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あげまん!(その2)

投稿日:2025年3月31日 更新日:

 こんにちは、みちょるびんです♪

 『日本映画専門チャンネルpresents 伊丹十三4K映画祭10作品10連続ロードショー』の第5弾『あげまん』を観ました!(「あげまん!」)

 主人公が「あげまん」認定されるのが、たった1回の実績のみというところが急展開すぎるという気はしましたが、人相学の観点からもあげまんの相があると指摘されていたし、見る人が見れば「あげまん」だってわかるってことで、まあよかろう。
 物語を進めていく上で、「あげまん」前提でないと、男たちが主人公を取り合う状況が作れないわけだし、それは仕方がないこと。

 宮本信子扮する主人公サヨコは、元は捨て子で、老夫婦に育てられ、中学生の時に置屋に預けられる・・・という一般的に見ると不遇な生い立ち。
 だがサヨコは真面目で、何でも一生懸命に取り組む性格だからか、周囲からもかわいがれ、素直に育った。

 おおらかだからか、サヨコからはちっとも薄幸な感じがしない。
 いや、おそらくサヨコ自身、自分でそんな風には思っていないんだと思う。
 そもそも自分のことを不幸だと寂しく思っている人は、「あげまん」にはなり得ないんじゃなかろうか。

 彼女のセリフの中でとても印象的に感じたのが、自分を愛してくれていた男たちと別れることになった時に旦那にかけた「楽しかったわね」という言葉。

 「楽しかったわ」だと、その言葉を発した者の一方的な感情表明にしかすぎないが、「楽しかったわね」の場合は、‘互い’に同じ気持ちを持っていたということを確信し、相手にも同意を求めるという行為になる。
 これは大きな違い。

 確かに、劇中ではサヨコと旦那が仲睦まじく楽しそうに暮らしている様子が描かれており、二人はとても幸せそうでした。

 サヨコのその、二人の愛情に満ちた関係性が集約されたセリフにハッとさせられたというか、ヒトの幸せって、とってもシンプルなんじゃないかなって気づかされました。

 サヨコと結ばれた男たちが出世していったのは、男たちの方こそ、サヨコと一緒に過ごせて楽しかった――幸せだったから。
 サヨコの待つ家に帰れば、男たちは防衛のために外でまとっていた重い鎧を脱ぐことができ、そして素の自分に返ることができた。
 サヨコもそんな旦那を心から歓迎した。
 甘えられる心地のいい居場所をサヨコが提供してくれたからこそ、旦那は社会でのびのびとふるまえ、それに自然と結果がついてきたんじゃないか。
 まるで聖母のような存在!!

 でもそれは、サヨコにとっての幸せでもあって、愛する男に大切に愛情をかけてもらえるという状況が、愛情深いサヨコをさらに世話焼きにさせていたんだと思う。
 相乗効果ってやつ。
 だからこその「楽しかったわね」であり、逆から言うと、サヨコはひとりでに「あげまん」になったのではないということである。

 ところで「あげまん」という言葉は、この映画で注目を集め、映画が公開された1990年の流行語にもなったそうです。
 みちょるびんも、この言葉が取り沙汰されていたのをうっすら覚えている。

 男性に幸運をもたらす女性、それが「あげまん」みたいな解釈になってしまっているから、「あげまん」の‘まん’は、女性を指す卑猥なことばを想像する人が多いようだが、この‘まん’の語源は「間」(ま)で、「まん」へと音変化――歴史言語学において発音の時間的な変化――されたものらしい。
 「めぐりあわせ、運」を意味するとのこと。

 だから「あげまん」とは、‘運をあげる’と直訳できる。
 劇中でもまさに、そういう使われ方をしているよね! 

 みちょるびんが10年以上前に使っていたシステム手帳をパラパラとめくっていたら、偶然「間」に関するメモを見つけました。
 何かで見聞きして、当時、感心して書き留めたんだと思う。
 今となっては出典がどこなのかまったく不明なのだが、面白いので紹介します♪

  ●正しい選択や行動をすることが「間に合う」。
  ●「間に合う」から外れると、間が抜けて「間抜け」になる。
   「間抜け」な状態は運を落とす。
   「間に合う」には、いつも我が身を「間の中」に入れておくようにすること。
  ●違和感が多いといい運はやってこない。
   できるだけ違和感のあるものから外れて、気分がよくなる方へ行った方がいい。

                             以上、みちょるびんでした!

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