こんにちは、みちょるびんです。
【ある日の日記】
昼前に、業者の人が、職場にやって来たので、打ち合わせを行った。
いろいろと話をしているうちに、すぐに昼休み時間に突入し、私はまた一人、ランチにとり残された格好になってしまった。
私は、とてもがっかりした。
突然、昼前に、アポもなしに訪問してきた業者さんのことを、恨めしく思ったりもした。
昨日も、ランチの時に一人になってしまい、寂しい思いをしたので、とにかく今日は、同僚と一緒に食事をしたいと思っていたのだ。
それだけに、本当にがっかりしたのだった。
仕方なく、私は、ぬいぐるみたんと一緒に、お昼に出かけることにした。
実は今日は、会社に、ぬいぐるみたんを連れて来ていた。
ぬいぐるみたんを会社に連れてくるのは、珍しいことである。
連れて来たと言っても、密かにバッグに忍ばせているだけで、職場でぬいぐるみたんを出して、皆に紹介したりするわけではない。
今日は、朝から、何となく、ぬいぐるみたんの様子がいつもと違うような気がして、ちょっと、不安な気持ちになっていたのだ。
私は、朝の日課として、目覚めた時、まず初めに、ぬいぐるみたんに挨拶をし、ぬいぐるみたんの表情を観察する。
私は、「ぬいぐるみたん占い」と称しているのだが、ぬいぐるみたんの表情で、その日の運勢を占うのだ。
ぬいぐるみたんが満面の笑みだと、その日は何か良いことが起こるなど、楽しい一日となり、その逆で、ぬいぐるみたんが悲しそうな、疲れたような表情をしていると、何か、良からぬことが起こるというものだ。
これまで、「ぬいぐるみたん占い」は、大なり小なり、結構な確率で当たっているため、私は、毎朝、ぬいぐるみたんのご機嫌が気になるのである。
いつだったかは、こんなことがあった。
ある朝、ぬいぐるみたんが悲しそう顔をしていたことがあった。
その日は、同じ趣味の友達と、宝石関係の展覧会に行く約束をした、特別な日だった。
その友達とは久しぶりの再会だったし、共通の趣味の場だし、楽しい一日になるのは間違いないはずであった。
「’ぬいぐるみたん占い’も外れることはあるんだなぁ」と思いながら、待ち合わせ場所に出かけたのだが、なんと、その日は、友達に会えなかった。
当時は、お互いに携帯電話を持っていなかったから、ちょっとしたすれ違いが命取りになり、出先で、連絡がつかず、結局、会えず終いとなったのだった。
ぬいぐるみたんの悲しい表情は、このショッキングな出来事を予見していたのだろう。
そういう驚きの実績があるぬいぐるみたんの、今朝の表情から推し測り、今日は、何となく、不穏な感じがしたのだ。
それで、ぬいぐるみたんに守ってもらうため、ぬいぐるみたんを連れて来ていたというわけ。
玄関口で、食事から戻ってきた先輩に、たまたま会った。
「講演はどうだったか」と訊かれ、何の話かわからず、きょとんとなった。
よくよく聞いてみると、それは先輩の勘違いで、人違いだった。
私も知っている子が、高校生を相手に講演を行ったということだった。
さすがという感じ。
彼女は博識で、口も達者だし、講演なんかもお手の物に違いないのだ。
それにしても、度胸があるもんだ。
自分の体験談を通して、我が社の紹介をしたのだろうが、高校生を前に、何を話したんだろう?
高校生ともなれば、しっかりもしてくるし、賢いし、とてもじゃないが、そういう人たちを前に、私は話なぞできそうにない。
何を話せば良いのか、全然検討がつかないし、第一、質問されてもきちんと答えられそうもないのだ。
学生時代、私なんかは、ちょっと変り者だったから、変な質問をして、先生を困らせたりする口だった。
私みたいな自己中心的で、視野が狭いタイプは、下手すると、講演とは全く関係のない、自分がその時に関心があることを質問してみたりするので、大変危ない。
そういう危険分子を相手に、太刀打ちするためには、幅広い知識が求められるし、そういった意表をついた砲火に、一人、登壇した中で、耐えられる自信はない。
一発で、私の薄っぺらさ、勉強不足なところを露見することになってしまうだろう。
それでは、会社の面目が立たないし、考えただけでも恐ろしい。
趣味の、得意な宝石関係の話なら、まだ、検討の余地はあるが・・・。
そういえば、紹介した手相占いで、「人前に立って話をする」みたいなことを言われたと、以前、彼女から報告があったことを思い出した。
あのおじさんの占いは、当たっているのではないか・・・・。
先輩と別れ、そんなことを考えながら、ぼんやり、当てもなく、歩いていた。
いよいよ、大きな交差点が近づいてきて、そろそろ、どこに向かうのかをはっきり決めなければならなかった。
行き先に迷っていた、その時、声をかけられた。
見ると、一緒にランチに行きたかった同僚だった。
びっくりした。
用事があったそうで、同僚も今日は、一人だったのだそう。
そして、先に用事を済ませ、これからランチに向かうと言う。
この偶然の出会いに驚いた。
きっと、ぬいぐるみたんのお陰に違いないと思った。
なんだか、ぬいぐるみたんと一緒にいると、ラッキーなことが起こるような気がしている。
それは、先日も、感じたことだった。
ぬいぐるみたんのパワーがアップしているのかな?
それとも、亡くなったばあちゃんの(お守り)パワーも加わって、強力になっているのか?
とにかく、今日は、一人ぼっちで食事するのがいやだったので、同僚に会えて、とてもうれしかったのだ。
以上、みちょるびんでした!