こんにちは、みちょるびんです♪
ある日の日記。
右の鼻の下あたりが2、3日前からずっとサワサワしている。
かゆいというのとは違うんだが、皮膚の表面に違和感がある感じ。
ずっと体調不良が続いていたし、その一環で、こんな風な症状が出ているのかも知れない。
だとしたら、いよいよヤバイんじゃないか。
あともう数日もしたら年に1回の検診があり、主治医との面談もあるから、それまでの間なんとか耐えたいところである―――。
私はこの数日間、不安を抱えて生活してきた。
その症状が始まったのは、数日前に出席した恩師の誕生日会の二次会の席だった。
日常生活の中でたまに、皮膚に違和感を覚えることがあるが、そんな時は大抵、皮膚に髪の毛などが付着していることが多い。
今回の違和感も、感覚としてはそれに近い感じだった。
だけど、病気のこともあり、油断はならないのだ。
その日はなんだか、かゆいような、何かに触れているような、ヘンな感触で、何度も鼻の下あたりをぬぐった。
一旦落ち着いたような気がしても、またその違和感が復活する。
その度に、手を鼻の下まで持って行った。
何度もその仕草を繰り返したので、一緒のテーブルにいた初対面の人たちの中には気になった人もいたことだろう。
第一、当の私が一番気になり、触らずにはいられなかったのだ―――。
ますます、病状の悪化が懸念された。
それから2日ばかり経った夜、洗顔後に、違和感のあったところを観察してみようと思い立った。
その日1日は幸い、あの日のような煩わしさはなかったのだが。
鏡を覗いてみると、鼻の下に、1.5cmくらいの長さのまつ毛がついていた。
取り去ろうと、指でつまんでみたものの、取れない。
それは、鼻の穴の中から生えていたものだった。
つまりは、鼻毛!?
鼻の穴からスーッと長いのが1本出ていた。
まるで、バカボンのパパ。
これは一体どうしたことか!?
こんな立派なものが1日、2日で伸びるとは到底思えない。
ここまで成長するのにどれくらいの時間を要したことだろう?
しかしよくもまあ、これだけのサイズがうまくキチンと鼻の中に収まっていたものである。
そっちの方に感心する。
デキモノだとかは、刺激を与えるとますます大きくなっていくから触らない方がいいと聞いたことがあるが、鼻の下のサワサワが刺激となって、これの成長を飛躍的に増長させたということか!?
まさか、あのサワサワの原因が、こいつが飛び出していたからってことではないよね!?
いや、それはないと思いたい。
だって、こんなものが鼻の下から出していたら注目の的だし、私だったら絶対、会話の度に見てしまう。
私はヒトの視線には敏感だし、誰も私の鼻の下に視線を投げかけてくる者はいなかった。
それともみんな、紳士淑女だったっていうこと!?
あの席では2回くらいお手洗いに行って鏡は見たと思うが、異変はなかったように思う・・・。
それとも、暗がりだったし、あるはずがないと思っているものを見つけることができなかった!?
いや、一度出てしまったら、自らまた元の位置に戻るのは不可能だし、その間私は出勤もしているし、さすがにこの2日間、出ずっぱりだったということは考えられない。
これが‘サワサワ’の原因ではなかったと、結論づけたい。
それにしても、よくここまで立派に成長を遂げたものである。
成長の方向に成功の鍵があったのか?
鼻の中で、横に向かって伸びたから、長い間私の目をかいくぐることができた―――?
もし、あのまま成長の歩みを止めるに至らなかったら、行き場を失った毛先は、鼻の穴の中でぐるぐると渦を巻くことになっていたのだろうか・・・。
伊藤潤二作「うずまき」を彷彿させるホラーである。
以上、みちょるびんでした!