった。
だから遊び仲間と言えば、専ら従弟や年の離れた妹たちになるのであった。
その中に、皆がせいちゃんと呼ぶ田鶴美の1つ年下の男の子がいた。
年が近いと、共通の話題や遊びも多い。
だから、よくせいちゃんとはよく一緒に遊んだものだった。
ただ1つ、せいちゃんに対し不平をあげるとすれば、それはせいちゃんが少々男らしさに欠けるという点。
小学生男子に‘男らしさ’を求めるというのも無茶な話であるが、それにしてもせいちゃんは大変泣き虫で、運動神経にしてみても田鶴美の方が勝っていたのだ。
田鶴美は姉御肌なところもあったので、従弟たちは皆、女である田鶴美の方をボス的存在として慕ってくれていた。
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田鶴美たちの住む町には小さな公園があった。
ブランコ、ゆりかご、滑り台、砂場などの遊具がそろっており、幼い頃からよく遊んだ公園だった。
公園の周りを車が通るということも少なく、ボール遊びなどが思いきりできる環境にあったので、小学校にあがってからも皆でよくその公園を訪れていた。
しかし時々、縄張り争いとでもいうのか、他の学校の子供たちとの間で、その遊び場を巡って衝突が起こった。
2つの勢力が自由に駆けまわるには、その公園は少々狭すぎたのだ。
ある日のことである。
田鶴美はいつもの如く従弟たち数人を率いり、公園で遊んでいた。
その日は、最近買ってもらったばかりの新しいボールを使って、広範囲にわたるドッチボールに興じていた。
通常のドッチボールは決められた枠内で行うが、その遊びは鬼ごっこと掛け合わせたようなルールになっており、ボールを巡って園内を移動するという特徴があった。
それは田鶴美が編み出した遊びで、当時は、田鶴美たちの間で大盛り上がりしたものであった。
幸いその日は、公園には田鶴美たち以外に遊んでいる者はおらず、自由に思いきり遊ぶことができたのだった。
ところがそこへ、邪魔が入った。
よく公園でぶつかる連中だった。
その数人の男子グループは、まず、自転車で園内に乱入してきた。
田鶴美たちは、ボールを追いかけて公園中を走り回っていたし、そんなところを自転車で移動されたんじゃ危なくてしょうがない。
第一、園内での自転車乗車は禁止されていた。
田鶴美は、当時まだ小学校に入るか入らないかくらいの幼い妹や従妹も連れていたし、いつもの嫌がらせであることがわかっていたので激怒した。
「ちょっと、あなたたち、出て行きなさいよ。公園で自転車に乗ったらいけないでしょ。あそこにも書いてあるじゃない!」
田鶴美は立て看板の方角を指さして怒鳴った。
しかし、連中は知らん顔。
田鶴美の言うことは聞こえないと言わんばかりに、自転車を乗り回した。
そしてわざとらしくゆっくりと、田鶴美たちの横スレスレを走っていくのだった。
と、その時、タツ子が悲鳴をあげた。
タツ子は田鶴美の5つ下の妹で、田鶴美グループの最年少であった。
「どうしたの!?」
あわててタツ子のそばに駆け寄ってみると、額のところから血がにじんでいた。
どうやら連中が自転車で飛ばした砂利が、タツ子の額に当たったらしかった。
(次回へつづく・・・)
以上、みちょるびんでした!