こんにちは、みちょるびんです。
【ある日の日記】
さて、今日、土曜日の朝は――と言っても、もう昼になっていたが――家の固定電話の呼び鈴で起こされた。
電話に出ても、名乗られるまで、声だけでは誰だか分らなかった。
電話の主は、何年か前に我が社を定年退職された、Z先輩だった。
Z先輩は、女だてらに、仕事をバリバリとこなし、だけど柔和で、エレガント、当時、同じ部署に配属されていた私をはじめとする若い女性社員の憧れであった。
食事や旅行に誘ってもらったり、とてもよくしていただき、大変お世話になった、大先輩であった。
そのZ先輩からいただいた、久し振りの電話だった。
最近のZ先輩のご活躍(海外からの音楽家にコンサートを開いてもらうことが実現した等)や、会社員時代に’体を壊され、苦労した話’をいくつか聞いて、最後に、Z先輩が入信されている「宗教新聞がキャンペーンをしているので、購読しないか」という話に続いていった。
長かった。
どのくらいの時間、話を聞いていたのかわからないが、後半、本当に長く感じたのだ。
挙句の果てに、’宗教新聞’だ。
結局、勧誘だ。
Z先輩も懲りない。
実は、以前にも、宗教の入信について、勧誘されたことがあった。
あの時は確か、退職後にご自宅にお招きいただいて、ビデオを見せられた記憶がある。
会社の現役時代は、宗教のお話は、一切されてなかったし、退職後の急なカミングアウトだったので、私は大変戸惑った。
とても信頼し、尊敬していた先輩だったので、その先輩と私が紡ぐ素敵な関係の間に、こちらは一切の関心がない宗教の話を持ち込まないでほしかった。
その時は、先輩のホーム(ご自宅)であり、手料理等、いろいろ御馳走になった直後だったので、そんな流れの中では気を遣うし、お断りするのに苦労したが、何とか、乗り切ったのだった。
一体、ナンのつもりで私に電話してくるのか。
本気で私のためを思ってのことなのか。
それともやっぱり、ノルマなのか。
本当に、私は、朝から晩まで、休日までも働いていて、そんな余計なものを読んでいる時間的余裕もないので、正直に、「時期的に、良くない」と伝えた。
そしたら、良い記事のところを切り抜いて郵送する、とさえ言われたZ先輩。
おそらく、その粘り強い積極性で、これまでも数々の事業を勝ち進めていらしたのだろう。
Z先輩は、私を落とせると思っているのか―――?
電話を切った後、一瞬、読んでみてもいい気がしていた。
でも、結局、そうやって、相手のペースにはまっていくのだ。
ちょっと、その気になってしまった自分が恐ろしい。
そういう気持ちのスキが、危ないのではないか。
それに、悪いが、その新聞も、本当に真実に基づいて書かれたものかどうかもわからないではないか。
宗教に都合のいいように書かれていて、「宗教が全て」と思い込まずにはいられないように、誘導されていくのではないのか?
Z先輩と接触するたびに、とても残念ではあるが、「今後はもう、おつきあいできない」と思う。
だけど、時間が経つと、宗教のことを忘れてしまい、懐かしさでつい、また、電話でしゃべっちゃうんだよなー。
本当に、宗教の勧誘さえなければ、ずっと交流したい、大好きな先輩なのだけど。
【それから4カ月後の日記】
今日のランチは、定年を間近に控えていらっしゃる先輩お二人とご一緒した。
その時なぜか、宗教の話題になった。
お二人の話を聞いていて、お二人のある特定の宗教に対する反応が面白かった。
その宗教のことは、こんな風に、たまに噂を耳にすることがあった。
だから、私が持っていた印象もいいとは言い難いが、とは言え、先輩方ほどに興味はなかった。
例えば、うちの部屋に、その信者がいるかどうか、とか。
別に、いようがいまいが、どうでもいいと私は思うのだが、先輩方は、そういう関心を持って、同じ部屋にいる同僚を観察しているところがあるようだった。
うち一人の先輩は、社内で、無言電話を受けていた時期があったそうで、宗教関係者の疑いがあるという見方をしていた。
個人的な恨みを持たれるようなことでもあったのだろうか・・・??
それにしても、先輩たちがおっしゃっていたことが本当であれば、恐ろしい。
その信者たちは、社内においても、宗教の勧誘に力を入れているとのことで、そのネットワークを駆使して、いろんな角度から近づいて来るらしいのだ。
ひとたび、彼らのターゲットになると、逃れるのは難しそうだった。
会社に宗教を持ち込むなんて、迷惑な話だ・・・。
さて、なんとも、タイムリーであるが、数カ月前に、例の宗教新聞の購読を勧めてこられたZ先輩から、今朝、郵便物が届いていた。
見たら、具体的な活動へのお誘いだった。
そんなもんか。
以上、みちょるびんでした!